声
貴方の声を
私は知らない
私に聞かせる声を
貴方は持っていないから
私の声も
貴方に届かない
私の声が響く耳を
貴方は持っていないから
悲しい?
いいえ
だって貴方の声は
ちゃんと私に届いてる
耳には響かないけれど
いつも頭に響いてる
心にも響いてる
貴方にも届くといいな
私の声が
心に響くといいな
伝えたいことが
目を閉じて
耳をすまして
ねえ
まだ聞えない?
私の声
さっきから
何度も言ってるよ
貴方のことが
好きだって
貴方の世界が
好きだって
もしも
私の声が
暗い夜空に響いたら
そっと返事をしてね
私にだけわかる言葉で
おねがいね
そして
私は静かな眠りにつく…
なーんて言うと思ったら
大間違いだよ〜
私?
私はあの娘が
眠った時だけ現われる
意地悪な私
ねえ
いつまで待たせるの?
返事をくれないと
また夢に遊びに行って
貴方の弱点を
くすぐっちゃうぞ
隠したってダメだよ
もう
とっくにばれてるの
貴方の一番弱いとこ
ウソだと思うなら
今夜ためしてみる?
だけど
私は手加減を知らない
意地悪な小悪魔
貴方の苦痛な顔を見ると
とても嬉しくなっちゃうの
でも
安心していいからね
本当は
貴方の弱点は
弱点なんかじゃない
だから
待っているんでしょう?
私が夢に行くことを
だから
返事をくれないんだよね?
そうだよね?
きっとそうだよね?
多分そうだよね?
違う?
そうだったらいいなぁ…