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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十六年度、智香子、中等部二年生編〕

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〈スローター〉

「ちょっと挨拶してきますね」

 世良月はそういって踵を返し、大きな声で、

「ししょー!」

 といいながら件の探索者の方に駆けていく。

 智香子はその場でずっこけそうになった。

 ししょう。

 おそらくは、師匠。

 でも、なんで?

「師匠って」

 佐治さんが智香子の疑問を代弁してくれる。

「あれ?

 さっきのはなしで、なんでそうなるの?」

 他の子たちも、驚いて目を丸く見開いている。

 その世良月は、件の探索者の手を引っ張るようにして、すぐに智香子たちの元に戻ってきた。

 ヘルメットのフェイスガードを降ろしているので表情まではわからないが、その探索者の動きはどことなくぎこちない。

 そのように、智香子は感じる。

「ええと、奇妙ななりゆきで出会って時々パーティを組んでいる、鳴嶋成行さんです」

「どうも、鳴嶋です」

 その探索者は軽く会釈をした。

「月ちゃんがお世話になっているそうで」

 想像していたよりも、ずっと若く張りのある声だった。

「あの、つかぬことをうかがいますが」

 香椎さんが、疑問をぶつけてくれる。

「さっき、師匠って呼ばれていたのは?」

「わたしが勝手に呼んでいるだけです」

 世良月が、間髪入れずにそういった。

「他にもパーティに入れてくれる大人は何人かいるのですが、なにかを習いたいと思えるのはこの人以外いないので」

 ひどいいようだなあ、と、智香子は思う。

 専業の探索者になるような人は、一風変わった人が多いと聞くから、それが原因なんだろうか。

「探索者にしては、まともな人ってわけか」

 佐治さんが、そういった。

「あ、本人の前でこんなこというのは失礼だったかな」

「別になんでもいいんですが」

 探索者の鳴嶋さんは、そんな風に応じた。

「月ちゃんの周りの探索者は大体がベテランなので、それが原因だと思います。

 数年以上のキャリアを持つような探索者は手数が多すぎて、かえって初心者の指導には向いていないっていうか」

「……知っていることをすべてわっといっぺんに教えようとするんで、教えられる側が混乱する、ということですか?」

 少し考えてから、智香子はそう訊いた。

「そんなところです」

 鳴嶋さんは軽く頷いた。

「そこいくとおれのキャリアはまだ一年そこそこ。

 初心者に教えるのにはちょうどいいっていうか」

「一年、そこそこ?」

 香椎さんが、軽く首を傾げる。

「その、胸のコロナと稲妻のエンブレム……〈スローター〉モデルの保護服を着ているだけかと思ったら、まさか本物!」

「ええ、まあ」

 香椎さんが唐突に大きな声をあげたので、鳴嶋さんは小さく身震いをして驚いたようだった。

「その、〈スローター〉です。

〈スライム・キラー〉という方が、一部では通りがいいみたいですが」

「あ」

 智香子は小さく声をあげている。

 その探索者については、智香子も何度か断片的な情報に触れていた。

 何度かネット上の情報を検索してみたことがあるが、伝聞や憶測混じりの情報が多すぎて、実態はよくわからなかったが。

 一部の探索者の間でソロが流行しだした、原因となった人だ。

「いつもソロで迷宮に入るんですか?」

 智香子は、そう訊ねてみる。

「今では、呼ばれてパーティを組むこともあるので、比率としては半々くらいですね」

 鳴嶋さんは即答する。

「ただ、ソロで入るとかなり長時間入りっぱなしになるので、時間で見ればソロで迷宮の中にいる時間の方が今でもかなり長い計算にはなります」

 なんだか、とんでもない人と繋がりができてしまった気がする。

 少なくとも智香子にとっては、通り名がつくような探索者と知り合ったのは、これがはじめてのことだった。



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