04
「ふぁーあ。」
朝の四時半。いつもの習慣で起きたアライムは今日は早起きする必要がないことを思い出す。ベッドから体を起こし歯を磨きながら、今日同僚になった男を考えた。
「イーゼム、まだ起きてないだろうなぁ。」
部屋から出たアライムはそう思ったが、農民の朝は早い。イーゼムはすぐに見つかった。
「おはよう、イーゼム。」
「おはよう。」
お互いに挨拶を交わし、並んで歩く。
「飯ってどこで食べられるんだ?」
昨日ここに来たばかりのイーゼム。食堂の場所すら知らない彼は、アライムにその位置を聞いた。
「城下に出ないと食堂はないよ。」
「一々外にでるのか。何か面倒だな。」
「でも、良いこともあるんだよ。」
イーゼムは不満そうだ。城下にわざわざ行く理由が分からないのだろう。だがアライムが言うとおり城下町に行くことにもメリットがある。
まず、城に仕えている人間が頻繁に城下に出ることにより、一般の町民との意見交換が容易になること。さらに、騎士が居ることによる犯罪の抑制や、城にいる三千以上の人間が食堂を利用することによる経済の活発化もわずかに、しかし確実にメリットになっている。
「どの店に行く?」
「開拓しようぜ。上手い店を見つけるんだ!」
城下町に出た二人。自分で店を見つけたいのだろう。イーゼムはおすすめの店や有名な店に行くのではなく、自分で店を見つけることを提案した。
「なら、まずは大通りまで行こうか。」
アライムの言葉にイーゼムは頷くことで応えた。