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082話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:許可を得て力を解放する】

<イツキ・ルノワール サイド>


「フィーネ、あなたにはこれよ」


ドリー達に渡した魔石より性能を落とした魔石2個とぷるるんスライム改を3体、フィーネに差し出すと盛大に勘違いをしだした。

「え!?ルクちゃんだけではなく私にも魔石が?まさか・・お母様が魔物?超怖かったし、ありえる・・もしかしたらお父様と魔物との婚外子!?それとも・・・」

こいつは思い込みが激しいので、頭にチョップを加えて目を覚まさせる。

「あなたに魔石なんかないわよ、一般人」

「ちょ!?もうちょっと言いようがあるんじゃないかな?まるで才能皆無みたいじゃない!」

それが無いのよ・・体力も魔力も、才能無いんだよね。

でも、音を上げずに黙々と課題をこなしていく根性は気に入っている。

こういうタイプは時間は掛かるけど、努力に裏打ちした特異な発氣を育てることが出来る。

きっと、この愚直な剣士に最適な発氣となるだろう。

だがそれだけでは金竜には勝てない。

しかし、幸いにもフィーネを無償の愛で支える仲間が居る、それが神器クラスの剣と防具だ。


「あなたは足りないものが多いけど、それを補う存在がいる。それが聖剣【滅龍剣インベイジョン】と軽鎧【ドラゴンデストロイ】よ」

「なるほど・・ベイとトロイが魔物だったのですね」

『『・・・フィー・・ひどい』』

呆れている装備達の代わりに、無言でフィーネの頭にチョップを2度叩き込む。

「人族の最高傑作が魔物のわけないでしょ!・・ぷるるんスライム改を使って武具との意思を共用するのよ」

「ふふん!私が二人に戦闘指示を出して戦闘の精度を上げる、と言うことですね。なるほど!」

『『・・・フィー・・』』

「・・・んな訳ないでしょ!二人に謝りなさい!」

こいつが二人にどれだけ支えられているか、涙目になるまで追い込んでやったわ。

武具達がフィーネをあまやかしていた弊害よね。


「ぐ・・ぐすん!ベイ、トロイ・・いつもありがとう、気づかずごめんえええええ〜!」

『・・泣かない・・気に・・しない・・いつもの・・フィー・・でいい』

『イツキ殿・・いいすぎだ!・・ああ・かわいい・・フィー・・笑う・・のだ・・』

ふう・・いままでずっと、こういうやり取りの繰り返しなんでしょうね。

「甘やかすのはいいけど、このままだと自信満々に強敵に飛び込んで・・フィーネ死ぬわよ」

『『「!?」』』


そう言うと、いきなりフィーネ達の気配が変わった。

なに?いきなり何かに操られるが如く豹変したのだ。でも外部からの干渉はない。

濃密な殺気が溢れ出しており、どうやらフィーネの逆鱗に触れたようだ。

一族郎党を殺されたフィーネ達にとって【死】は禁止ワードみたいね。

しかし、ずいぶんと極端な変化ね。何か仕込まれていないか後で解析しないと。


「私達は絶対に死なないわ!訂正しろ!」

『『・・訂正・・しろ!』』

まったく、3人を強化するはずが、おかしな方向に行ったわね。

いい機会だから原因をさぐりつつしっかりと躾けて上下関係を教えないと。

やれやれ、負けたことがない奴は面倒よね。

自身も負けたことがなく、上から目線で特訓を押し付ける面倒な人だと立花達に思われている事をイツキは知らない。

だが、知っていたとしても関係ない。

イツキ自身【最強】と自負しており、やることは変わらない。

大岩で半身を砕かれようが、手も足も出ない強敵が現れたとしても、死ぬ瞬間まで心が負けなければ生涯最強のままなのだ。

強靭な剣と盾に守られて、それを自分の強さと勘違いしてキャンキャン泣きわめく小動物には躾が必要だろう。


「なら、実力を見せなさい」

「膨大なエネルギーに守られているだけのイツキ殿に負けるわけないだろう!」

安い挑発を軽く流すイツキ・・そんな訳が無い。

「・・・あ?」

その一言で、周囲への殺気が暴風となり周囲の生物に打撃を与える。

戦闘に関してはイツキの度量は猫の額ほど狭いのだ。

この発言で、躾のレベルが大きく上昇した。

「・・仕方がないわね。自信の源である剣と鎧ごと破壊しないと駄目なようね」

イツキの怒りを感知したフィルとティエがオーラルを含めた魔物達や魔王を王壁の向こうへ追いやり、二人で障壁を張って魔王国への被害を防ぐ準備をした。


「ねえ、フィル、ティエ。イツキは神力、魔力、発氣を封じられているのよ?ここまでする必要あるの」

『それって数日前の話でしょ?』

『丁度いい贄が出来た、って目。絶対ろくでもない技を試す。あれはやり過ぎ危険の合図』

「え・・ああ、確かに。分かったわ」

二人の意見を聞いたオーラルは、自身の神力を使って二人の障壁を支援する。


「みんな、イツキの実力の一端を見ておきなさい。世の中にはね【絶対に手を出しては駄目】な存在。アンタッチャブルが存在するの。強くなりたいならその嗅覚を磨きなさい」

珍しく真っ当なことを言い出したオーラルの言葉を真剣に聞き、勝負に集中する一同だった。


<フィーネ・ラ・サールス サイド>


【死】という言葉で激昂してしまった。怒りで心が制御できない。

それに完全起動して暴走状態のベイとトロイを止めることは無理だ。

でも・・侮辱されたのだから仕方がない・・とにかくゆるせない!

イツキ殿についていけば更なる強さを得られそうな感じだったけど、また別の師匠を探せばいいのだ。

それに・・ふふふ、完全起動で暴れまわる聖属性の嵐に、真っ当な精神ではいられないはず。

・・・あれ?平然としているんだけど?

おびただしい聖波動を受けて、恐怖にすくんでいるかと思えば効果がなさそうだ。

しかも、更なる侮辱を浴びせられる。


「さあ、死以上の真の恐怖を味あわせてあげる。全力で掛かってきなさい」

「!?・・この、舐めるなーーーー!!!」

・・・もう、手加減などするものか!全力全開で塵にしてやるわ!

皮肉ではあるけど、イツキ殿が力を補充したことで聖剣【滅龍剣インベイジョン】と軽鎧【ドラゴンデストロイ】は過去最高の状態にある。

武具から発する聖属性、緑白の光がフィーネの体を包み込み、すべてを強化する。

その姿は、膝を折り祈らずにはいられないような聖なるオーラに包まれている聖人。

その神と誤認しかねない高貴な姿は、神の聖騎士を想像させる。

そして、準備万端の状態で高速移動からの一撃をイツキに叩き込む。


「滅せよ!・・聖断!!!!」

上段から振り下ろされる滅龍剣インベイジョンの刃だが・・・

バチッ!!!

無造作に振り払われたイツキの左手で弾かれる。

「・・・え?」

驚きと予想外の反動で体がぐらついた瞬間

「ほら、お腹ががら空きよ」

バチッ!!!

「ぐふぅ!」

懐に入られて、お腹に右拳が叩き込まれる。

軽鎧【ドラゴンデストロイ】が衝撃を抑えてくれたが、それでも10m程吹き飛ぶ。

だが、すぐに態勢を立て直し、地面に着地する。

「そ・・その体で・・なんて力だ。トロイが焦げてるし」

「ふふふ、ついさっき完成した【エレ氣】よ」


イツキは電気エネルギーを得た際に既に発氣を電気で再現していたのだ。

だが、魔力から作ったものではない為、放電によるロスが防げず、効率はいまいちだった。

しかし、先程のルール変更【あらゆる力の周囲への放出を禁ず】のおかげでロス無く【エレ氣】を纏うことが出来るようになった。


敵である私に懇切丁寧に教えてくれる・・つまり私はイツキ殿にとって敵ですらないのだ。

イツキ殿にとって私との戦闘は、いわばワガママな子供に分からせる躾程度の認識。

それがこの一撃で分かってしまった。だが・・何故か荒ぶる心を抑えることが出来ない。

「だ・・だが、まだ」

「話は最後まで聞きなさい。だけどあなたを屈服させるためにはまだ弱いわ。でね・・次の技も見て欲しいのよ」

え?・・本気?その言葉を聞いた直後、猛烈な熱気が押し寄せる。

聖属性フィールドに守られているハズなのに、この身が焼け焦げそうな熱気だ。

その数瞬後には周囲百メートルの範囲で物質はすべて消滅。

土すらも消滅したので現在は宙に浮いている状態だ。

「な!?・・どんな温度でこんな状態になるの?」

瞳を開けば焼け焦げそうだが、保護を厚くしてなんとかイツキ殿を視認すると、その身から紫色の後光が発せられていた。

その姿は・・絶望・・この言葉しか思いつかなかった。


「ゲームの制限でも力が漏れる・・か。見なさいフィーネ。これが発氣【電離氣体プラズマ】よ」

「さっき、あの神に聞いたんだけど【戦闘に巻き込まれて死んだ場合はノーカン】なんですって。うふふ、だから遠慮なく力を出せるのよ。あら?フィーネ震えてるの?安心しなさい、ちょっとトラウマを植え変えるだけだから・・それなりに苦しむだろうけど、殺さないわよ。その一歩手前までで・・・ね」

フィーネ達の本当の恐怖は、これからが本番だったのだ。



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