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攻略対象が典型的な貴族な場合のまともなヒロインと、その友人。

作者: 向日葵

アリアは激怒した。必ずあのいけ好かないクソッタレ…ゲフンゲフン、あの男を除かなければならないと決意した。けれどアリアには度胸も無ければ知恵もなく、また行動力以下略そしてまた友人も1人しかいないという寂しいぼっちもどきなのでどうしようと立ちすくむしか無かった。


「どうしてこうなった。」


まず確認しよう。自分は魔法学校高等科1年のアリアである。つい8ヵ月前までは期待に胸を高鳴らせてこの学校にきたごく普通のど平民である。髪は黒、目も黒、顔も平凡という凄まじい地味さ平凡ではあるがそこは置いておく。だいたいこの学校には銀だの金だの緑だのお前の遺伝子どうした?と言いたくなるやつが多すぎるのだ。ああこれは決して地味すぎるからという自虐ではない決してない。

…話がそれた。

ここではお貴族様とやらが通っていて、そこに平民である自分は大層目立つ。いや、それはいい。貧弱な脳みそに必死に鞭打って頑張った結果だからな!!合格通知が来た時母さんと泣いて喜んだのはいい思い出である。しかし、魔法を使えと言われた時は行き当たりばったりで生活密着型呪文の圧縮という母さんが使っている呪文を使うと受かった。母さんすげえ。

違う違うまた話がそれた。つまり、何が言いたいかと思うと、筋金入りの平民である自分はいじめられるという事だ。…誰にって?お貴族様だよ察しろよ。無視は当たり前、たまにクスクス笑い、たまに教科書無くなる、たまに以下略。いや、それぐらいはいいんだよ?いじめられるって覚悟的なものはしていたし。いや、でも、な?


「…大丈夫ですか?」

「これが大丈夫に見えるのですか?」

「…申し訳ありません。」


「まさか、あれがあんなにも阿呆だとは思わなかったのです。」

「うん。私も思わなかったです。」


…誰と喋ってるかって?お貴族様その1のお目付役らしい…あれ?兄妹だったっけか?まあいいや。

あはは、と乾いた笑い声をもらす。


「まさか、本当に生徒会が率先してイジメしているとは…」

「…信じたく、無かったですね…」


そう。この学校ではイジメが行われている。標的は平民でありながら特待生でこの学校に入学した私。生徒の模範であり、目標となるべきアレとその取り巻きという名の生徒会メンバーが、曰く


・平民のクセに私達よりいい点数を取っている

・平民のクセにこの学校にきている

・平民のクセに私達に服従しない

・平民のクセに私達の言う事を聞かない

・平民のクセにetc…


という理由でイジメをしているのだ。

もうこの国だめだと思った私は悪くない。と言うか、いい点数取らないと特待生じゃいられないから、ものすっごく勉強しないといけない。放課後?もちろん勉強ですが、なにか?早起きして予習。夜は遅くまで復習のリピートですが?この学校に来ていることに関してはその方が就職がいいとこなると思ったからだよ!!母さんにはいっぱい迷惑掛けたから、せめて少しでも負担を減らそうと特待生だし。というか、身分平等がこの学校の不文律ですやん。勉強時間減らして落ちるのやだし。という事でなんか来いって言われてたの断ってたのがいけないのか?服従という所でこいつらもうアカンと思った私は悪くない。悪くないったら悪くない!!


「もう少しだけ耐えて頂けませんか?」

「いや、もうこれ張り出された時点でダメでしょう。」

「何とか撤回させますから…!」

「…王は間違ってはならない。いや、間違えない。でしたっけ?」

「…」

「リルアスト王国法第12条、王は全ての統治者であり神である。よって王の命令は絶対である。もし背いたものがいた場合、その者を極刑と処す。」

「…ですが、あれはまだ王ではございません!どうか、考え直してくださいませ!」

「無理だよ。よく見なよ。よりにもよって王家の名前で書いてある。」


激怒した後だからか凄く冷静だ。むしろ慌てているこの人を観察できるくらい。

いいわすれたが、この人はリリアン・サウスバード・ジルベスタン。サラサラの金髪は枝毛ひとつなく、肌は真っ白でシミひとつない。瞳は新緑の様な緑。顔立ちはまるで人形のように整っている。体も出てるとこ出ててしまってる所はしまってる理想の体型。ちょっと分けろ。主に胸部の脂肪。…この学校での私のほとんど唯一の友だちである。もとは、私がものを隠され、嫌味をいわれ終わって泣きながら探している最中に出会った。土下座という最上級の謝罪方法で謝ってこようとしたので慌てて止め、なぜそんな事をしたのか問い詰め、なんやかんやで今に至る。(話を聞いたらこの人が不憫過ぎて泣けた。出来のいい兄が起こす騒動の尻拭いをずーっとしてきたらしい。学校に入って落ち着いたかと思えば私へのイジメで泡吹いたらしい。合唱。ちなみに1歳年下であるこの子が来た理由は、飛び級という名の目付である。哀れ。)


「生徒番号12542698番 アリア

上のものを退学処分に処する



リルアスト王国 第一王子

アルフレッド・サウスバード・ジルベスタン」


…もう一度いおう、どうしてこうなった。確かにイジメられていて、嫌われてたけど、そこまでされるほどじゃ…あ、あったわ。金髪の俺様っぽい奴に


「俺よりいい点数取るとは生意気な!」


とか、


「なぜ俺の命令に答えぬのだ!」


とか言われてたわ。ガン無視したけど。だってキチガイ怖い。いや、文にしたら分かんないけど、めっちゃ目が血走ってんの。しかもこっちガン見。怖い。もとがいいだけにめっちゃ怖い。しかも外面いい奴だったらしくて、私がしたこと誇大して他の奴に伝えたみたいで(俺の事を無視する、など)第一王子に目を付けられた奴にみんな関わりたくない→でも覚えはよくしたい→じゃあ、アイツイジメて、覚えよくしようぜ!らしい。お蔭様でちょっと好意的だった人にも避けられるようになったよこんちくしょう。


「母さんは?」

「保護はもう完了しています。アレに害される可能性が非常にに高かったので。最初は驚いておられましたが、事情を説明するとあなたの心配をされていました。」

「あー。ちなみになんて?」

「無理しすぎたら、ニゴリアルマード10個食わせる、らしいです。」

「ひいっ。」


「あの、ニゴリアルマードとは?」

「…母さんのどれくらい食べ物を辛くできるかという挑戦によって出来た。ちなみに材料は、チゴ、アルマ、ニズリアン。」

「!?」

「ちなみにそれを5こずつ使い、母さんの圧縮魔法で小さく「そこまででお願いします。」」


さっきあげた食べ物はこの国の3大辛いものだ。一つ一つでも激辛なのに、それらが合わさったあれは既に凶器である。でももっと恐ろしいのが、それを好きという奴がいる事だ。ちなみに私は一個食ったら吐いた。トラウマ。


「ねえ、あれ消したら何も無かったことには?」

「…申し訳ありません。撤回は既に不可能です。」

「…だよね。」

「ねえ、一旦部屋に戻らない?ここに人が集まってきた。」

「そうしましょう。」



転移テレポート

我らの部屋まで飛ばせ』


[転移呪文

魔法学校での範囲ならば使えるように短縮されている。距離が長くなった場合、魔力、呪文共に長くなる。今の呪文はスタンダード編。転移呪文の中で最も簡単で短い。区分:遠距離]


私とこの子はルームシェアにしている。2人一部屋のなか、リリーだけがいいよと言ってくれた。リリーの性格が出ているこの部屋は、可愛らしいと思う。全体的に青っぽい。所々に光り物があるのがいいアクセントだと思う。…わたし?地味で悪いか。黒と茶色のみだよこんちくしょう。センスが欲しい…!


「ルームシェア出来たのがリリーで良かったよ。」

「何ですか、いきなり。」

「いや、今日が最後に会える日だから、全部言おうと思って。」


「リリーは、泣きそうだった私にごめんって言って謝ってくれた。」

「っ、それは!」

「うん、その時私もグレかけてたからね。あの時、あんな事言ってごめん。」

「…ゴメンは顔を合わせて言うのでは無かったのですか?」

「準備してるからダメー。」


あの日、私は入ったばかりで、どうして自分がこんな目にあってるか意味がわからなかった。いや、分かってたけど無視してた。だってキチガイ怖い(2回目)。それで、いつもの嫌味の後、ひとりひっそりエグエグと泣いていた私に近寄って来て、大丈夫ですか?って言ってくれた。久しぶりに言われたその言葉に私は、まあ、マジ泣いたよね、うん。


リリアン…もういいや。リリーは、あのキチガイの妹って聞いた時、一瞬怯えた。いや、だってアレの妹もアレっぽくて怖かった。それを見とがめたのだろう。いきなり申し訳ございません!!と行ってきて、土下座(東の国の最高級の謝り方らしい)使用としたので、慌てて止めた。なぜそんなことしたのか聞くと、私が傷ついているから、らしい。


「あなたが私の愚兄によって苦しめられているというのに、私は何も出来ないのです…!ならば、土下座するしかないでしょう!」

「いや、その結論ちょっと待て!」

「ええい、話しなさい!!」

「ああもう!

『緊縛

我の前にいるものを縛れ。動かず、喋らずただそこにいるものとなれ』!」

[緊縛呪文

人などを縛るための呪文。だか、相手の魔法耐性が自分より高ければ簡単に解けてしまうのであまり使われていない。区分:近距離]



「…落ち着きました?」

「…ええ。」

「えっと、仕切り直しましょう。私はアリアと言います。あなたはリルアスト王国第一王女、リリアン・サウスバード・ジルベスタン様であっていますか?」

「はい。」

「それで、私に謝ってきた理由が、アレですか?」

「はい。アレに苦しめられているというのに、私は何も出来ない私が悔しくて…私に出来る精一杯の事をしようと…」

「あ、結構です。」

「え?」


「あなたの自己満足は要りません。」


「っ?それは、どういう?」

「えと、それはあなたがして満足するだけでしょう?そんなものは要らないんです。」

「!?私は満足なんて!」

「してます。その事に対して、あなたはそれで終わりにするでしょう?私は謝った、だからもう許されたって。「ッ違「違くないんです。」


ヤケクソになっていた私は、不敬ということも忘れ、思い切り怒鳴っていた。


「ふざけんな!私がこんなに苦しんで、辛いのに、てめえは謝って、はいそれで終わり?はっ。貴族様って言うのは随分簡単なんだな!ざけんな!」


「申し訳ありません!」


「だから!なんで!なんで、て、めえが、っく、あやまるん、だよ。私は、もう、嫌で、もう、」

「…はい。」

「どうして、あいつなんかが、っヒック、うあ、ああああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


…簡単に泣きすぎるって? いや、その時はナイーブで、ガラスのハートだったから。おい今笑った奴校舎裏な。もうお前行けないだろうって?よしわかった今すぐこここいや。

散々泣いて泣いて、鼻水垂らしてハンカチで拭い、目真っ赤になるまで擦るはで大変だった。


「…楽になりましたか?」

「ばび。」

「ああ、無理しないでください。」


いや、あん時はマジで死にたかった。泣き顔晒すとか…っ!それも年下の女の子に…!


「もう一度言います。申し訳ありませんでした。」

「…」

「あなたの言う通り、自己満足なのかも知れません。ですが、それでも言わせてください。」


「…わかりました。」

「はい。あと、不躾ながらひとつ、頼みがあるのですが。」

「…このこと誰にも言わないのなら。」


「…私の友人になっては頂けませんか?」

「…は?」

「さっきの言葉はとても心に響きました。あなたの様な方が友人として、私に厳しいことを言って欲しいと思っているのです。」


この人はドM何じゃないかと思った。




ひとつひとつ片付けていく。ルームシェアとか、わたしと友人とかの件でリリーにも迷惑を掛けた。だけど、第一王女と言うのが大きかったのだろう。表立ってはあまり無かった…生徒会以外は!

いや、あいつらの顔は思いっきり

【面白い玩具見つけた】

って書かれてたから。ていうかマッドサイエンティストっぽい奴に何も言わない騎士みたいなやつ、腹黒っぽい眼鏡(多分伊達)にワンコ。…本当にここ大丈夫か?


まあ、切りがないので置いておこう。




…もの、すくねえなあ…




「…よし、終わり。」

「行ってしまうのですか?」

「うん。まあね?」


「一応冒険者として身を立てようと思う。母さんの事は頼んでもいいんだよね?」

「もちろん。」

「なら任せた。とりあえず、シンラビ町にあるギルドいくよ。治安ちょっと悪いけど、今の私にはちょうど良さそうだし。」

「…必ず、あの阿呆を引きずり落として見せます…!!」

「うん。頼んだ。」




「さようなら、とはいいたくないのですが…」

「奇遇だね。私もだよ。だからこうしよう。」





「またな、リリー。」

「…ではまた次の機会に。アリア。」








続く…かな?

アリア

黒髪黒目のそこそこ美人。努力家。ずっと首位を取っていた。この後冒険家になってまた何かに巻き込まれる。多分その前にお母様からニゴリアルマード食らう。


リリアン・サウスバード・ジルベスタン

金髪緑目の超美人。頭いい。出来のいい外面に隠されている兄の尻拭いに奔走。その時に知り合う。多分後でブチギレる。カウントダウンはアリアがいなくなった事で秒読み。普段怒らない人は怖いの典型を行く。


アルフレッド・サウスバード・ジルベスタンとその他の生徒会役員

典型的な悪貴族。&取り巻き。

容姿と頭はいいが、素行がアウト。

多分リリーさんにのされる。(-人-)


お母さん

母子家庭で主人公を育てた。無表情だけどたまに見せる笑顔がいいと評判。ちなみに確信犯。アリアをイジメたやつに対する超激辛版ニゴリアルマード作成中。

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