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078話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:強くてもあいつは嫌い】

<イツキ・ルノワール サイド>


「情けない・・本当に情けないわ。この程度でみんな失神してしまうなんて・・修行をもっと強化しないと!」


ドヤ顔でのたまっている存在、それは黒蛇の姿の女神オーラルだ。

「あなたは一応神だから、この力に影響されないものね。良かったわね、みんなに偉そうに出来て」

「一応ゆうな!れっきとした神なんだから!・・あと、その事は秘密で」

発動の度に気絶する皆を「だらしない!」と叱咤し、尊敬を得てドヤっているオーラル。

もし皆がその事実を知ったら、信頼度はマイナス方向に天元突破するだろう。

「しっかし、オーラルのためとはいえこの力は本当に面白くないわ。魔王すらこれだもの」

すぐそばで失神している魔王達を見てイツキはげんなりする。


イツキの【楽しくない力】とは、潤沢なエネルギーを自身の周囲に留めることだけだ。

現在の範囲は周囲1km程。だが、それだけで魔王程の存在が失神するものだろうか?

その理由は、周囲に漂うエネルギーの密度調整にある。

普段は周囲の生物が飲食不要で呼吸のみで元気に生きられるエネルギー濃度だが、更に密度を高めることで逆に過剰供給による能力障害を引き起こす。

そして、さらに密度を高めると・・深海のような超高圧になり敵すべてを圧壊させる。


今回は【中圧強め】で調整し、圧による呼吸と血流停止でブラックアウトさせたようだ。

この力で最終的には変身ヒーローのように【強圧】のエネルギースーツを目指しているのだが・・・

まだまだ範囲のコントロールが出来ていないため、周囲の敵味方関係なく巻き込むことになる。

今回の発動は、魔王の攻撃を練習がてら範囲限定高圧で受けようとしたのに【古老】ドリーに『またあの圧でひどい目に!?』という理由で阻まれた、そのお仕置きである。


なお【古老】の名付けはイツキ。

【古老】は体格に対して手足が妙に細かったのでオーラルが【みどりむし】と、見た目そのまま命名。

流石に可哀そうなのでオーラルと交渉して、みどりからドリーと命名したのだ。


まあ、それを修行と称して何度も食らってきた黒ブサ達が「もう勘弁して!」とばかりに文句を言いたくなるのも仕方がないだろう。

ちなみに既に技名もあり、おおまかな効果は下記の通りだ。


・楽園【弱圧】

 飲食不要・睡眠不要・常時回復・成長促進等

・沈溺【中圧】

 エネルギーの過剰供給により力に溺れる(各種能力障害)

・圧壊【強圧】

 エネルギーの異常密度による敵の体を圧壊。敵を戦闘不能に

・異送【超圧】

 ブラックホールを生成し面倒な敵を殺さず異界に。行先は不明


「あら、この力をものともしない強者がいるようね」

「へ・・・そんなのいるわけないでしょ?」

オーラルがイツキに示された方向を見ると、そこには街に普通に居るような白髪頭の特徴のない好々爺が佇んでいた。

「ふふふ、気づいておったか。力を弄ぶ無粋な小娘よ」


<仙人 サイド>


我は仙人と言われる存在だ。本当の名前は・・・ずっと一人なので、忘れた。

数十年の修行の末、自然と同化することで不老不死や神通力という力を得ることが出来た。

その後、如何程の時が過ぎたのか?すでに覚えていない程には長生きしている。

仙人になって以降は自然の流れに任せて世界を渡り歩き、今はゲーム世界なる場所に流れ着いた。

ここは、国が、人が、自然条件がコロコロ変わってとても刺激のある場所で楽しんでいる。

しかし、前回のゲーム世界は世界神の介入により崩壊、あれには自然すら虫けらのように蹂躙され・・超怖かった。

今はこの国で自然と共にその心の傷を癒やしていたが、不快な小娘が現れて以降、自然が悲鳴をあげておる。

自然と一体の私にはエネルギー量の差異など無意味だが、この世界にとっては小娘は危険だろう。

我らの居場所を守るため、今すぐこの環境から排除せねばなるまい。


「で、あなたの名前は?私はイツキ。こっちはオーラルよ」

・・・自分から名乗るところは礼儀を弁えておるな。だが・・名前か。

先にも書いたが、仙人は長き時を過ごす内に自身の名前をすっかり忘れてしまっている。


「ふむ、仙人と自称しておるが名前は忘れたな。ただ、ここではジゼルと呼ばれておる」

「仙人?・・自分の力が理解出来ないのね。まあ、どうでもいいわ」

ん?力が理解出来ない?意味が分からない・・ただ、馬鹿にされた事ははっきり分かる。

なんたる増上慢!自然も怒り心頭だ。その恐ろしさを思い知らせてくれるわ!


「生意気な小娘よ。我らの憩いの地を騒がす害虫は・・排除するのみ!」


「自然の恐ろしさに跪け!・・炎舞降臨!」

イツキの周りから灼熱の炎が湧き上がり、ついには複数の火災旋風となりイツキを飲み込み焼き尽くす。

・・はずだったが、炎が消えた後に何事もなかったように平然と小娘が佇んでいた。

しかもだ、周囲の気絶した無防備な面々も何事もなかったように転がっている。

な、何故だ?すべてを焼き尽くすべく力を発動したし、実際に炎は周囲を蹂躙していた・・だが、それを小娘に掻き消された?そううことか?


「仙人www、無防備な有象無象すら殺せないの?」

どういうことだ?全く理解出来ないが・・攻勢あるのみだ。

「ぐ・・ならば!怨嵐乱れ太鼓!」

周囲から多数のつむじ風が湧き上がり、ついには暴風が吹きすさび、その隙間を雷が縦横無尽に這い回る。

そして、豪雨が暴風により弾丸ごとき速度でイツキに降り注ぎ、強力なつむじ風が異様な音を奏でながら鋭利な刃物のようにイツキを切り刻み、数多の雷が機関銃のごとき連続的な爆音とその数で周囲からイツキめがけて襲いかかる。

それこそ大自然が紡ぐ乱れ太鼓のごとき演奏が響き渡り、その演奏と共に周囲を蹂躙・破壊していく。


「ははは、流石にこれをうけては無事ではいられんだろう」

そしてその暴威の範囲は広く、轟音でようやく目覚めた魔物達や魔王の側近達だけではなく、魔王国内の住民達にも被害を及ぼす範囲まで拡大していく。

この仙人にとっては自然との共生がすべて。そこに住む生物のことなどは意に介さない。


<オーラル サイド>


「これはすごいわ。でも・・使い方が気に入らないわ」

「・・・そうね」


現在、イツキと二人で暴風雨の中にいるのだけど、ここは無風地帯。

まあ、こんな力でイツキがダメージを受ける訳が無いのよね〜

だって、エネルギーイーターのイツキにとっては大自然の力なんて力の補充でしかないもの。

その証拠に周囲のエネルギー範囲が広がっており、今では数十キロに及び、魔王国の民達を守っている。

ふふふ、イツキは「エネルギーが急増したから」って言い訳するだろうけど、民を守るための措置なんだよね、これは。

だから誰一人として死傷者は出ていない。

まあ、建物は・・・後で頑張って直し欲しい。


それなのに、何故私とイツキが苛ついているのか?

それは仙人の肩に妖精のような存在が取り憑いており、それが周囲の小精霊達を喰らっているからだ。

木火土金水とは、すべて小精霊の起こす現象であり、小精霊とは天界を育む(イツキの世界で言うと)微生物的存在なのよ。

風で淀む大気を循環させ、大地を肥やし、水を循環させて生命を育み、火を使って生活を営む。

金とかの鉱石は・・小精霊のう◯ちみたいなものね。

時には天災という暴威も起こすが、あくまでも天界を維持するための措置である。

それを食事とする仙人達の姿は【自然との共生】ではなく【自然の搾取】でしかない。

・・・あの妖精?容姿はカワイイ(オーラル視点)のだけど。

その行為が醜悪で、生かして欲しいとは思えない。


それに比べてイツキはエネルギーイーターといっても精霊を食べてはない。

その他エネルギーが(イツキは知らないけど)自分達から『私を取り込んで〜』って喜んで取り込まれているの。

しかも、取り込まれたエネルギーが周囲のエネルギーを『ここ居心地いいよ』って勧誘(イツキは知らないけど)しているの。信じられないわよね。

エネルギーイーターとは力にすら愛される、極々一部の【慈愛系】神が持つ特異能力なのよ・・イツキが慈愛系女神の素養あり、なんて信じられないでしょうけど。


明らかに戦神なのに、慈愛系の力をも持つイツキとは何者なのか?

私が知りたい位だけど・・まあ、私の大好きな友達というだけで十分だわ。


「ん?・・ゲームマスターが【外来種なので排除して欲しい】って」


あまりの搾取行為に、ゲームマスターすらも我慢出来ないようだ。

「敵に頼むとは・・・まあ、いいけどね」

ふふふ〜、イツキは絶対に断れないわよね〜?

だって、許可が出たことで小精霊達に『助けて〜』って、群がられてるもの。

「なんでニヤニヤしてるの?気持ち悪いわよ」

顔を掴まれて「やめへ〜」グリグリされてしまったが、照れ隠しだということは分かる。


「さあイツキ!殺っておしまい!」

「そうね・・あいつらムカつくし。じっーくりと、なぶり殺しましょう」


イツキが仙人達を絶対零度の目で見つめている事に気づき、頼もしくもあり、やり過ぎを心配するオーラルだった。


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