表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/83

079話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:研究材料をゲット】

<仙人 サイド>


「ははは!丁度よい。ここは私が見つけた憩いの地だ!邪魔者は滅べ!みんな滅べーーー!」


人族が集う騒がしい平野を引き裂くように貫き聳える大山脈の間にある、隔絶された平地。

ここは大山脈から流れる大河のデルタ地帯。

半日も移動すれば海もあり、まさに豊穣の地なのだ。

ここなら誰にも邪魔されずに暮らせると思って喜んだものだが・・・

少数ではあるが、既に人族の有象無象が暮らしていたのだ。

害がなければと放置していたが、人族は急増し騒がしくなってきて鬱陶しかった。

そういう意味では、機会を与えてくれたこの小娘の訪問は僥倖と言えるだろう。


「さあ、残りの民達の掃除を始めましょうか」

意気揚々と崩壊した王壁内に入ろうとすると・・なにもない白い空間に・・景色が変わっていた。


「さあ、私の本当の実力を堪能してもらうわよ・・あら、ソフィア元気そうね?」

予想外の声に慌てて振り向くと、光り輝く女性が・・蟻と少女に集られていた。


「お・・おでーざまーーー!!!」

『なんでここに?妹放置してゲーム世界で遊んでたんじゃないの?』

・・・私を放置して再会を喜び合い、きゃっきゃうふふと姦しい。

この隙に今すぐにでも攻撃を加えたいが体が動かない・・怖い・・恐ろしい・・ん?これは!?・・世界神がゲーム世界を崩壊させた時の波動ではないのか!?

ならば奴が世界神か!?

だめだ、勝てるわけがない。だが、どうやって逃げる?ここがどこかも分からないのに。


「あー、ごめんねソフィア。ほら悪神オーラルっていたでしょ?あいつに脱出時に捕まっちゃて」

「あいつがお姉様をーーー!!!」

光り輝く女性がそう言うと、可愛らしい容姿の少女から吐きそうになるほどの力が溢れ出す。

「ソフィア、落ち着きなさい。オーラルはゲームマスターに力を奪われてるだけで、助けを求められたのよ。今はすっかり友達よ」

「ぐむ・・・お姉様がそういうなら」

「それより、すごい発氣ね。短期間で見違えたわよ」

「へへへ〜、アリスお姉ちゃんと修行してるからね」

「なら、しばらくはアリスに任せるわね。【妹】を頼むわね」

『もちろん!可愛い可愛い【妹】達の事は任せて!』


あの少女の力は計り知れないものだが・・光り輝く女性は次元が違う。

彼女から漏れ出す力で少女の力など容易く霧散している。

あの世界神から早く逃げなければ・・と思うのだが、体が思うように動かない。

恐怖で足がすくむのはもちろんなのだが、何よりもここは自然の力が全く感じられないのだ。

そのため、今の私はなんの力も発揮出来ないただの老爺の状態だ。


『・・のれ・・・精・・在・・食・・逃げ・・られん!』

???なんだ?この声は?

ふと、声が聞こえた自身の左肩に視線を向けると・・そこには醜悪な羽虫が居た。

見た目は巨大な白い綺麗な蝶(顔は醜悪)なのだけど、感覚的には怨嗟の塊のように感じられて背筋が凍る。

「ぎゃ!?なんだこいつは〜!!!」

慌てて振り払うが、羽虫に触ることが出来ない。

しかもその羽虫の体の半分が私の肩にしっかりと食い込んでいる。

いや、これは・・私の魂と同化しているといったほうが正解だろうか。


『ぎゃぎゃぎゃ!2571年経ってようやく気づいたか。仙人ごっこは楽しかったか?』

2571年・・仙人ごっこ?一体何を言っているのだ?こいつは?

『ここは精霊が居ない・・眼の前には絶望・・もう終わりだ。最後にお前の絶望させて力を・・ぎゃぎゃぎゃ!』

その瞬間、この羽虫から隠された真実が脳内に刻まれた。

仙人の神通力の正体やその目的も。


ははは、天界を維持する精霊を喰らいつくしたその力を自然の力と勘違い・・か。私はなんて愚かなのか。

そして、精霊を喰らう目的は精霊の数を減らすことで、各天界の弱体化を狙ったものらしい。

どうやら私は利用されたのだ・・なんだよ、それ。

こんなの知らない。私のせいではない。こいつに騙されたんだ。

そうだ!騙されたんだ。なら光り輝く女性に命乞いをすれば・・そしてこの羽虫を排除してもらえれば!・・私は助かる!

だが、光り輝く女性は私を見逃す気はないようだ。


「なあ・・私は知らなかったんだ!」

「・・・動くな。ゴミはまとめて掃除する。まあ、簡単には終わらせないけどね」

「そんな!私は何も知らなかったんだ。操られていたと言ってもいい」

「へー、ならまた精霊が手に入ったら、あなたはどうするの?」

「!?そんなことは・・もうしない。真実を知って後悔している」

・・・嘘だ。力の真実を知った今でも、使えるなら繰り返す。

精霊なんてゴミよりも・・仙人たる私こそが優先されるべき存在なのだから!

最下層の虫より、上位存在たる私こそが生きるべきだろう。


「そうなの?分かったわ、それなら帰還用の小精霊を分けてあげる」

光り輝く女性がそう言い右手を振ると、色とりどりに輝いた大量の何かが散布され、周囲に広がっていく。

!?・・今なら分かる。これが小精霊か。やった!こいつらを喰えば逃げられる。

『ぎゃぎゃ!あいつ話が分かるやつだな。だが戦うだけ無駄だ。喰ったら逃げるぞ』

「もちろんだ!」

その直後、羽虫から数多の触手が飛び出して、キラキラした何かの塊に突っ込んでいく。


「『私の糧になれーーー!!!』」

「(予想通り反省など皆無ね。さあ小精霊達、仕返しの時間よ)」


そのキラキラした何かに触手が突入した途端に暴風が沸き起こり、その触手がすべて切り刻まれた。

「『な!?なんだ!?』」

暴風の中から形を成して現れたものは、おこじょ姿の精霊だった。

見た目は白い体毛のオコジョなのだが、羽が刃のように硬質な白い翼が生えており、尾が3本ある。

そして、その体にはバリバリバリ!と青白い稲妻が音を立てながら這い回っている。


「私が作った中精霊:風雷獣よ。名前は・・【ぶんぶんチャッピー】よ・・え?ぶんぶん?・・オーラルの仕業ね、あんたいい加減にしなさいよ!」

ゲーム世界に置いてきたオーラルが、イツキとの視界共有を応用してイツキの声帯を使って精霊に名付けをしてしまったのだ。

「駄目だわ、もう解除出来ない・・もういいわ。ほら、思う存分精霊を食べていいわよ」

なにが食べていいだ。触手を放っても切られ焼かれ、精霊の移動速度が早すぎて目で追えないのだぞ。

ただ、数多の小精霊を喰らっていた恨みなのか?

風雷獣は私達を嬲るように雷撃や刃の羽、尾の攻撃のみで致命傷にならない攻撃を加えてくる。


「おい、羽虫!なんとかしろ」

『普通の中精霊ならまだしも、二属性持ちなんて聞いたことない・・あれは無理だ、喰えねえ』

「ぶんぶんチャッピー(言いづらい)。そろそろ復讐を遂げなさい」

「ぴきゅーーーー!!!」

光り輝く女性の声に反応した風雷獣が歓喜の叫び声を上げると、3本の尾に風がまとわりつき・・大量の風刃が仙人達に降り注ぎ、その体を切り刻む。

「ぎゃー!痛い、た、たしゅえ・・ぎゃ!」

そして、止めとばかりに白い落雷が降り注ぎ肉片すべてを焼き焦がす。

だが、その直前に羽虫が同化していた仙人の魂を喰らい尽くし、それを糧に風雷獣からの攻撃を逃れた。

哀れな仙人は、最後の最後まで都合のいい道具として、その生涯を閉じたのだった。


<羽虫 サイド>


『あーあ、玩具が壊れたぜ・・次の玩具を得ねばいずれ消え・・あれ?力が消費されないぞ?』

仙人は羽虫によって魂ごと消滅したようだが、羽虫だけはボロボロになりながらも、仙人の魂で力を補充した事で生き残った。

だが、そのままでは1日持たずに力が枯渇するのだが、何故か全く消費されずにいるのだ。


「それはそうよ、私が生かしているのだから。大切なあなたをね」

そう答えて、にやりと笑う光り輝く女性に、羽虫は生涯最高の恐怖を感じた。

『今の・・私には利用価値などないぞ。早く殺せ!』

「そんなことないわ。実は精神生命体の研究をしているの・・あなた、素敵な研究材料になるわ。それに簡単には終わらせないって言ったわよね。約束は守るものよ・・・ティエ、フィル、来なさい」


げぇ!実験体などごめんだぞ!なんとか逃げる機会がないか?

光り輝く女性の隙を伺っていたのだが・・空間転移で光り輝く女性と同等レベルの白いドラゴンが2体現れたことで、既にどうにもならない事を認識させられた。


『ははは、世界神が・・3柱?なんだよこの化物の巣窟は・・もうどうにでもしれくれ』

私は確信した。生き残る可能性はひとつ。

ただただ従順に、そして実験材料として最高の成果を出し、永遠にこの神々のために懸命に働くことだ。

光り輝く女性と白いドラゴン2体がなにか言い争っているようだが、私は大人しく待つだけだ。


・・・3柱の強烈な波動で私自身が掻き消されそうなので、出来れば早めにお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ