01 ひさしぶりの4人だ!
魔法と呼ばれる進化の糧としたものが存在する異世界アーリン、科学と呼ばれる進化の糧としたものが存在する実世界アース。互いが交わることがなかったのだが、約200年前、突如謎の発行体が空を覆いつくしたと思えば、黒い龍と白い龍が互いににらみ合い、そして食らいついた。
龍は互いを飲み込むようにリング状に結び、尻尾を噛み、回るようにして姿が消滅していった。龍が消滅と同時に、異世界アーリンと実世界アースが結びつき、二つの惑星は一つとなった。
それから時は流れ、現在――学校に通う4人の生徒が休日の予定について話し合っていた。
「田舎村に幽霊が出るお城があるという噂を聞いたんだ」
部活動が使うであろうはずの小さな部室。畳6畳程度の広さしかなく窓は一か所のみ。少し広い四角い窓だ。部活動をしている友人たちの声が外から聞こえる。
「どうせ、断っても無理に連れて行くんだろ?」
「ゆ、ゆうれい…なんていないよね」
チラッと視線を逸らす背が小さい友人。彼はイース。同じクラスメイトで友達だ。
怯えているかのように声を震わせている。
「さあな、行ってみないと何ともわらんねぇ」
そういうカイルはなんだか生き生きとしていた。
「で、その村ってどのへんなんだ?」
「カネラ村って、そう遠くない場所にある所なんだ。なあ、ギルドからの依頼なんだ。せっかくの休日に久しぶりに冒険しに行ってみないか?」
――確かに、カイルとは1か月あまり共に冒険していない。カイルは学校だとスポーツ部に所属している。先週は試合や練習試合とかで一緒に参加する機会がなかったな。
「ギルドの依頼なら仕方がないな。いいよ、肩慣らしにいってみようかな」
「ほんじゃ、シミズは決定だな。ムトウとイースはどうなんだ?」
カイルは張り切っている。よっぽどみんなと一緒に行きたいようだ。それに、先週は資源を採集する依頼を達成したばかりだ。少しは冒険でもして体をほぐした方がいいかもしれない。
自分は頷き、一緒に行くことを提案した。
イースに視線を向ける。この時のカイルは誰にも止められない。冒険という神秘の挑戦、誰も近寄らない場所の散策、未知なる敵の遭遇。そういったものをカイルはこのメンバーの中でもダントツに――
「どうだ? どう?」
「………ちゃんとサポートしてよね」
少しの間を開けてからイースは怖がりながらみんなの方に目を向けて言った。
「ああ、任しとけ!」
カイルはこういった。ガッツポーズしてまで。あいつ(カイル)の自信はいったいどこから来るのだろうか。そう思いながら、明後日の休日にその【カネラ村の案件】に向かった。