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異世界食事情

「この体の持ち主、というか、クリス?その人はどんな人だったんです?


「レストレイア工房という騎士工房の娘ですな。

半年ほど前に坊ちゃまと一緒に訪問しましたところ、坊ちゃまがお気に召したようで。

かなり熱心に口説いておつきのメイドとされました」


堅苦しい一日がようやく終わった。時計は10時頃を刺している。

夜ではあるけれど、室内には複数のランプが置かれ、大きめの窓からは巨大な月の月明かりが差し込んできているので、意外に不自由はない。


アル坊やはもう寝てしまっていて、今はウォルター爺さんとアル坊やの隣の部屋で食事中だ。

アル坊やはホールで他の客と一緒に食事をとるが、俺たちはお付きなのでそこでは食べられない。

ということで、俺たちは個室で食事を取っているわけだ。

アル坊やの配慮なのか食事のグレードは結構高い


正直言って食事がウマイのは俺としては有難い。流石は最高級。

トマトらしきもので煮込み香草を効かせた野菜たっぷりのシチューや、なんの肉だかわからないが、岩塩をまぶした豚肉っぽい味のグリル。


堅く焼いたパンはバゲットのようで俺好みである。

香辛料がないのは気候の問題だろうか。胡椒が欲しい。


服は船員用のものを適当な理由をつけて分けてもらった。普通のシャツにズボン、ひざ下でゲートルのようなものを巻いている。

厚手のごわごわした生地だが、メイド衣装よりはいい。

スカートはもう勘弁願いたい。


「お付きのメイド、というより結婚相手、という感じでしたよ、あの口調では」


「私もそのように理解しておりました」


特別にオーダーしてもらった果実酒を口に含む。

ボルドー産、というわけにはいかないがなかなかいい出来だ。

ウォルター爺さんはお茶を飲んでいる。


「16歳で結婚はずいぶん早いんじゃないですか?俺たちの世界では早すぎですよ」


「我々の世界では珍しくは御座いません。

それに坊ちゃまは親を亡くされておられます。支えてくれる方は必要でした」


「いわゆる名門だったらそれなりに家柄を、とか言われないんですか?」


「無論です。それをクリスティーナも懸念していたでしょう」


覚悟を決めましたわ、と言ってたらしいが、そう言う意味だったんだろうか。


「家柄を除けば頭もよく、人当たりも上手かったですので。

シュミット家の当主の妻として迎えることはできたでしょう。

坊ちゃまもそのつもりであったはずです」


「今はこんな有様ですけどね」


「左様ですな。

工房育ちとは思えぬ淑やかな娘でしたので、正直目の前でダイト殿を見ておりますとなんともおかしな気分ですよ」


「俺としても女の体に入るなんて勘弁してほしかったですよ」


この状況が改善されることはあるんだろうか。




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