みんなで作る日
文化祭の準備日。教室は大騒ぎだ。
机を移動させ、壁にポスターを貼り、各係が忙しく動き回る。
俺は静かに装飾の作業をしているつもりだったが、彩花が隣に立って手を貸してくれる。
「悠人、こっち手伝って」
「……わかった」
二人で机を押しながら、自然と肩が触れそうになる。
周りのクラスメイトは楽しそうに笑いながら作業しているけれど、俺たちの周りだけが少しだけ静かに感じられる。
「悠人、貼るの上手だね」
「そうかな……」
「ほんと! 私、一人だと絶対にこうはできない」
彩花は満面の笑みを向ける。
——また胸がぎゅっとなる。
そんな中、後ろからクラスの男子が声をかけてきた。
「お、二人仲良くやってるじゃん! 絵になるな〜」
「ちょ、からかわないでよ!」
彩花は顔を赤くして俺に視線を送る。
「……別に、俺はいつも通り」
「そうかな〜?」
俺の返事に彩花はくすっと笑うだけだった。
その笑い声が、騒がしい教室の中で耳に優しく響く。
作業がひと段落したとき、彩花が小声で言った。
「悠人、ありがとう。こうやって一緒にやると楽しいね」
俺は黙ってうなずく。
本当に、楽しい。彩花といると、普段の静かな生活とは違う、温かくて軽い時間が流れる。
放課後、教室を後にする二人。
「明日も手伝ってくれる?」
「……ああ」
彩花は満足そうに笑う。俺は返事をしたものの、心臓がまだ少し高鳴っているのを感じていた。
——俺は女の子に興味ないはずなのに。
それでも、彩花といると胸が熱くなる。
少しずつだけど、変わり始めているんだと自分で気づいた。




