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噂の始まり

放課後の図書室。

彩花と並んで問題集を解いていると、時間が経つのがやけに早く感じる。

一人で黙々とやっていた頃はただの苦行だったのに、不思議だ。


「ここ、こうやって公式に当てはめれば簡単なんだよ」

「……なるほど」

「でしょ? さすが、私!」


彩花が得意げに笑う。その横顔を見て、つい口元が緩んでしまう。

俺は慌てて視線をノートに落とした。


——そのとき。


「ん? 悠人と彩花?」


入口の方から声がした。振り返ると、同じクラスの男子二人が立っていた。

俺は思わず固まる。彩花は「やばっ」と小声でつぶやいた。


「二人で勉強? 仲良いなぁ」

「いつからそんな関係?」


軽口に聞こえたが、俺の心臓は跳ね上がっていた。

慌てて否定する。

「ち、違う。ただ勉強してるだけで……」

「へぇ〜」

二人はにやにや笑いながら去っていった。


彩花は苦笑いを浮かべる。

「……ごめんね、巻き込んじゃったみたい」

「いや……別に」


そう言ったけれど、心のざわつきはおさまらなかった。

次の日。


教室に入ると、女子たちの視線を感じた。

「昨日、図書室で彩花と一緒だったんでしょ?」

「ふふ、いい感じじゃん」


俺は一気に顔が熱くなった。

まさか一晩で噂になっているなんて。


彩花は慌てて手を振る。

「ち、違うって! 勉強教えてただけだから!」


けれど否定すればするほど、周囲は余計に盛り上がる。

「照れてる照れてる〜!」

「これはアヤしいね〜」


俺は頭を抱えたくなった。

静かに過ごしたいだけなのに……どうしてこうなる。


放課後。

俺が机に突っ伏していると、彩花がそっと声をかけてきた。

「ごめんね、ほんとに……私が無理に誘ったせいで」

「……いや、いいよ」

「でも……少し嬉しかったかも」


小さな声。思わず顔を上げると、彩花は赤くなって視線をそらした。

「……わ、私、悠人と一緒にいるの、楽しいから」


その一言に、胸がぎゅっと締めつけられる。

俺は返事ができず、ただ黙ってうなずいた。

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