【ホラー】姉妹の通話記録【短編】
※自殺企図などに関する描写があります
「死ぬかもしれない」
「大変じゃん。薬と酒どっちよ」
「お酒。ワイン。ボトル半分」
「あー、吐き気とか、息が苦しいとかはどう」
「気持ち悪いぃぃ救急車呼んでぇ」
ー別の日ー
「首吊ったの」
「危ないじゃん。怪我とかあんの」
「ドアノブで首吊ろうとしたの」
「喉の中とか、口の粘膜切ったりしてないか確認しなね」
「首痛いぃ死ねなかったよぉ」
ー別の日ー
「終活始めた。終わる活動の方。ちゃんと身辺整理してきれいに死ぬ」
「凄いじゃん。お仕事の引継ぎとかしてんの」
「仕事は先月辞めた」
「ねえそれって辞表出して、何日までに辞めますーって言って辞めたんだよね。ライン送って飛んだとかじゃないよね」
「服捨てたり、遺言書いたりしてる」
ー別の日ー
「実家に帰る」
「は」
「ごめん。でももうマンション解約した」
「ねえ、誰が、誰が敷金礼金払ったと思ってんのさ...あんだけ、あんだけ一人暮らししたいって大暴れして、毎日...」
「家事とか!ちゃんとするから!介護も今度こそ手伝う!」
ー別の日ー
「ほんとごめんって」
「....」
「返すから!必ず返すから!」
「....」
「ていうかあんなところに現金で置いてるお母さんも悪くない?!」
「....」
「ねえほんとごめんってば!ていうか返すって言ってるじゃん!とったんじゃないから!借りただけなんだってば!ねえ怒んないでよぉ、謝ってるじゃん!ねえ!」
ー別の日―
「お薬いっぱい飲んじゃった。死ぬかもしれない」
「窓開けて」
「え?」
「今部屋のどこ」
「え、リビング...」
「窓あるでしょ。開けて」
「え?は?」
「開けろ」
「ねえ何なの...?」
「開けろよ」
「ねえ」
「早く開けろ!!!!!」
「わああっ何、なんなの?!」
「開けろ!!!!!」
「なんなの?!やめてよなんなの?!」
「開けろ!!!!!」
「開けた!開けたから!」
「上を見ろ!!!!」
「は?上?...え?なん、え、ちょ、何して、え?」
「お母さんだけ最後まで信じてたよ。いつか返しに来るって。悪気はなかったんだって。あの子は本当はいい子なんだって」
「いや、あの、」
「今まで気が付かなくてごめんね。知らなかったんだよね。どうするのか分からなかったんだよね。見本が無いからやりようが無かったんだよね。もう大丈夫だから。ちゃんと教えてあげるから。よく見るんだよ。いい?」
「えっ?待っ」
「こうやんだよバーカ」
ーーー
「あんなとこ、どうやって登ったんだろうね」
「ねー。下に誰も居なくてよかったわー」
「つーかマジ隣のおばさん怖いんだど。夜中に叫んだりするし」
「ヤバイじゃん。こわー」
「姉」のモデルは姉。
読んでくださってありがとうございました。
m(_ _)m