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アンノウンの襲来

待っててくれた人、有難うございます。時間はないのでかけてないけどエタってはいません、一応。

あと2話ほど、近日中に投稿予定です

ある意味予想通りか。違う相手だったらいいのに、という期待がなかったわけじゃないが。嫌な予想は当たるな。

やっぱりホルストとか、あいつらが噛んでいるのか。

ステルスを貼られて接近されたら警戒網を貼っていてもさすがに気づかないか。

物理的に見えないものを見つけるのはさすがに無理だ。


【くそっ】


レナスが一機被弾したのが視界の端で見えた。

戦闘不能じゃないようだが、左腕が折れたようにひしゃげている。誰かの悪態がコミュニケーターから聞こえた。


灰の亡霊ブラウガイストと正面から戦ったのは俺とトリスタン公、それにシスティーナだけだ。

俺は二度戦っているが、有視界戦闘では敵が見えなくなるってのはかなり厄介だ。

一騎を狙った瞬間、溶け込むように姿が消える。


「くそっ」


レースも騎士の操縦もタイミングが命だ。突然姿が見えなくなるとそれが狂う。間を外された。

掻き消えた敵の騎士が少し離れたところに姿を現す。こっちに右手のカノンを向けているのが見えた。


左足を捻って真電を旋回させると、白い光がコクピットを一瞬で照らした。カノンの光弾が真電をかすめていく。

二度戦った経験からいうと、こいつへの対策はとにかく動き続けること。

……あとは何でもいいから被弾させることだ。ステルス発生装置である肩の装甲を傷つければステルスはある程度無力化できる。


「インチキ装備つけやがって、レギュレーション違反だろ!」


当たり前だが人間は目に頼っている。突然姿が消えるってのはとてつもなく厄介だ。しかも、こっちは相手の場所が分からないが相手はこっちを認識できている。

それに、レーダーやロックオンがない騎士の空戦では、灰の亡霊ブラウガイストもそうだったが、厄介さは倍増する。


しかも全機同じ形ということは、全機ステルス装備ってことか、一機だけでも厄介だっていうのに。

なんでここまで接近を許したのか、と思ったが、4機全部ステルスを貼られて距離を詰められたらさすがに気づかないか。


「慌てるな!消えてるって言っても弾は当たるし、動きが変わるわけじゃない!パニックになるな!目で追うな。行き先を撃つんだ」


といってもそれが簡単にできれば苦労はしないんだが。姿が見えてない相手をイメージして追うのは難しいし、俺だってできるかは怪しい。


『了解だ!』

[わかった]


次々と返事が返ってくる。完全にパニックに陥らないところはさすが騎士団の精鋭か。


ただ、予想通りのステルス、灰の亡霊(ブラウガイストか、と思ったが……ちょっと違う。

一瞬姿が見えなくなったと思ったらまた別のところから現れる。ステルスの展開がかなり短い。

ほぼ完全に隠れて撃ってきた灰の亡霊と違って、消えては現れ、を繰り返している。


ステルス装備の騎士なんてものがそうごろごろ転がっているとは思えない。改良版か……と思ったが。

そうじゃない……昔見たロボアニメを思い出して、思い当たった。

多分あれは、実験機である灰の亡霊(ブラウガイストの……量産型だ。


灰の亡霊(ブラウガイストの廉価版なのか、それとも灰の亡霊(ブラウガイストが実験機でその量産型なのか、いずれにせよ同系列の騎士だ。


「クソが!」


目の前で敵の騎士が解けるように姿を消す


「ショットガンモード!」


トリガーを引いて左右のシールドをショットガンモードに切り替える


「食らえ、この野郎!」


震電をひねるように姿勢を変えて急降下して機体を捻る。

宙返りのように天地が入れ替わって、体を捻じ曲げられるようなGがかかった。真上を向きざまに、両手のショットガントリガーを引く。


消えている相手を捕まえるなら、ブレードより弾をばらまけるショットガンの方がいい。

それに、騎士自体の運動性は変わらない。黒の亡霊シュヴァルツガイストの短距離テレポートみたいにいなくなるわけじゃないし、あり得ない急旋回ができるわけでもない。あくまで見えなくなるだけだ


白い光弾の束が飛んで、空中で光がはじけた。命中!

肩装甲が飛んでバランスが崩れた騎士が姿を現す


「後は頼むぜ!」


[まかせろ!]


バートラムのフレイアが右手のエーテルジャベリンで急降下しながら敵の騎士を貫いた。白い光の槍をまっすぐにうけて、そのまま墜落していく。まず一機

一機へって、敵が少し下がってこちらを取り巻くように飛ぶ。ステルスの威力を誇示したいのか、消えたり現れたりを繰り返している。


[サラ、それにディートレア]


「なんだ」


こっちから切り込んで相手の体制を崩すか、と考えていたところでバートラムの声がコミュニケーターから聞こえた。


[ここはいい。お前らは先にいけ]


「なんだって?」


[敵の騎士が単独でここまで来ているってことは、かならず拠点があるはずだ。それを突き止めろ]


「だがよ」


一機減ったとはいえど相手はまだ3機いる。増援も来るかもしれない。ここで戦力を分けることがいい結果になるとは思えないが。


[昨日も言っただろう。任務が最優先だ]


念を押すようにバートラムが繰り返す


[お前らの騎士が一番足が速い。命令に従え、言ったはずだぞ]


『了解した、指揮官殿』


サラが応答してヴァナルカンドが上昇した。追うように一機が急上昇するがそれを追うようにフレイアの光弾が飛ぶ


[行け、ディートレア]


コミュニケーター越しでもわかるほど、バートラムが強い口調で言う。

言い返そうと思ったが……覚悟を決めたプロの言葉だ。

ここに留まるの方がむしろ失礼だってことは分かった。


「片付いたら戻ってくる!」


レースでもチームオーダーでチームメイトを踏み台にすることはあった。

だが、ちょっとした記念参加も含めていろんなレースに出たが、こんな風に仲間を置き去りにするなんてシチュエーションはなかった。

コース上で炎上するマシンを見捨てるなんてことはレーサーの恥だが……行くしかない。


「……死ぬなよ!」


[頼むぞ!]


震電を上昇させてヴァナルカンドを追う。

ヴァナルカンドが雲の峰を縫うように飛んでいくのが辛うじて見えた。


『雲に隠れながら行くぞ。ついてこい!』


俺のことを確認したのか、少しスピードを緩めて待っていたヴァナルカンドが一気に加速した。

細い飛行機雲を引いてヴァナルカンドが飛ぶ。

こうしてみると震電や風精ヴァーユほどじゃないが、なかなか早い。高機動タイプと言うだけあるな。


「方位は大丈夫なのか?」


『まかせておけ!』


頼もしい返事が返ってきた。たしかに飛び方に迷いがない。

騎士団の乗り手候補はこういう訓練もするんだろうな。


俺としては戦闘はともかく、方向を見定めて飛ぶというのはあまり経験がない。メイロードラップもほかの騎士の合わせて飛んだ感じだしな、先導してくれるのはありがたい。


しかしいったい何がいるのか。そしてさっきの連中は何だったのか。

なにがいるにしてもこっちは2機しかいない。正面から行くのは無茶だろう。

そもそも戦闘が目的じゃない。理想的には相手の正体を確認して離脱、そしてバートラムたちを援護して撤退できることが最良だ。


『さっきの騎士はなんだったのだ?』


「わからんが、あの透明になる奴は海賊が使っていた騎士のバージョン違いだな」


『しかし……海賊とは思えんぞ。むしろ軍隊のようだった』


サラがいぶかしげな口調で言う。

そう、それだ。ステルス装備の騎士、というだけでなく。規格化されて同じ機体を使っていた。海賊の騎士にステルスを換装したというの感じではない。


考えてみたが答えは出なかった。サラも同じなんだろう。コミュニケーターが沈黙する。

今それを話しても答えのない推測をすることしかできない。返事替わりともいいたげに黙って先行して飛ぶヴァナルカンドを追う。

黙って飛び続けた時間は30分にも満たなかったと思うが。


『お客だ!』


先行するサラが警告を発する。

遠くの雲間に4機の騎士が飛んでくるのが見えた。


---


「くそ」


周りには母艦となる飛行船の姿は見えない。

哨戒飛行するにしてもなぜこっちの場所がわかるんだ。それとも偶然なのか。


『切り抜けるぞ!後れを取るな、ディートレア』


どうするか考えるより早く。

カノンを打ちながらヴァナルカンドが急上昇して敵の騎士との距離を詰めた。随分勇ましいというか、遠距離型機じゃないのか、あれ。


すれ違いざまにヴァナルカンドがカノンを槍のように振った。一騎のウイングが切れてバランスを崩す

カノンの銃口に白いブレードが形成されていた。銃剣付のカノンなのか。初めて見たぞ。


2騎がこっちに向かってくる。

エーテルシールドを左手に、右手はカノンらしきものになっているが、長銃を思わせるフローレンスではおなじみのカノンと違ってずんぐりしたバズーカ砲とかのような見た目だ。

腕に持っているんじゃなくて腕と一体になっている。


デザインもフローレンスでよく見る騎士と比べて角ばっていて武骨なデザインだ。武装も含めてみたことがない。

ただ、肩装甲は灰の亡霊ブラウガイストやさっき見たやつのような大きめのもんじゃない。ステルスは使わないのか。

そいつが右腕のカノンを構える。


「シールド、来い!」


いつも通り、盾を張って震電を左右に振って回避行動に移る。

カノンの砲口が白く光って光弾が飛ぶ。次の瞬間震電が大きく傾いで失速した。躱したと思ったがシールドの端にでも引っ掛かったか。


「やるな!」


左足をひねって姿勢を整えつつアクセルを踏む。

見た目通り、弾も大きめなんだろうか。油断したがダメージを受けた気配はない。ツイてたな。


『大丈夫か?』


「大丈夫だ。問題ない」


バランスを取り直して震電を立て直す


「やるじゃねぇか」


最小限でよける癖がついているから危なかった。左右の切り返しを大きめにする。もう一度カノンの光弾が飛ぶが、それは大きく外れた。

どうやらフローレンスでよく見る速射性を重視したタイプじゃなく、大口径の光弾を単発で打ち出すタイプらしい。


突進する俺を見て二機がそれぞればらけて距離を取ろうとするが。

遅い。ずんぐりした重たげな見た目通りなのか、今まで戦ってきた騎士より加速が鈍い感じだ。


こっちに砲口を向けた瞬間左に切り返し、すぐに右に震電を振る。こっちのフェイントに引っかかって光弾があ明後日の方向に飛んだ。

左右から立て続けに加速Gが襲ってくるがこのくらいどうってことない。足を踏ん張ってGに耐えてアクセルを全開にする。一気に距離を詰まった。


「その首もらったぁ!」


交錯しざまにブレードを振り抜く。

左右の操縦桿からつっかえるような重い手ごたえが伝わってきた。どこに当たったかは分からないが傷は浅くないと見た。

もう一騎。二機目がくるりと反転したのが視界の端に見えた。逃がさん。


「チャージウイングj」


トリガーを引くと視界がシールドを張った時のように薄白くなった。

アクセルを踏むと震電がぐんと急加速する。空力の改善がされるってのは本当か。一気に逃げていく敵の騎士が近づく


「悪いが逃がさねぇよ!」


ウイングを解除する。視界に色が戻った。勢いそのままにブレードを構える


「落ちろ!」


追い抜きざまにブレードを振る。操縦桿から手ごたえが伝わった。

一旦旋回すると、ウイングが切られた騎士がバランスを崩しているのが見えた。あれなら戦闘不能だろう。


こっちが見ないうちに、サラがもう一機を沈めていた。なんかえらそうな態度だったがなかなかやるな。バートラムが参加を認めるだけある。

とりあえずこれで全員戦闘不能だ。


「どうする?」


間違いなくどこかの軍隊というか組織化された勢力が居座っているのは確かだが、俺たち二人で突っ込むべきなのか。

生きて帰れなければ情報も持って帰れない。何らかの敵対的勢力がいる、しかもかなり大規模、ということでも情報としてはある程度価値はあると思うが。


サラが返事を返してこない。その間にも震電とヴァナルカンドは飛び続けている、

今は雲の間に隠れているような状態だが、開けたところに出たら敵の大群、なんてこともありえるぞ


「おい、どうする?返事をしろ」


『あれは……そうか、どこかで見たと思ったが。あれは射手ストリエローク……だ』


「なんだそれ?」


不意に雲が途切れて、青い空が視界に飛び込んできた。白い平原のような雲海が遠くまで伸びている。

そして、ところどころに浮かぶ雲の塊のはるか向こうに飛行船が見えた。


---


何隻かの小型飛行船が円陣を組むように配置されて、そしてその中央には、花びらのように陣を組む6隻の飛行船がいるのが見えた。

それぞれの飛行船にサイズはアクーラほどじゃないようだが、組み合わせた飛行船の上に甲板のようなものを作っている。

飛行船が浮いている、というより飛行船を使って空中拠点を作ってるって感じだ。


かなり遠いが旗がはためていているのも見える。白地に青の十字、右上と左下には赤で染められているようだが……


浮島があったらしいが、その面影はない。すべて破壊されたのか。

飛行船の周りをさっき見た騎士が旋回している。この距離じゃなんだかわからないが……こっちは2機しかいない。これ以上近づくのはやばいぞ。


「おい、サラ!」


『やはり……信じられん、あれは』


俺の言葉が聞こえないかのように、呻くような声でサラが言う


『お前らには我が国を侵す理由はないだろう……』


「なんなんだ、あれは?」


『エストリン公国……』








雪の尖兵シィニエーク


工房・エストリン公国 国立騎士工房


灰の亡霊ブラウガイストをベースとして建造された騎士。試験機と量産機、というより、コンセプトを変えた派生機というほうが実態に近い。


騎士の本体性能自体は機動力や旋回性能に特記すべきものはない、オーソドックスなタイプ。

武装は銃身を短くした黒の亡霊シュヴァルツガイストが装備していたような、取り回しを重視して中近距離で弾幕を浴びせかけるタイプのガトリングカノンとエーテルシールド。

上から見ると花弁のように、肩に二枚づつ大きめのステルス展開装置をつけていた灰の亡霊ブラウガイストと異なり、装甲は一枚だけであり、ステルス展開時間も限定的となっている。


灰の亡霊ブラウガイストがステルスで機体を完全に隠し、死角に回り込んで攻撃する騎士であるのに対し、雪の尖兵シィニエークは打ち合いを前提として、ステルスを短く展開して相手の攻撃や会費の間を外すことがコンセプトとなっており、ステルスを装備した同型機ではあるものの戦闘スタイルはかなり異なる。


灰の亡霊ブラウガイストが乗り手であるホルスト・バーグマンの技量が今一つであることや、安全圏から一方的に相手をなぶりものにしたい、という乗り手の(ゆがんだ)思想が反映された騎士であるのに対し、ある程度技量がある乗り手がのることが前提の攻撃的な機体になっている。



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