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無謀か勇気か

鉄の格子が破られたらもうどうにもならない。


ガラスのドアには鍵は掛けてあったが、そもそもそんなものは意味がなかった。

あっさりとガラスが叩き割られた。


入ってきたのは3人の男だ。

スキーで使うような目出し帽のようなものをかぶり、それぞれに銃や刀で武装している。


やばいな。とりあえず、坊やだけでも守らないと。

と、俺が立ちあがるより前にアル坊やが海賊の前に立ちふさがった


「下がれ、無法者!この人には指一本触れさせないぞ!」


堂々とした態度だったが、あっけなく先頭の男に刀の柄で殴られて部屋の隅に吹っ飛ばされた。


……正直言って感心した。かなうはずもない相手に立ち向かおうとする無謀なところはそりゃ問題だが。

中の人が変わっているのを忘れてしまったのかどうなのか、違う世界から来てしまった人間を危険にさらすのは忍びないと思ったのか、それとも好きな女を守りたいと思ったのか、どうかはわからない。


しかし16歳といえば日本では高校生だ。

自分の好きな女か、よくわからない客のためか、どちらにせよ、刃物の前に立ちふさがれるやつがどれだけいるのか。

俺の高校時代を思い出すと……自信はない。


ウォルター爺さんが、わが主を侮るな、と言っていたが、大したもんだ。


「おぼっちゃん、おとなしくしていてくださいよ。あんたからは身代金を頂かなきゃいかんのでね」


片刃の曲刀をアル坊やに突き付けた海賊がいう。


「そこの女はもらっていきますよ。悪いようにはしませんから、安心してください、おぼっちゃま」


3人で顔を向けあって、品のない笑い声をあげる。

絵にかいたようなチンピラだな、おい。


外見は19歳女でも中身は23歳男だ。16歳男に守られてるなんてみっともない姿をさらすわけにはいかない。

幸いにも、敵さんから見れば女一人、子供一人、という状況だ。

油断してくれればそれはありがたい。


元の自分の体なら不意を打てば3人を倒すことは不可能ではない……と思う。

が、今は女の子の体だ。どう動くのかわからない。

最初のコンタクトで絶対に一人は倒さなければいけない。警戒されて3対1になったらまず勝ち目はない。


「私のことは好きにしてくれて構いません。ですが坊ちゃまに手は出さないで」


できるだけ女の子に見えるように。我ながらキモイがそんなことは言っていられない。


「クリス??」


驚いたようにアル坊やがこっちを向く。悪いな。中の人は変わってないんだ。


「安心しなよ、お前さんもおぼっちゃんも殺したりはしねえからよ」


目出し帽はすでに脱ぎ捨てられている。

弛緩しきった顔で近づいてくるのでその間にじっくりと相手を観察した。

年は多分20代半ば、身長は170センチほど。地球の俺なら見下ろすサイズだが、今の俺だと見上げるサイズだ。

右手には片刃の曲刀、腰には映画で見るようなレトロな感じの銃を刺している。


鎧というより皮で作った厚手の上着のようなものを着込み、ひざとかにはプロテクタのような防具を装備している。

まあロープを伝ってきたんだからそんな重い装備はそりゃできんだろう。


俺がやられれば次はアル坊やの番だ。

油断しているうちに一気に制圧するしかないな。



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