雨ふって、号泣
暑い暑いと言いながら汗を拭う夏の日。
歩美ちゃんは汗ではなく涙を拭いながら畦道を歩いていた。
ケロケロとかえるが鳴く夕方のこと。
西日に晒され少女の髪は赤茶色に輝いている。
こんな時間に誰が通るというのだろう?
学生たちに占拠されていた街角で由紀ちゃんは鞄を肩にかけ直す。
酔っ払いの雄たけびが響いてくるセンター街で。
煙草の煙が少女を燻す。限りなくグレーな少女。
クレープを貪り大通りを闊歩するセーラー服。
カラフルに目がチカチカとする原宿の人ごみの中。
沙織ちゃんは手首に包帯を巻いて片手に握っているものは何?
狂気を背負った少女は現実と夢の挟間で色を見失う。
少女たちの悲鳴は搔き消されそれぞれ帳を下ろす。
明日は誰の身、わたしの身?
泣けど喚けど聞こえず沈む救済を求める声。
どこにあるのか探すは自己のあるべき姿。
大人になった歩美ちゃん
畦道走る青春の煌き
大人になった由紀ちゃん
店子Aは売れない枯れた花
大人になった沙織ちゃん
朝日を浴びる日を夢見てる




