ステージのスポットライト
文化祭の午後、体育館ではステージイベントが行われていた。
歌やダンス、漫才など、各クラスの出し物で盛り上がりは最高潮。
俺と彩花も休憩時間を利用して観に来ていた。
「わぁ……すごい人だね」
観客席はぎっしり埋まり、立ち見まで出ている。
俺たちは後方に並んで立ち、照明に照らされるステージを見上げた。
次のプログラムは、生徒会有志によるダンス。
華やかな音楽に合わせて生徒たちが息の合った動きを見せると、会場中が歓声で包まれた。
「かっこいいなぁ……」
彩花は目を輝かせて拍手している。
その横顔を見て、俺はなぜか胸がざわついた。
——そのとき、司会者がマイクで叫んだ。
「ここで飛び入り参加コーナー! 観客席から一人、前に出てもらいましょう!」
会場がざわつき、クラスメイトが俺たちを見つけて手を振った。
「彩花ー! 出ろ出ろー!」
「お似合いだぞー!」
「えっ!? ちょ、ちょっとやめてよ!」
彩花は慌てて首を振るが、司会がさらに煽るように声を張り上げる。
気づけば、俺の腕を掴む彩花の手が小さく震えていた。
「……無理、だよね……」
その弱気な声を聞いて、気づけば俺の口が勝手に動いていた。
「……一緒なら、いいんじゃないか」
彩花の目が驚きで丸くなる。
俺も自分で言っておきながら信じられなかった。
けど次の瞬間、司会者の合図でステージに上がっていた。
音楽が流れる。
俺は踊れるわけもなく、ただぎこちなくステップを踏む。
隣で彩花も必死に動きを合わせている。
会場は笑いと歓声でいっぱいになり、やがて曲が終わった瞬間、拍手と大歓声が降り注いだ。
ステージから降りたとき、彩花は顔を真っ赤にして笑っていた。
「も、もう最悪!恥ずかしい……!」
「……でも、楽しそうだった」
「……うん、ちょっとね」
照れながら笑う彩花を見て、胸がじんわり熱くなる。
文化祭のスポットライトは一瞬だったけど——。
俺にとっては、彩花と並んで立ったあの時間が、今日一番の記憶になっていた。




