月光
あの碧い月の光、眩しく感じるときがある。
もうすっかり夜なのに、何だか明るい。
そのまま空を見上げると、晴れてるわりには星が少ない。
ふと東の方に目をやると、そこには真ん丸のお月様。
そういえば、髪の長いマジシャンが月に土地を持ってると言ってたっけ…。
でも、月は地球人の物じゃないでしょう?
あの綺麗な月を自分の物だと主張するお金持ちに、ついつい僻みたくなる。
そんな事を考えながら眺めていると、何だか心が辛くなってきた。
だって、後ろが透けてそうに碧く光る今日の月。
何だか、私の心を透かして見ているような気がしたの。
あの碧い月を堂々と見られるほど、私は綺麗に生きてない。
だから、思わず胸に手をやった。
私の汚い心を隠すように…。
碧く光るあの月に、少し前に出会えたら、私は真っすぐに見返せただろうか。
まるで人の心を映し出す、大きな鏡のようなあの月に…。
どんな風に映し出されているのだろうか。
たった一握りの想いさえ、我慢出来ないずに、藻掻いてる。
そんな、自分勝手で醜い私の姿を、あの碧い光はどんな風に映し出しているのだろう。
私は、思わず自分の手を見、足を見る。
自分の身体が、すぅーと闇に同化して、溶けて行くような気がしたから…
こんなに綺麗な月の夜を、貴方はどんな想いでいるのだろう。
あの透けてそうな碧い月。
そんな月を見上げて、綺麗だと、
ただ綺麗だと眺めているのだろうか。
こんな綺麗な月の夜は、もう少し遠回りをしながら帰ってみよう。
そんな風に想うのだろうか。
余計なことは考えず、自分に忠実に生きることを選んだ貴方。
そんな貴方を、あの碧い光はどんな風に映し出しているのだろう。
あの碧く輝く月の姿を、素直に綺麗と眺める貴方は、きっと月の光に可愛がられ、綺麗に映えているのだろう。
愛する貴方は、綺麗に映えているのだろう。