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幕間・アルバートの語るこの世界の話 騎士とコア

みなさん、初めまして。アルバート・オルレア・シュミットです。シュミット商会の店主をしています。


今日は僕がこの世界について少しご説明します。主に騎士と飛行船についてお話しします。

なるべくわかりやすくお話ししたいと思いますが、なにぶん若輩ですので、至らない点があったらお許しください。


まずは騎士についてです。

ディートさんは「ろぼっと」といってましたね。

「きょだいろぼっとのパイロットは男の夢だ」というのが何だか僕にはわかりませんが、人が乗り込んで操縦する点は同じなようです。


もともとこの世界は魔法使いたちが支配していましたが、騎士はその魔法使いと僕たち普通の人間が戦った戦争のときに作られました。もう200年以上前の話です。

当時は騎士ではなく機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ、といわれていました。機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナはほぼすべてが人の形をしており、それが今の騎士の形に受け継がれています。


魔法使いたちの王国は機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナとそれを作った機工師によって打ち破られました。

彼らはフローレンスよりはるか南に逃げていて魔導士領を形成しています。

ちなみに、今は魔導士たちと戦争状態にあるわけではありません。交流もあります。

僕のシュミット商会も以前は魔導士領と交易をしていたそうです。恥ずかしながら規模が小さくなってしまっているので今は無理ですけど。


話がずれましたね。すいません。

騎士の動力は、コア、エーテルコア、などと言われる魔力の結晶体です。この点は機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナも変わりません。

大体80センチくらいで、淡い光を放つ球形をしています。エーテルという精霊の力を放っていて、これが騎士の動力となります。

騎士は加速、減速、カノン等の武器やシールドを形成するために、瞬間的に強い力を出すことが求められます。このため常に強力なエーテルを放出するコアが動力として必要なのです。


コアは精霊の集積体と言われていて、鉱山から採掘されます。

純度が高く、大きいものであればより強い騎士が作れます。

ですが、コアはだんだん産出量が減っていて、サイズも小さくなってきています。

機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナにはそれこそ家ほどもある巨大なコアが使われていたらしいですが、今そんなものが出てきたらとんでもないニュースになっちゃうでしょうね。


コアは主に鉱山で採掘されて、それが工業ギルドに売却されたり、騎士団に引き渡されたりします。

このコアを使って様々な工房が騎士を組み上げます。武器を専門に作る工房、骨格を専門に作る工房のような専門的な工房もあれば、自分で最初から最後まで騎士を組み上げてしまう工房もあります。


騎士はオーダーメイドで設計し作られるため、依頼人や工房の特色がはっきり出ます。

ただ、現在の騎士同士の戦いは撃ち合いが主流です。このため、カノンと言われるエーテルの弾丸を撃つ銃とエーテルシールドというそれを防ぐための盾を装備した設計が一般的ですね。



機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナについてももう少しお話ししますね。

機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナは先ほども言いましたが、今の騎士と比べ物にならないほどの大型のコアを使っていました。このため、機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナは今の騎士より何倍も大きく、一撃で島を一つ吹き飛ばすほどのカノンを撃てたともいわれています。

その話をディートさんにしたら、もびるあーまーがあったのかよ、すごいな、といわれましたが、「もびるあーまー」と「ろぼっと」は違うんでしょうか?


フローレンスには少なくとも1機、戦乙女ヴァルキュリエという機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナがいます。噂ではあと2機あるそうですが……

戦乙女ヴァルキュリエはフローレンス7大家の一つで騎士団の団長を務めるメイロード家が管理しています。ただしあまりにも強力過ぎるので、議会の許可が無くては稼働させられません。

メイロード家の当主で騎士団長の騎士は同じく戦乙女ヴァルキュリエという名前ですが、機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナをモデルにしたものです。


残り2機は機工師たちの組合である歯車結社が管理している、と噂されています。歯車結社はいまは工業ギルド内に組み込まれているので、正確なところは闇の中です



一方、飛行船や機関車にはエーテル炉が使われています。

エーテル炉は小さめのコアを配置した金属製の炉です。

これにエーテル砂と言われている、コアの鉱山でとれるコアの粉末を入れることによりエーテルを生み出すことができます。

エーテル炉はコアと違い出力を維持するためにエーテル砂を適宜入れなくてはいけませんし、コアに比べて大型です。

ただ、エーテル砂を入れ続ければ一定の出力を維持し続けることができます。

こんな性質もあり、瞬間的な出力が必要な騎士には使えませんが、飛行船や機関車には上手く使えました。


エーテル炉が発明される以前は飛行船や機関車の動力には蒸気機関が使われていました。

でも蒸気機関は、石炭の粉塵が酷く、真っ黒な排煙は酷い大気汚染を引き起こしました。酷いときはフローレンスでは星が見えないほどだったといいます。

また、水温の管理も難しく、爆発事故の危険性が常にあったため、扱う者に相応の技術を要求するものでした。それに、燃焼室の周りの高熱は作業員や船員にとってはとても過酷なものだったんです。


これに代わるものとして生み出されたのがエーテル炉でした。

エーテル炉もエーテル砂を入れると噴煙のようなものは出るのですが、石炭を燃やした排煙の比べればずいぶんきれいです。

高熱を発することもなく、暴発する危険も少ない、まさに理想的な動力でした。

エーテル炉ができたおかげで、飛行船はとても快適になったうえに動力が扱いやすくなったため、急激に普及しました。

特に、フローレンス市街を走る路面機関車はエーテル炉の普及無くしては生まれなかったでしょう。


ただし、いいことばかりではありません。エーテル炉の傍で長く作業し続けると、炉の発するエーテルに「あてられる」状態になります。この表現が正しいかはわかりませんが、のぼせてしまったり酔っ払ってしまったような状態ですね。意識がもうろうとしてふらふらになったり、立てなくなったりします。

これは、人間の体の中にもエーテルがあるのですが、それと作用することによって起きるといわれています。

どういう症状が現れるか、どのくらいの期間症状が続くかは個人差があります。休めばすぐに回復する人も居ますし、何日も寝込んでしまう人もいます。一般的に、魔法の素質が高い人ほどエーテルに当てられやすいと言われています。


ちなみに、コアで飛ぶ高性能な飛行船を作るという計画は一時期はありました。工業ギルドと騎士団が共同で研究したそうです。

ただ、快速小型飛行船は、スピードが出過ぎて飛行船のフレームに負担がかかり過ぎたそうで、あまり実用的ではなかったようです。

逆に大型飛行船の場合は、エーテル炉を大型化すれば事足りる、という結論になったようで、コアを動力とするのは今は騎士だけになっています。



余談ですけど、僕らの世界の月もコアで作られています。

神様は月を作らなかったんだそうですが、夜も明るくするように、と、魔導師が世界を支配ていた時代に、機工師に作らせたんだそうです。

コアと宝石で飾られている、と言われていますが、本当なんでしょうか。お伽話なのでしょうかね。

月に向かって飛んだ英雄も居たそうですが、かえっては来なかったそうです。



これで僕の話は終わらせていただきます。皆さんのお役に立てたでしょうか?だとしたら嬉しいです。





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