『デビィ&レイ』シリーズの舞台となる世界について
俺、デビィと相棒のレイの物語、『デビィ&レイ』シリーズ(なにげに俺の名前のほうが先だな♪)を読もうとしている、そこの人。
ひょっとして、あなたはホラーファンかな? それともホラーとかヴァンパイアとかにまるで興味のない人だろうか。
どちらにしても、一応、俺達の住む世界の説明を一通りしておこうと思う。
<舞台および時代背景>
舞台としてはアメリカ。ただし、ここはパラレル・ワールドとしてのアメリカだ。地名等は同じところもあるし、まったく違うところもあるし、歴史や人物も同様だ。
ここは現在、ヴァンパイアや狼男、その他もろもろの魔物共がひっそりと人間に紛れて生活する世界となっている。
彼らは以前、森の中に棲み、外見だけは人間に似てはいるがずっと下等な動物である『フォレスター』を血液や肉の供給源としていた。その為、人間を襲うものはごくまれだった。ほとんどの人間達も彼らの存在を伝説や物語として捉えていた。
だが、第一次世界大戦当時、米軍は細菌兵器を開発し、『フォレスター』を捕獲して実験を行った。ある時、ウィルスを持ったまま施設を脱走した一匹がたちまち感染を広げてアメリカ中の『フォレスター』を全滅させてしまう。人間にうつることを恐れた米軍がアメリカ中の森林を焼き尽くしたり、それはもう大変だったそうだ。
大戦以降、食料をなくしたヴァンパイアや他のモンスターと呼ばれる者達は人間に紛れて暮らし、人を襲い始める。
これを人間達が黙ってみているわけがない。
必然的にモンスター達(主にヴァンパイア)を狩るヴァンパイア・ハンターが生まれ、彼らを雇う組織も生まれた。合衆国政府より高く首を買ってくれる組織に所属するハンター達は、それだけを生業としている。また別の仕事を持っていて、アルバイトとしてハントを行うものもいる。
人間とヴァンパイアを見分ける能力に長けたもの、そうでないもの。中には超能力や魔力を使うものもいるし、天性の吸血鬼撃退能力を持ったダンピール(ヴァンパイアと人間のハーフ)や、純粋なヴァンパイアまでいる。自分を見逃してもらうために人間に協力している者だ。組織に属さず報酬を求めない一匹狼もいる。
そういうわけで、ヴァンパイアや他のモンスター達は人間に混じって、戦々恐々な日々を送っている。アメリカ以外にもヴァンパイアはいるが、それほど数は多くないし、中には法律的に彼らを認め、共存している国すらある。現在のアメリカ大統領はヴァンパイアに対する強行派だ。対立する政党には温厚派もいて、クローン培養の血液で共存を図ろうという意見もあるようだ。だが、やっぱり宗教は強し。
と言うわけで、現在の状況が急激に変わることはないだろう。
<ヴァンパイアについて>
こちらの世界のヴァンパイアの特徴を挙げておこう。
1.普段は人間と同じ生活をしているが、時々人間の血を吸う
これは、まあ、当たり前だよな。彼らの牙はちょうど毒蛇のように、人間の皮膚を噛んだ瞬間に全身を麻痺させ、血液の流れをスムーズにする液体を注入する。そして傷口から吹き出た血を啜るわけだ。この液体には消毒作用もあるので血を吸われた人間が病気に罹る心配はない。そして、人間の間で暮らすヴァンパイアのほとんどは必要以上の血は吸わず、人間を殺すことはめったにない。ただし、ハンターに襲われた場合は別の話だ。
2.日光、にんにく、聖水、十字架等の効果はない
ようするにほとんど苦手なものはないってこと。
3.年を取らず、永遠に生き続けることが出来る
何百年も生きてる奴もいるらしいが、いずれ寿命ってものが来ないとはいえないよな。
4.驚異的な再生能力、身体能力
これがあるために、ヴァンパイアはなかなか滅びることがない。敏捷性も高いし、力も強い。
5.血を吸われた人間がヴァンパイアになることはない
もともと種の違うものだし、これは当たり前だろう。大体、血を吸えば人間は死んでしまう。
ただし、自分の血液を人間の身体に注入して「ヴァンパイア化」することは可能だ。こうしてヴァンパイアとなった人間と純血種のヴァンパイアの見分け方は、吸血衝動が起きた時に目が青く光る方が純血種、赤く光る方が後天性ヴァンパイアだ。
6.唯一の弱点は「トネリコの杭」
これを身体に打ち込まれると、さすがのヴァンパイアも死んでしまう。何故なのかは俺にも分からない。
<ゾンビについて>
実は彼らは昔は存在していなかった。例のウィルス流出の時にこのウィルスに感染した数少ない人間がゾンビとなったのだから。軍の作ったウィルスはとんでもないしろものだったわけだ。
1.ゾンビに噛まれたものが死に、蘇ってゾンビになる。ゾンビは人間としての意識を持たない「生ける屍」である
これは事実だが、中には人間の意識を持ったまま蘇る場合もある。
2.人を襲い、その肉を食う。または死体を食う
そりゃあ、新鮮なほうが上手いに決まってるだろうが。
3.頭に損傷を与えるか、首を落とさない限り死なない
ゾンビが大勢暴れまわった場合には、被害が大きいので軍隊が出て徹底的に死滅させてしまう。街ごと焼き尽くす場合もある。その為、彼らを見かけることはほとんどないが、時々思い出したように大量に発生して暴れることがある。
と、まあ、だいたいこんなところだ。
これだけ頭の片隅にでも置いておいてもらえれば、ストーリーが分かりやすいと思う。他に分からないことがあったら、どんどん聞いて欲しい。
おっと、レイが帰ってきたようだ。
「おい、空中を睨んで何をぶつぶつ言ってんだよ。気持ち悪い」
いや、だから、そうじゃなくて……。こらっ! レイ! それは俺の……!
……まったく油断も隙もありゃしない。
ここまで読んでくれてありがとう。俺達の物語、楽しんでもらえたらと思う。
それじゃ、また会おう!