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Jの追憶録  作者: 桜馬
1/1

若水圭介

若水圭介 妻の小夜と2人の娘の沙耶と紗江が生きがいの32歳男性

妻と娘が拐われてから7日 若水家リビングにて


1月1日 3:00 若水家前にて

「ここにあるんだよね」

そう言い僕は家に入っていった。

家の中は綺麗に片付いている。

僕は玄関を進み廊下を進みリビングへと繋がる扉の前に立った。

「次で終わるんだよね…」

本当に…もう……

僕はリビングへ入っていった。

リビングも他の場所と同じく綺麗に片付いていた。

だがその床には綺麗に片付いている部屋には合わない小さな器が置かれていた。

それは赤黒くドロドロとした見た目でよく見るとところどころに白いものが混じっている。

近づくとその中にはとても透き通った液体が入っていた。

「これは………」


12月24日 20:00 若水家前にて 若水圭介

今日も一日頑張った、帰ったら明日の準備をしないとな、明日も楽しみだけど明後日の朝も楽しみだな。

そんなことを考えながら家の方を見ると家の明かりがついていなかった。

あれ、電気がついてないな、もう寝ちゃったのか?いつもならまだ起きてる時間なのに…

まぁ沙耶と紗江はまだ小学生だし小夜はいつも頑張ってくれてるしな。それに明日は久しぶりに皆でお出かけだしな。きっと明日のために今日は早く寝たんだろう。

そういうことなら起こさないようにしないとな。

そこで俺はなるべく音を立てないように鍵を開け扉を開け家に入っていった。そして電気をつけずにリビングへ、明かりは外からのものだけでもなんとか見えた。

こうしてるとなんだかいけないことをしているような気分になっていくな。

リビングへ入るとそこにはいつもとはまったく違った光景が広がっていた。

小夜,沙耶,紗江がいなくて電気がついていないだけなのになんだろうな、いつもとまったく違う感じだ。やっぱり一人は寂しいな……

あぁ、腹が減った。今日の夕食は何だろう?

俺は机の上のメモ帳を見た。

メモ帳には日付とメニューが書かれている。前になんで書いているのか聞くと『あなたが帰ってきたときに夕食が何か分からないといけないでしょ』と言われた。いつも一緒に食べるのだからいらないと思うのだけど。

まぁ、今回はこれがなかったら夕食が何か分からないだろうけど。

メモ帳にはこう書かれていた。

12月20日 ご飯・野菜炒め・みそ汁

12月22日 ご飯・ぶり大根

12月23日 しちゅー

あれ、今日の分が書かれてない…書かないのは皆で外に食べに行くときだけなのに…

俺は不思議に思いながら台所へ行った。

すると、なかった。今日の夕食もそれを食べたあとの食器も。

電気をつけて確認するがやはりない。

嫌な予感がした。

これまでこんなことはなかった。夕食のメモを書かないことも、夕食を作っていないことも。

「小夜!沙耶‼︎紗江‼︎!」

俺は走っていた。

沙耶の部屋を見る、いない。紗江の部屋を見る、いない。小夜の部屋を見る、いない。自分の部屋、トイレ、風呂、押入れ、どこにもいない。誰もいない。

そうだ!電話‼︎これで連絡がとれるはず。

ピッピッピ

プルルルルル プルルルルル

くそっ!でろ‼︎でろ‼︎!でろ‼︎‼︎

カチャ

「こちら小夜、ただいま電話に出られませ」ガチャ

くそっ!くそっ‼︎なんでだよ何があったんだよ‼︎どうしてでないんだよ‼︎!

そうだ‼︎警察!警察ならなにか

ピッピッピ

プルル

ガチャ

「はい、こちら警察」

「小夜が!妻が!娘たちがいないんです‼︎」

「只今年末年始の休業中のため来年の1月10日まで待っていてください。では」

ガチャ

ハァッ?!今なんて…休業中⁈!警察が⁈‼︎ふざけんなよ‼︎くそっ!くそっ‼︎

こうなったら自分で探してやる、警察なんか頼るか‼︎

俺は玄関へ走った。

ガッ

っ‼︎開かない⁈‼︎なんで⁈⁈ っ‼︎鍵‼︎‼︎

ガチャ

よし!開いた‼︎

ギギッ‼︎

くそっ!なんでこんなに扉が重いんだ⁈‼︎

「オラッ‼︎‼︎‼︎」

ギギギギギッッ‼︎!

よし!開いた‼︎

「っ‼︎‼︎‼︎‼︎」

これは………

家の周りは皮膚がただれたモノ達に囲まれ、その奥には真っ黒な空間が広がっていた。

「お前達は何者だ‼︎妻を!娘たちをどこへやった‼︎‼︎」

「あなたの奥さんも娘さんたちもここにはいませんよ」

いきなり背後から声がした。

「お前は誰だ‼︎妻を!娘をどこへやった‼︎‼︎‼︎」

そう言いながら後ろを向くとそこには黒いスーツを着たナニカが立っていた。

「答えろ‼︎」

そう言い俺はナニカの胸倉を掴んだ。


12月25日 10:00 若水家 圭介の部屋にて 若水圭介

「うぅ………」

眩しい…ここは……俺の部屋?…うぅ…眠い……ってか今何時だ?……

俺は重い体を起こしながら時計を見た

「っ‼︎」

10時⁈嘘だろ……いつもなら6時には小夜が起こしてくれるのに……

そうだ、昨日俺が帰ってきたら………っ‼︎

「小夜!小夜‼︎」

俺はリビングに走った。

「小夜‼︎」

リビングの扉を開ける。すると

「おはようございます」

そんな声が聞こえた。だが明らかに小夜の声とは違う、それどころか沙耶でも紗江でもない。

「お前は‼︎」

「お忘れですか?若水さん。私ですよ昨日もお会いしたでしょう」

目の前のそいつは黒いスーツを着て朝食を作っているそいつは昨日の奴だった。

気づいた途端俺は動きだしていた

「妻は、娘はどこだ‼︎お前は誰だ‼︎‼︎」

そして昨日と同じように胸ぐらを掴んだ。

が、そこには何も無くなっていた。

「お止め下さい」

背後から声が聞こえた。

「貴方が私に触るとまた気を失ってしまいます」

「アァ‼︎」

何を言っているんだ?気を失う?そんなわけあるか‼︎

俺はまた掴みかかった。

が、またいない。

「しょうがないですね。今日のところは消えます。ですがこうしている間にも貴方の奥さんと娘さんたちは危険な目に合っているかも知れませんよ」

また背後からだ。くそっ!なにわけのわかんないこと言ってんだよ‼︎

もう一度掴みかかった。

「また明日来ます。それまでに落ち着いていて下さいね。どうせここからは出られないんですから」

まただ、またいない。くそっ‼︎どうなってんだよ‼︎

今度は背後にもいない。本当に消えてしまった。

「出てこい‼︎どうせそのへんにいるんだろ‼︎‼︎出てこい‼︎‼︎」


2時間後

同日 12:05 若水家リビングにて 若水圭介

「ハァハァハァくそっ‼︎本当にいない、この部屋にはおろかこの家のどこにもいない。しかも外に繋がる扉も窓も開かないし、いったいどうなってんだよ」

グーーー

腹、減ったな……

飯は…あいつが作ってたやつが机の上にある。が、そんなん食えるか。

そう思い俺は冷蔵庫と食料が置いてある場所を漁った。

結果

人参2本・玉ねぎ(小)3個・じゃがいも3個

おかしい、いつもなら缶詰やカップ麺が置いてあるはずだ。それに調味料が1つも無いなんてあるはずがない。だってそうだろ………駄目だ、考えがまとまらない。

少し落ち着こう。

ふとテレビが目にとまった。

そうだ、テレビを見て一旦落ち着こう。

俺はリビングのソファに座りテレビをつけた。

ピーーーーー

えっ⁈こんな時間に放送していない⁈

チャンネルを変えてみる。

ピッ

ここもしてない……

ピッピッピッ

なんでどこもしていないんだ⁈

ピッ

っ‼︎画面になにか文字がでてきた。

年末年始は休ませていただいております。

ハァ‼︎なんで?そういえば昨日の警察も……

俺は急いで番組表を開くと。

Nテレ 休み 1月7日まで 国テレ 休み 1月10日まで Aテレ 休み 1月6日まで Yテレ 休み 1月5日まで

くそっ…ハァ………寝るか………


同日 22:00 若水家 リビングにて 若水圭介

「ふぁぁぁぁ」

暗い…今は何時だ?

電気をつけて時計を見ると針は10を指していた。

もう…こんな時間か.……小夜………

グーーーー

くそっ、腹が減った。

…………

仕方ないか……

俺は机の上にある今日の朝奴が作ったであろう料理を食べることにした。

冷たい……

奴は何かを知っている。俺の知らない何かを…

俺は奴が作ったであろう料理を食べながら考えることにした。

まず今回のことについて整理しよう。

1.小夜,沙耶,紗江はここではないどこかに連れて行かれた。(と思われる)

2.俺は家から出られない。(少なくとも俺の力では)

3.外の景色は見ることができる。

4.奴は俺の知らない何かを知っている。(と思われる)

5.奴は消えることができ、外に出ることもできる。(と思われる)

6.警察は頼りにできない。

ハァ……俺じゃあどうにもならないな……奴に頼るしかないのか………

とりあえず家の中をもう一度探索してみよう。もしかしたら何か使えるものがあるかもしれない。


5時間後

12月26日 3:30 若水家 リビングにて 若水圭介

駄目だ…何もない……奴が来るまで待つか………


6時間後

同日 9:30 若水家 リビングにて 若水圭介

はぁ………まだ来ないのか

30分後

「どうも、遅くなりました」

奴だ……

「遅かったじゃないか」

「すみません。ここに来る前に少し用事があったものですから」

「そうか……」

「で、どうです。話を聞いてみる気にはなりましたか?」

「あぁ」

「そうですか。まず、貴方の奥さんと娘さんたちは拐われました。」

「助けられるのか?」

「それはわかりません」

「そうか……」

「ですが貴方が助けて欲しいと助けるためにはなんでもすると言うのでしたら私に出来る限りのことはしましょう」

「あぁ、してくれ。妻を娘たちを助けてくれ」

「そうですか、では続きを話しましょう。」

「いや、いい」

「と、言いますと?」

「話さなくていい。それより早く妻と娘たちを助けてくれ」

「そうですか、わかりました。では、見つかったらまた来ます」

「あぁ」


数日後

若水家 リビングにて 若水圭介

「……ごめんなさい…俺が…仕事になんか行ってたから………ごめんなさい……俺が…守らなくちゃいけなかったのに………守るって言ったのに….…ごめん…小夜……ごめん………沙耶………ごめん…………紗江……ごめん…ごめん……ごめん……………」

「こんばんは、若水さん。泣いてるんですか?」

「あぁ…ごめん」

「謝らないでください」

「…ごめん」

「貴方がそんなんでどうするんです、貴方が彼女たちを守るんでしょう」

「………あぁ…」

「……見つかりましたよ、貴方の奥さんも、娘さんも」

「っ‼︎本当か!」

「はい、駅の近くの廃ビルに。ですが、その」

「…なんだよ…」

「奥さんも娘さんもその、衰弱していまして…」

「………助けられないのか?」

「いえ、方法はあります。ですが…」

「なんだよ‼︎」

「貴方の肉体を使わないといけないのです」

「それで、本当に助かるのか?」

「断言はできません。ですが八割は助けられると思います」

「どうすればいい?」

「するのですか?」

「あぁ」

「貴方のその肉体は無くなるんですよ」

「あぁ、わかってる」

「そうですか、でこれを」

やつは俺に飴のようなものを渡してきた。

「それを食べれば貴方の魂と肉体は別れ、魂は液状のものに、肉体は薬になります。魂が変化した液体は新しい肉体に入れればその中で生きることができます。肉体が変化した薬を貴方の奥さんと娘さんに飲ませれば奥さんと娘さんは助かるでしょう。ですが、もし貴方が奥さんと娘さんを本当に大切に思っていなければ貴方の魂と肉体は溶けだし外にいたモノ達のようになってしまいます。以上がそれの説明となります」

「一つだけ聞いてもいいか?」

「えぇ、いいですよ」

「おれが薬になった後はお前が妻と娘のところへ持って行ってくれるのか?」

「はい、私が責任を持って貴方の奥さんと娘さんのところへ持って行きましょう。それから貴方の魂のことは奥さんと娘さんにも伝えておきますのでご心配なく」

「そうか、ありがとう」

俺はやつに貰った飴を食べた。


1月1日 6:00 若水家 リビングにて

「………廃ビルに……行ってみます」

僕は若水さんだった液体が入った器を持って廃ビルに向かった。


30分後

同日 6:30 廃ビル前にて

「ここに、若水さんの奥さんたちが……お邪魔します」

そう言って僕は廃ビルの中に入っていった。

廃ビルの中は思っていたよりも片付けられていて誰かが住んでいるような雰囲気だった。

僕は迷わずに地下に向かっていった。

地下に近づくにつれて鉄のような臭いがしてくる。

「ここは…」

地下には牢屋があり中では多くのなにかが蠢いていた。

僕は少し速めに歩き先へと進んだ。

牢屋がある場所を抜けると鉄の扉があった。

「この先に若水さんの奥さんたちがいるんだよね」

僕は鉄の扉を開けた。

「っ‼︎」

そこには檻の中に入れられた奥さんだっただろうモノと引き裂かれた服が2着、皿4枚あるだけだった。

僕は奥さんだったであろうモノに近づいた。


廃ビルの地下?にて

「お母さん‼︎お母さん‼︎」

「紗江‼︎沙耶‼︎」

「煩い‼︎」

ガッ‼︎

何か硬いもので殴られた音……

「お母さん‼︎‼︎」

「……」

「お前らも煩いんだよ‼︎母親と同じようになりたいか‼︎」

男の声……

「っ‼︎」

「やめろ。売りもんだぞ」

別の男の声……若水さん娘さんたちは売られたのか?

「すいません」

「分かればいい。だが、あまり煩いと手足を切るぞ、そういうのが好きなやつもいるからな」

「……」

「来い」

足音だ……連れて行かれてるのか?

「親の方はいりませんので。それではまたそのうち」

?誰に言っているんだろう?


同日 7:00 廃ビルの地下にて

「……若水さん……どうやらあなたは薬にも液体にもならなくてよかったようですよ…………あなたの奥さんはもうこの世にいないから。あなたの娘さんたちはもうここにはいないから。」

僕は廃ビルから出るために出口へと向かった。

出口へ行く途中で黒いスーツをきた牢屋にいたモノと出会った。

「貴方は誰ですか?その手に持っているのは何ですか?……っ‼︎ここは貴方のような者が来る場所ではないでしょう?」

黒いスーツを来たモノはそう訊いてきた。

僕はその場で少し待ち、そして歩きだした。


同日 7:05 廃ビル前にて

「若水さん、あなたの魂は僕の償いのために使わせて頂きます」

そう言い僕は手に持っていた若水さんだった液体が入った器をポケットの中に入れた。

12個目、これで最後だ。これで終わるんだ…僕の償いが……やっと終わるんだ………これで…………

「12個目だね。行くよ」

「…うん…」


????にて

「それも速く置きな」

「…うん……」

僕は最後の1個を他の11個が置かれている円の上に置いた。

「置いたね。じゃあ中央に立ちな」

僕は12個に囲まれた円の中央に立った。

「じゃあ、いくよ」

「…うん………」

これで終わるんだ……本当に……僕の償いが………

「バイバイ」

………あれ……落ちていく……あれ…僕の身体が見える………あれ…僕の身体に…首が……ない…………あれ…あれ……あれ………………….………そうか…僕は……許されなかったんだ………………

ごめんね……ごめんね………ごめんね……………


「あと12人か…もう少しだな」

桜馬和扇 桜馬の一作目読んでくださりありがとうございました。

この作品は受験勉強が面倒くさいな〜と思い勉強するなら小説書いてみよ。と思い書いたものです。とどのつまり現実逃避です。冬休みの始まりらへんから書いたので荒いところがあるかもしれませんがそのへんはまぁ、ご愛嬌ということで。

次の作品は2月のいつかに出すのでそちらも見て頂ければ光栄です。でも、俺に何かあったり忘れてたら出ないのでそのへんは理解したうえで待っていて欲しいな。もしかしたらこの続きじゃない作品を1月中に出すかも。


1/25

この作品を書く時間が取れそうも無いため無期限延期させて頂こうと思います。

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