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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十六年度、智香子、中等部二年生編〕

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272/358

駆逐

 智香子は足を止めて〈ライトニング・ショット〉を連射する。

 そのすぐそばで、世良月も例の〈アトラトル〉を構えて連射していた。

 一秒間あたりに何発も〈投擲〉する〈スローター〉氏ほどではないにせよ、なかなか素早い。

 秒間に一度か二度、投げられる程度か。

 投げるモーションを必要としない智香子の〈ライトニング・ショット〉は、その数倍の速度で連射することが可能であった。

 が、まだ探索者になってから日が浅いことを考えると、今の時点で世良月がそこまで動けることを評価するべきだろう。

 世良月が〈アトラトル〉で投げつける物体は、かなり頻繁にドロップする鉄の短剣と、それに鉄パイプを簡単に加工したものだった。

 通常の〈投擲〉とは違い、〈アトラトル〉を使用した上での〈投擲〉は、重量バランスからいってもそうした棒状の物体が都合がいいのだろう。

〈アトラトル〉という器具を使用しているせいか、そうした武器が飛んでいく勢いもかなりのものだった。

 見ていると、命中した武器がそのままエネミーの体を貫通して飛んでいく場合もある。

 そうなれば当然、そのエネミーの体には大穴が空き、半壊した状態になるわけで、その場で即死しなかったとしても瀕死の状態になり、ほとんど身動きが取れなくなった。


 そうして智香子たちが遠距離攻撃で牽制をしている間に、他の子たちがエネミーと距離を詰めていく。

 エネミーの数が多すぎて、そのすべての動きを智香子たち三人だけで封じることはできなかった。

 そのため、黎や佐治さん、香椎さん、柳瀬さんの四人は、半減したエネミーを相手に接近戦を挑む形となる。

 とりあえず、身動きが取れないエネミーは放置して、健在なまま自分たちに向かってくるエネミーに対処しなければならない。

 大型のカエル、といった外観のエネミーたちは、なかなか素早かった。

 跳躍力が強く、普通に二メートル以上を一気に移動する。

 ただ、その際のモーションは大きく、一度足が地面から離れた後の軌道は読みやすかった。

「行動パターンは、ウサギ型に似ているかな」

 などと、佐治さんは思う。

 そうして飛び込んでくるエネミーを、四人は迎撃する形となった。

「えい!」

 かけ声をあげて手にした武器を振り切る、その途中で、香椎さんが小さな悲鳴をあげる。

「……ひゃ!」

 香椎さんが手にしていた武器、〈ブラックコックジャック〉は鈍器、打撃を与えた物体に大きな衝撃を与える効果がある武器だった。

 カエル型エネミーの体表は柔らかく、その衝撃に耐えきることができず、結果として当たった直後にそのまま弾けて中身を周囲にまき散らす。

 ちょうど、思いっきり振りかぶった鈍器で、水袋を叩いた時のような感じだった。


「怯むな!」

 佐治さんが、そう声をかける。

「数が多い!

 片っ端から潰していかないと、終わらない!」

 いいながら、佐治さんは両手に持ったメイスをぶんぶんと振り回して、自分の方に飛び込んでくるエネミーを破裂させていく。

 それだけでは足らず、足元で動かなくなっていたエネミーも容赦なく踏み潰していった。

 このカエル型は、決して強力なエネミーではない。

 適切に対処していけば、自分たちだけでも十分に絶滅させることが可能に思えた。

 ただ、数が多く、攻撃力はそれなりにあるから、油断は禁物といえた。

 このカエル型の一番大きな武器は、自身の体重と跳躍力。

 それに、数。

 つまりは、体当たりさえ警戒して、まともに受けないように心がければ、大きな問題は起こらないはずなのだ。


「数が多いなあ!」

 黎は、そんな風にぼやきながら、両手に持った剣を振り回している。

 剣だけではなく、両手両足まで駆使して、片っ端からエネミーを叩き落とし、踏み潰していった。

 柳瀬さんも、同じように四肢すべてを使用して、エネミーに対処している。

 この二人は、ともに素早く動いて手数で勝負するタイプだった。

 こういう、数が多くあまりしぶとくないタイプのエネミーの対処は、どちらかというと得意とする。

 カエル型程度では武器を使う必要もなかったので、柳瀬さんは手足だけで対処している。

 軽く四肢を振り回しているだけのように見えたが、的確にエネミーに攻撃を当てて数を減らしていた。

「強くはないけど、数が多いなあ」

 そうしてエネミーの相手をしながら、柳瀬さんがぼやく。

「いつもは、こっちの人数も多いから」

 黎が、そう応じた。

「パーティの人数が少ない分、一人当たりの負担は大きくなるよ」



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