19/21
日常へ戻っても
文化祭から一夜明けた月曜日。
教室はまだどこか浮ついた空気で、みんな昨日の思い出話に花を咲かせていた。
「悠人、お前らステージ出てただろ!」
「意外と盛り上がってたぞ〜」
クラスメイトがからかい半分に俺の肩を叩いてくる。
「いや、あれは流れで……」と返すが、笑い声は止まらない。
そのとき、隣の席の彩花が顔を赤くしながら言った。
「い、いじわる言わないでよ! 悠人だって頑張ったんだから」
クラス中が「おお〜」とさらに盛り上がる。
俺はどうしていいかわからず、机に視線を落とした。
放課後。廊下を歩いていると、彩花が追いかけてきた。
「ね、悠人」
「……なんだ」
「ごめんね、クラスであんなふうに言っちゃって」
「別に。俺は気にしてない」
そう答えると、彩花は少し安心したように微笑んだ。
でも次の瞬間、その笑顔にほんのり照れが混じった。
「でも……ほんとはちょっと、嬉しかったんだ」
「……何が」
「みんなの前で、悠人と一緒にって言えるのが」
一瞬、時が止まった気がした。
夕暮れの光の中で、彩花の声はやけにまっすぐに響く。
俺は返事を探したけど、うまく言葉が出てこなかった。
ただ心臓の音がやけに大きく鳴っているのだけは、はっきりわかった。




