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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十六年度、智香子、中等部二年生編〕

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絶句

「想像するに」

 黎が口を開く。

「〈スローター〉さんの戦い方って、サーチ・アンド・デストロイ。

 エネミーを発見し次第、なにがなんでも叩くっていう感じなんじゃない?」

「ソロでやるとなると、自然とそうなるでしょ」

 佐治さんがいう。

「それが一番安全なやり方っていうか、それしかないっていうか。

 あの人、〈察知〉スキルとかちゃんと持っているんでしょ?」

「持ってた」

 智香子が即答する。

「他に確認できたのは、〈ヒール〉とか〈鑑定〉とか。

 補助系のスキルは意外に充実していたように思う」

 智香子が〈スローター〉氏に〈鑑定〉スキルを使った時、時間が短いこともあってそのすべてを把握できたわけではない。

 しかし若干、確実に読み取れたスキルもあったわけで、智香子にも断言できる内容はあるのだった。

「そんくらい生えていないと、現実問題としてソロでやっていくのはキツいと思うし」

 香椎さんが、意見を述べる。

「必要なスキルが全部揃っていたとしても、ソロでっていうのはかなりキツいはずだから。

 精神と肉体、両方の面で」

「だよなあ」

 ため息混じりに、佐治さんがいう。

「だって、たった一人で迷宮に入るんだよ?

 神経がすり減らされる、なんてものじゃない」

「しかも、今日の感じだとあの人、一人で長時間迷宮に入っているってことでしょう?」

 黎も首を傾げた。

「フィジカルな面でもいい加減タフだと思うけど、それ以上にメンタルが凄いなあ、と」

「パーティ組んでいても、一時間以上連続で迷宮に入り続けたくないしね」

 香椎さんも、それに同調する。

「その上、一人だけでなんて。

 ええと、世良さん。

 あの人普段、ソロだとどれくらい連続で迷宮に潜っているのかな?」

「短めで三時間前後、長ければ六時間以上、ですかね」

 世良月は、素っ気ない口調でそんなことをいう。

「他に用事がない時は、ということですか。

 朝に六時間前後潜って、いったん出て昼休憩取ってからまた同じくらい潜っているなんてことも、珍しくはないそうです」

 しばらくしんと静まりかえり、誰も口を開かなかった。

 想像以上のハードワークであったため、誰もがどうコメントすればいいのか、判断できなかったのだ。

「いやそれは、なんというか」

 しばらくして、佐治さんが口を開く。

「確実にワーカホリックだね」

「しかし、一日当たり十時間以上、って」

 困惑した様子で、黎がコメントする。

「なんていったらいいのか。

 その、すっごく変わった人だよね」

「ぶっちゃけ、迷宮に入る理由ってないよね、あの人」

 香椎さんが指摘をする。

「今の時点で、普通の人が一生かけて稼げる金額稼いでいるわけだし」

「税金とかいろいろあるから、実際にはかなり目減りすると思いますけどね」

 柳瀬さんが指摘をした。

「でもまあ、そこまでムキになって探索者する必要がないって意見には、賛同しますけど」

「あの人、なんでそこまで真面目に探索者続けているの?」

 佐治さんが、世良月の方に顔を向けて訊ねる。

「さあ」

 世良月は、首を傾げるだけだった。

「そういうこと、これまで聞いたことがないのでなんともいえません」

「っていうか、月ちゃん。

 普段、あの人とどういうこと話しているの?」

「だいたいは、エネミーの効果的な倒し方とか、そういう実際的なことばかりですね」

 世良月は、胸を張ってそう答える。

「他の大人たちがかなり頼りないので、わからないことがあったらあの人に訊くようにしています」

「ああ、そうなんだ」

 佐治さんは脱力した表情でそういった。

「専業の人たちとわたしらとでは、レベル差がありすぎてかえって役に立つ内容が聞き出せない部分があるのかなあ」

 あの〈スローター〉氏だって、実力ということならかなりのものなのだが。

 それでも、探索者として活躍して来た期間は、智香子たちとたいして変わらない。

 その分、初心者の目線に立って出来る助言というのも、多いのだろう。

 智香子は、世良月がいった内容を、そう解釈する。

 とりあえず、件の〈スローター〉氏は探索者としてかなりユニークな存在であり、その考えていることなど容易に想像できない。

 そういうことは、理解できた気がする。

「そんなに興味があるのでしたら」

 続けて世良月が、とんでもないことをいいだした。

「今度、みなさんもあの人に同行してみますか?」

「それって、パーティを組んで迷宮に、ってこと?」

 真っ先に、黎が反応した。

「そうですけど」

 世良月は、きょとんとした表情で周囲を見渡す。

「なにか問題がありますか?」

「問題、っていうか」

 佐治さんはそういった後に絶句して、他のみんなの顔を見比べた。




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