表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十五年度、智香子、中等部一年生編〕
9/358

引率者たち

「わたしらも、もう三年かあ」

「早いよねえ、うん」

 そんなことを言い合いながら、青島凪と松風薫は校舎の方に歩いて行く。


 公社が管理するゲート周辺は、学校法人松濤女子学園が所有するビル内に存在する。

 そのゲートから松濤女子学園の校舎まではそのまま繋がっていて、松濤女子の関係者ならば外に出ることなく移動が可能だった。

 もちろん、公社とゲートがある建物と境には、廊下に松濤女子が雇った警備員が常駐していて、出入りする人間を選別している。

 二人はその警備員に顔写真付きの生徒手帳を提示して、その検問をまま通過した。

 ここを、こうして通るのもあと何回、あるのだろうか。

 ふと、青島凪はそんな風に思う。

 青島凪と松風薫は、あと一年で松濤女子を卒業する。

 留年などせず、順調にいけば、だが。

 卒業をして以降も探索者を続けることは可能だったが、こうしてゲートから校舎に直接入る機会は、基本的になくなるはずだった。


「いや、その前に」

 口に出して、青島凪はそう呟く。

「受験が、なあ」

 かなり、物憂げな表情だった。

「OA狙いで、適当なところに潜り込めば」

「進学はよくても、その後の就職で苦労するよ」

「いっそのこと、専業の探索者になるとか?」

「不安定で危険で、なによりモテないんだよなあ。

 女性の探索者って」

 そんなことをいい合いながら、二人は最寄りの教室に入り、そこで〈フクロ〉からそれぞれの荷物を出して、着替えはじめた。

〈フクロ〉とは、探索者が習得できるスキルの一種で、なにもない空間に物品を収納できる能力の呼び名であった。

 便利かつ比較的習得がしやすいスキルであるため、多くの探索者がこのスキルを使いこなしている。

 この二人も、その例に漏れなかった。

 また、松濤女子学園はその名の通り女子校であったので、生徒用の更衣室というものは存在しない。

 着替えをしたい時は、どこか適当な空いている教室に入って行う。

 この、ゲートから校舎に入ってすぐの教室は、位置的に手頃であったため探索者をしている生徒たちによく利用されていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ