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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十五年度、智香子、中等部一年生編〕

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〈武器庫〉へ

 智香子たちは保護服やヘルメットなどを着用し、先輩方といっしょに迷宮へと向かう。

〈フクロ〉のスキルを持っていた者は探索者用の装備は入れっぱなしにしてあるのが普通であったし、〈フクロ〉のスキルが生えていない、黎のような生徒も身近な人の〈フクロ〉に自分用の装備品を預けていたので、いきなり迷宮にいこうと提案されても困ることはなかった。

 ちなみに、黎の装備品は普段、すべて智香子の〈フクロ〉に収納されている。

 ロッカーなどの保管しているよりは、そうする方がなにかと便利なのだった。


「普通の部活というよりも、今回のはほんの二十分からせいぜい三十分以内で、ちょっと入ってすぐ帰ってくるような感じだから」

 今回、引率役を引き受けてくれた橋本先輩は、そういう。

「聞いたら、一年生の四人はまだ〈武器庫〉には入ったことがないんだろ?」

「ええ、まあ」

 その一年生を代表して、智香子が頷いた。

「〈武器庫〉って、アイテムがドロップしやすい特殊階層のことですよね?」

「そう、それ」

 橋本先輩はそういって頷く。

「ほとんど委員会の生徒しか行き方を知らないってところ」

 そういえば、委員会に入る時、そこに案内をしてくれることを条件として提示されていた。

 これまで、意見書をとりまとめることに忙しくて、すっかり忘れていたのだが。

「前々から思っていたんですけど」

 ちょうどいい機会だから、智香子は橋本先輩に訊ねてみる。

「その場所、委員会の関係者だけで独占をしていても、問題はないんですか?」

「問題、ねえ」

 橋本先輩は、そういって首を捻った。

「その手の特殊階層とか、あるいはおいしい猟場とか。

 仲間うちだけの秘密にしておくことって、大人の探索者でも普通にあるってことだからなあ。

 それに、その〈武器庫〉はちょっと特殊で、あんまり存在を広めても誰も喜びそうにないっていうか」

「特殊?」

 今度は、智香子が首を傾げる。

「それは、どんな風に」

「ドロップするアイテムがね、おおむね武器系統になるんだが、癖がある物が多すぎて、なかなか使いこなすことが難しいんだ」

 橋本先輩は、そう答えた。

「ま、そうそうおいしいだけの秘密はないってことだね」


 学校から直通の廊下を通って、智香子たち風紀委員の生徒たちは迷宮のロビーに到着する。

 人数は二十名ほどで、橋本先輩はその先頭に立って慣れた様子で探索者証のカードをゲートのリーダーにかざし、迷宮の中へと入っていく。

 智香子たちも、列を作ってその後に続いた。

「全員揃った?」

 迷宮に入ったところで、橋本先輩はそういって周囲を見渡す。

「うん、いるね。

 それじゃあ早速、〈武器庫〉へ」

 一瞬、周囲の光景がぶれたような気がしたが、その直後に目の前に広がっていたのも、見慣れた、いつもの迷宮内部の光景だった。

 橋本先輩が〈フラグ〉のスキルにより、その〈武器庫〉内まで、移動したのだろう。

 ただ、一部の特殊な場所以外、迷宮内の様子はどこでも大差ないので、本当に〈フラグ〉で移動したのかどうか、見極めることは難しかった。

 今回は、迷宮内に入った直後とは通路の形がかなり違っていたので、ざっと周囲を一瞥しただけですぐに移動したことが確信できた。

「ここ、はじめての子もいるからいっておくけど」

 橋本先輩は、油断なく周囲を見渡しながら、そんな説明をしてくれる。

「エネミーの強さ的には、だいたい十階層相当。

 クマ型もスイギュウ型も普通に出てくるから、今の一年生には少しきついかも知れない。

 そういうのに遭遇した時は、せいぜい気張って怪我をしないように気をつけて」

 強いエネミーが出た時には、正面から相手をする自信がないのならば、逃げ回る。

 他に、頼りになる上級生が同じパーティにいるのだから、一年生としてはそうするのが正解だった。

 むしろ、変に意地を張って怪我をしたら、そちらの方が周囲に迷惑がかかる。

 これもまた、安全第一を最重視する松濤女子探索部では、部員たちに徹底して教え込んである鉄則だった。




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