私だけの戦い
私を甘く見たらいけないよ。心で悪魔を飼ってるんだから…。
呑気な顔して貴方は笑う。
そして、身の周りで起った出来事をまるで大事件のように報告。
多分、話の二割は脚色だろう。
ウケを狙って、話が段々大きくなっていくのは貴方の悪い癖。
「ふーん。それで?」
なんて、私はいかにも興味ありげなそぶりを見せる。
途中で、最後の落ちは分かっちゃうけど、そこは愛という名のもとに知らんぷり。
そんな闇サイトのようなことを考えている私は、つい薄ら笑いを浮かべてしまう。
自分の話が面白いと勘違いした貴方は、ちょっと得意気に言う。
「仕方ない、君の平凡な一日の話でも聞いてやろう。つまらない話言ってみな!」
その偉そーな横顔は、別の意味で面白い。
特に対抗出来るネタはないけど、ちょっと悔しいから脅してやろう。
「何かさー、最近同じ人が夢に出てきて困るんだよ。」
「何だよ!また郷ひろみが俺に変身したって話か?」
「違うよー!福山さんだって!」
郷ひろみもたまに出るけど、無意識に若い方を選ぶ。
「でも、そういう芸能人じゃないもんね。」
「何だよー、結局は相手にされないんだから、誰でも同じだよ。」
私の低い鼻を指で押して、ケラケラ笑って馬鹿にする。
ふん!鼻は息が出来れば良いんだよ。
つぶれた気がする鼻を摘んで修正し、自分自身を慰める。
筋が通った貴方の鼻は、いつにもまして高く偉そう。
「貴方、性格は悪いよね?」
「いいの、その分顔が良いからね!悔しいか?」
「別に…私は性格良いもん!」
「そうだっけ?まっ、せいぜい頑張りなよオカメちゃん。」
「ちょっと待って!今、何とおっしゃいました?」
「オカメちゃん?」
「ワカメちゃん?の間違いでは?」
「違う!ワカメちゃんはサザエさんだろ?俺が言ってるのは、ケーキ屋のオカメちゃん!」
「もしかして、ペコちゃんと間違えてる?」
今日の大事件よりウケるんだけど、愛という名のもとに我慢、我慢。
「あれ?そうだっけ?でもそのペコちゃんに似てるよな?言われるだろ?」
「ぜーんぜん!」
本当はたまに言われる。
でも、オカメと間違えられた手前、認める訳にはいかないの。
「そうかなー、言われたことありそうだけど…」
「いいえ、一回たりともありません。」
最近の中で最大の嘘を、私の細やかなプライドが言わせてる。
「夢で振られたら教えてよ。笑ってあげるから!」
そんな貴方の余裕の言葉を、聞こえない振りして心に誓う。
ぜーたいに言うもんか!
そして、浮気してやる。
夢の中でキスより凄いことをしてみせる!
でも、途中でまた貴方に入れ替わったりして…。
小心者の私には、せいぜいこんなものですね。