ちーちゃん
ちーちゃん。
大好きなちーちゃん。
私のちーちゃん。
側に居るだけだ幸せだった。
願わくば、その恋い焦がれる瞳を私に……。
無理な事は分かってる。だから側に居させてくれるだけでいい。それ以上の事は望まない。
でも時々妄想するの。
もしもちーちゃんと結ばれたらって。
子供の名前も考えたの。
男の子と女の子。二人の名前から一文字ずつ取って千明と夏美。
狭いアパートに住んで。皆んなで並んで寝るの。
そして子供達が大きくなって、寝室が狭くなったらちっちゃなお家を建てて……。
おっきな幸せは少ないけど、毎日ちいさな幸せはある。
そういう、温かかな毎日を過ごすの。
でも……もう……ちーちゃんに会えるのは思い出の中だけになっちゃった。
会うたびに、涙が溢れて……とても苦しいよ。
でも、ちーちゃんの思い出は、私を幸せにしてくれる。
愛するちーちゃん。
愛しいちーちゃん。
私は何度でもちーちゃんに会いたい。何度でも会いに行くよ。
……アイツは違うみたいだけど。
ちーちゃんに会うのが嫌なんだって。アイツは自分が一番だから、ちーちゃんが居なくなった事より、ちーちゃんを失った自分を哀れんでる。ちーちゃんを失った自分が可哀想で可哀想で仕方がないみたい。
でも安心して。ちーちゃんが愛した男は、一生ちーちゃんを求め続ける。彼の中で、ちーちゃんは生き続ける。ちーちゃんを忘れるなんて、そんな事はさせない。一生可哀想な自分を哀れんでいればいい。
いつか、ちーちゃんの所に行くその日まで……。彼の心はちーちゃんのもの――
◆
ふと、誰かが座った。
「……やっぱりこうなったのね」
女は振り返ると事なく、それが誰か言い当てた。
「ようこそ、春菜明美さん」
振り返った女を、怒りに満ちた瞳がギロリと見上げた。
「私は死者の書。説明は必要かしら?」
首を振る春菜へ、女は問いかけた。
「貴方の望みを、伺いましょう」
「……殺して。……殺してほしい奴がいる! アイツに……あの男に、相応しい死を!!」
「……そうね。貴方にはそれしかないわね」
「私には……、ちーちゃんの対価は払えない……」
「では貴方にとって、奪う命に見合う価値のものをいただくわ」
「そんなものはない……。私の大切な人を……愛する人を殺したのよ!! 私の目の前で!!」
春菜は更に目を吊り上げ、噛み締める歯が悲鳴を上げた。
「ちーちゃんがアイツを好きだから我慢してたけど……大嫌いだった! 何時も何時も自分の都合ばかりでちーちゃんを困らせて……。その挙げ句! ……アイツの命に価値なんてない!!」
女は身を屈め、春菜の肩から一本の髪の毛を摘み上げた。
「これでいいかしら? ただ、お釣りは返せないの。だから貴方がそれを了承してくれればだけど……」
「お願い……。アイツを、苦痛と苦しみで嬲り殺して……!」
「いいわ。契約を交わしましょう――」
〈千夏・完〉




