しるし
私、気付いてるんだ。
時々、貴方が私にしてること。
内緒で私の身体にしるしを付けてるでしょう?
見えないところにそっと…。
理由はよく分からない。
たぶん、軽い悪戯のつもりだろうって思ってた。
でも、もしかしたら別の意味なのかな?
もしも、他の人とそうなった時、私が困るのを想像して楽しんでいるのかな?
私を百パーセント信用してると言いながら、心のどこかで疑っているのかな?
そんなことないのにね。
だって、私は普通じゃないもの。
普通の女性のように健全な心を持っていないもの。
もし他人に触れられたら、緊張と恐怖で震えちゃうもの。
それが分かっていながら、なぜしるしを付けてるの?
それは、思われてる証拠なの?
それとも、疑われてる証拠なの?
理由が分からないまま、貴方は、昨夜も私の身体にしるしを残した。
両方の乳房にしっかりと残った指の跡。
このしるしには、どれくらいの愛があるのかな?
一週間、私がどんな気持ちでこのしるしを見るか、想像できているのかな?
私の身体に、どんなしるしを残しても構わない。
だけど、愛してるからする事なんだと、私にきちんと分からせて欲しい。
そうじゃないと、ちょっとだけ痛むの。
貴方の付けたしるしが、ただの痣となってしまうから。
帰りぎわ、ふざけて抱き締めてくれたとき、あのしるしは愛の証に思えたよ。
お前の身体は俺の物。
そんなふうに言われたようで、嬉しくて…嬉しくて……
ただ嬉しくて、貴方の指の跡をそっと撫でてみた。
ねえ、ここに愛はあるのかな?