自分らしく
私は、貴方にだけは無理しない。
『どうしたの?貴女らしくないなー。二週間近く逢わなくても平気なんて……俺のことそんなに好きじゃなくなっちゃったのかな?』
「そういえば、この前会った時から二週間くらい経つね。今回は、いつもより短かく感じたなー。」
『はい、そうですか。会わなくても平気なら、釣りに行っちゃおうかなー?因みに陸釣りじゃないぞ?俺の狙ってる獲物は伊勢海老だ!行っちゃってもいいかなー?』
「どうしても行きたいならどうぞ!」
『じゃーお言葉に甘えて、そうさせてもらうか…』
「本当に?」
『ウソだよ!明日は行かないよ。貴女は平気でも俺がダメだもん。』
「本当に?」
『うん!ねぇ、ちょっと自分の顔を触って見な?ニヤけてるだろ?』
受話器の向こうで貴方が笑った。
そんなの触らなくても分かるよ。
明日は二週間前から予約してたんだから、釣りになんか行かせるもんか!
まったくー!ちょっと余裕の振りをすると本当に行かれちゃうよ。危ない、危ない。
私ね、貴方にだけは無理しないって決めてるんだ。
逢いたい時は「逢いたい」と言うし、愛しいなぁって感じたら「大好き〓」と言って抱きついちゃう。
そして、もっと一緒に居たかったら「嫌だー、帰すもんかー」と駄々を捏ねる。
勿論、許される範囲でだけど……。
良い歳して馬鹿みたいだし、みっともないって分かっているけど全然構わない。
だって、私が初めて「好き」と言えた人だもの。
ただ一人だけ、「好き」と言える人だもの。
貴方との愛を二度と後悔しないために、私の愛のすべてを伝えておくの。
私の間違いだらけの人生で、唯一間違ってなかったとしたら…それは貴方を愛したことくらい。
だから、私は貴方への愛のすべてを伝えるの。
そして、全身で感じて貰うの。
私は、すごくすごくすごーく大好きだって。
私は、貴方と出逢うために生まれ、貴方を愛するために此処で暮らし、貴方に愛して貰うために素直になる。
それが、自分らしく生きること。
私が私らしく生きることだと信じているから…。
自分の気持ちのすべてが伝わったなら、もう何も思い残すことなどなくなるだろう。