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碧い月へ  作者: フレーズ
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秋の夜に

淋しいという言葉は忘れよう


もう淋しくなんかないんだから


秋の風が吹いてきて


少し心が肌寒さを感じたら


耳をすましてみよう


きっとコオロギやスズムシたちの


自慢の鳴き声が慰めてくれる


あなたが何をしてるか考えるよりも


今聞こえてくる鳴き声に


ただ耳を傾けよう


そのほうが楽になれる


さっき吹いてきた風が教えてくれた


月が見えなくてもいいじゃない


秋の夜は目を瞑り


音楽会を楽しもうよ


どこからか聞こえてくる慰めに


もう一人の私が賛成した


だから


私は静かに目を瞑り


耳に飛び込む音色だけに


集中するんだ


複数の虫たちが競い合う様子は


オーケストラ宛らだ


ピアノ担当はスズムシ


バイオリンはコオロギ


マツムシはクラリネット


意外に存在感を醸し出しているのはウマオイ


まるでシンバルのように


定期的に鳴いては


このオーケストラを盛り上げてくれる


素敵な夜をありがとう


今夜はこのまま眠りにつこう


きっと良い夢が見られるよね



そんな思いで深い眠りを待っていた


なのにいきなりオーケストラが消えた


そして数分後には


打楽器と化した大粒の雨が


私の心を容赦なくノックして


浅い眠りから呼び戻された


せっかくの楽しい夜が台無しだ


そんなことを考えていると


冷たい隙間風が私に囁いた


これが現実の世界だよ


これが生きるという事なんだ


私はその言葉にただ耳をすまし


さっきまでの夢の世界と


今の現実の世界の間を


行ったり来たりしてみた


すると


ふと忘れようと誓ったあの言葉が


また脳裏に浮かんできて


私の心を苦しめる



やっぱり無理みたい


何をしても忘れられない


あなたが居ないと


淋しいって言葉が


自然に浮かんでくるんだよ




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