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碧い月へ  作者: フレーズ
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今頃になって

私の中で何かが変わり始めていた。


私の全てだった貴方の存在は、少しずつ全てとは言えなくなった。


満月が欠けていくように、少しずつ陰りが見え始めていた。


私は、そうなっていくのを待ち望んでいた。


今までずっと望み続けていたんだ。


やっとその時が来たんだと思った。


だから、どこかでほっとしていたんだよ。


これからは少し楽になれるだろうって。


貴方を愛する慶びよりも、貴方を愛する苦しみの方がずっとずっと大きかった。


だから、本当に嬉しかったんだよ。


なのに……


今日メールが届いた。


五日遅れの HAPPY BIRTHDAY


〈すっかり忘れてた!誕生日おめでとう!〉


急いでデコメールをさがしたんだろうね。


今頃なにさ!


私は、そんな冷めた気持ちで電話を掛けた。


「好きよ」


『えっ?』


「ごめん、すっかり忘れてた!今年こそはと思っていたのに五日も過ぎてたよ。」


へぇー…日にちは覚えてくれたんだ。


でも、忘れてたのね…


それよりも、さっき、何か言ったよね?


確か「好きよ」と言ったよね?


約束をやっと守ってくれたのね?


さすがにまずいと思ったの?


でも、何で「好きよ」なの?


普通は「好きだ」とか「好きだよ」じゃないの?


何だかオカマさんみたいだよ?


「何で黙ってた?いつになったら思い出すかほくそ笑んでたのか?それとも、いつ思い出すかイライラしながら待ってたのか?」


『そんなこと思ってないよ』


「じゃ、どんな気持ちだった?」


『別に…何も思わなかった』


やっぱり貴方には、私の気持ちは分からないんだよね。


好きな人に自分の生まれた日を忘れられたら、淋しいに決まってるじゃない。


私のことなんてどうでもいいんだって思えて、悲しいに決まってるじゃない。


そして、どんな状況でも「好き」と言われたら、嬉しい決まってるじゃない。


貴方には、私の気持ちなんて分からないから聞くんだろうな。


「どうした?何で黙ってるんだ?」


それは嬉しいからだよ。


言葉に出来ないくらい嬉しいからだよ。


さっきから私の目から涙が流れてるからだよ。


そして、気付かれないように、携帯を離しているからなんだよ。


でも、何で今になって言うの?


せっかく、心が欠けてきたのに…


これじゃ、もとに戻っちゃうよ。


欠けた月が満月になるように、また、貴方だけでいっぱいになっちゃうよ。


そしたら…


また苦しくなっちゃうんだよ。


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