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007話 総長、真マーキュリー教会の行動指針を示す

<伊月サイド>


特訓開始から10日が経過、休眠時間以外はガッツリと鍛えている。


6〜9時の覚醒時間は、食事と筋肉覚醒の筋トレ。

9時から17時の活動時間は基礎の戦闘訓練。

17時から21時の鎮静・繁殖時間は食事と筋肉鎮静の筋トレだ。


もちろん闇雲に鍛えている訳ではないよ。

部屋全体に神聖属性の魔力と発氣を満たした環境で、定期的に聖属性魔法で疲れを癒やし、食事は私の創造魔法で生成した成長促進の効果のあるものを与えている。

食事については、こいつらが接種するエーテルに妙な異物が混じっているので【エーテル禁止】とした。

しばらく接種してたら喉に違和感を感じ、吐き出したら微量だけど、どす黒い何かが出てきた。


私はある能力を得たことで良いも悪いも全部エネルギーに変換出来るけど、人には無理。

普通の神にも無理じゃね?って感じてる。

なので疑念があるうちは接種禁止にしたんだ。もちろん女神達にも連絡しているよ。


その努力の結果、みな存在レベル10以上になった。

そろそろ騎士と魔道士に区分して訓練を行なおうかな。

ん?それほどレベル上がってない?いやいや一般人は3〜5、兵士・騎士冒険者が10〜20、英雄クラスが40台らしいので、10日でこの成果なら伸び率としては100点満点だよ。

騎士チームはリサを含めて4名。

お眼鏡通りリサは順調に成長して存在レベルが35まで上がっている。

驚かされたのは教会に来た時に初めに声を掛けてきた初老の女性だ。

50歳代かと思っていたけど実際には40歳、あの妹だから苦労しているのだろう。


名前はメリッサ・ラ・メール。

なんとあのバカ王の妹だった。お嬢様なので当初の存在レベルは2。

初日の訓練も全く駄目だった。

とりあえず筋トレより元王族の顔の広さを活かして各国の交渉役を優先させよう!

と思い立ち、メリッサを教皇に任命したんだよ。適材適所って感じで。


そして女神マーキュリーの【3人の管理者】の真似をして

私の【聖女帝】

メリッサの【聖教皇】

リサの【聖騎王】

3聖人体制にしてみたんだ。


そしたらさ、その翌日からメリッサが人が変わったように張り切りだして・・・既にリサ超えの存在レベル41になってるの。想定外過ぎてびっくりだよ。

身長も初めは155cmだったのが181cmのがっしり体型に成長。

顔付きはおっとりとした感じから、カッコいい系の美形になったよ。

原因はメリッサが溜め込んでいた魔力らしい。

本人は魔力を日々女神に献上していたつもりだったようだけど、しっかり体内に蓄積されていたみたい。

王族なのでなかなかの魔力量保持者なんだけど、それをなんと25年分も貯蓄されていたのだ。

それが教皇就任をきっかけに、目標とする自分の姿を明確にイメージ出来たようで・・膨大な魔力がメリッサの目標に合わせて自身を進化させたみたいなんだよ。


「ありがとうございます。これも女神様と伊月のおかげです」

・・・って、私も女神も何もしてないんだけど、その感謝は受け取っておこう。


私が魔力を初めて使った際も【魔力とはイメージで何でも出来る創造の力】と認識出来た。

すでに紙や額縁、食事なんかも作れるし、結構便利な力なんだよね。

シャクティに聞いたら魔力って神の創造の力らしいよ。

たださ、人の持つ魔力は神の劣化版らしい。

それでも、それなりにイメージに沿った結果を与えてくれるのだから問題ないだろう。

教会の残り4名の内、2人は女性でメリッサの乳兄弟と侍女だったらしい。

いずれも熱烈な女神信者だ。


サラサ・オーランド(40)。

存在レベル2⇒15に成長。オーランド侯爵家の次女で、あの召喚現場に居た宰相の妹だって。

メリッサの乳兄弟で幼馴染なんだけど性格は【女神の敵は皆殺し】って、武闘派だ。


もう一人は、ミラ・サンドランス(37)。

存在レベル4⇒17に成長。サンドランス男爵家の5女。こちらが侍女、聖魔法の素養が高い。


残りの男性2名は、ゲンツ(63)とケイン(24)。

ゲンツは平民だが元騎士、メリッサの影の護衛(本人には秘密)で当然武闘派。

ゲンツは鍛えた結果、存在レベル18⇒31になった。

年の離れたメリッサに恋心を抱いているらしくメリッサの役に立とうと必死に鍛えた成果、英雄の域にも近い。

ケインは女神の仲間の神獣達に興味がある若者で存在レベル3⇒11。

こいつは唯一のスキル持ちで【獣達の仲間】とかいう羨ましいスキルを持っている。

魔物にも効果があるのか?後で試す予定だ。


リサ、メリッサ、サラサ、ゲンツを騎士チーム、ミラとケイン、私を魔法チームにした。


「よし、今日は森に行って魔物を討伐するぞ!その前に・・まずは冒険者登録だね」

皆と連れ立って外に出ると・・貴族と思われる人物と兵士共が30人ほど居た。


「ほう、丁度よい。貴様が異世界転移者のイツキだな。今すぐに王の御前に出頭せよ!」

何だ今更?ああいう権力を持つ無能は行動が読めないからある意味厄介なんだよね。


「私は女神マーキュリー様より聖女に任命されました。女神の指示には(気が向けば)従いますが、貴方様(無能な人共)の指示に従う理由はご・ざ・い・ま・せ・ん!」

これでもかって程の皮肉な口調で蔑みを顔に出しながら言ってみた・・お!無事に伝わったようですな。


「な!?・・偉大なる王に対して不遜なその言葉!金竜に負けた女神など使い古されたオンボロ雑巾だ!王こそ現人神であらせられる!もう我慢ならん、拘束しろ!」

「「「「「・・・あ?」」」」」


鍛え上げた教会神徒5人(私とリサ除く)から溢れ出す強烈な殺意。

存在レベル3の貴族と10前半の兵士共は硬直する・・丁度いいか、女神に反するものがどのような末路になるのか?今後の行動指針を見せよう。

まあ、女神を侮辱したこいつらを皆殺しにするだけなんだけど、後はその方法だよね。やっぱり魔法かな?

だけど問題がある。皆を鍛えていた最中に私も魔法の訓練をしていたのだけど、何故か魔法を飛ばすことが出来ないのですよ、これが。

「ふぁいやー!」とか火球を飛ばそうとしても・・手から離れない。

そういえば昔から発氣も駄目なんだよ。子供の頃は「か◎は◎波」とかやるよね!でも発氣持ってるのに駄目だった。これって何なんだろうか?

体と接触していれば発動できるんだけど・・仕方がない。今回は別の方法、より残忍な方法でやってみましょうか。


「女神様を冒涜するなんて万死に値します。聖女として腐敗した魂を浄化しましょう。すべては【世界の正常】を取り戻すために!」


その瞬間、兵士達の足元が光りだし、1名ずつ、ゆっくりと地中に飲まれるように消えていく・・まるで地面に捕食されているように。

ふふふ、順番が後になるほど恐怖が膨れ上がるでしょうけど、痛みはないので心配無用ですよ。

最後に残った貴族風の男が

「ひ・・ひぃぅ!お、ヲタすけを」

と必死に助けを求めてきたので、ニッコリと笑顔を向ける。


「次に生まれ変わったら、しっかりと女神を崇拝するのですよ!さようなら〜」

逃がしはしない。


神になって得た能力 (スキルではないみたい)らしいのだけど、私には【エネルギーイーター】って呼んでる能力がある。

その初使用の実験として、こいつらを分解して美味しく(はない)頂きましたー!皆さんには痛みはないけど、魂ごと食べちゃうので輪廻転生なんてないのだ。ゴミども、嘘言ってごめんね!

でも女神を侮辱したんだからコレくらいは当然でしょう。って、皆に説明。

引かれるかな?って思ったけど、逆に称賛されました。


メリッサからは

「女神様を侮辱=魂の消滅。とても分かり易いです。それでしたら残り1名は手足を一本無くしてから慈悲として生かしたほうが良い宣伝になります」

だって。ゴリゴリの女神神徒は怖いね。


さて、【エネルギーイーター】を初使用した感想だけど、全く力の増加を感じなかった。

隠し持っている私の力からすれば、塵芥もおこがましい程の微々たるエネルギーだったのよね。

自分の力の底が見えないってのも考えものだよ。

しかし、これほどの力を何処で得たのか?やはり異世界転移の際しか考えられないんだよね〜


<女神ガイアサイド>


『あんんの面白玩具が!!!丁寧に、丁寧に、育てていたのに・・裏切りやがったーーーーー!!!殺す殺す殺す!』


地球という名の平面世界、天界ガイア。

そこには【地球は球体】と信じ、200kmの高さまでそびえ立つ世界樹が存在している事を、支配者階級以外は知らぬ人族が70億程住む場所だ。

その天界に溶け込むように、生きとし生けるものを見守り続ける天界ガイアの神である女神ガイアが今、激怒していた。


それもそのはずだ。伊月が異世界転移した際、お気に入りの玩具を逃すまいと手を出し・・その力の9割を、しかも玩具と見下している存在に霧散させられたのだから。

この女神にとって人族はすべて玩具。

70億という大量なる人族が住まう理由は【お気に入りの玩具が生まれやすい】との理由のみ。

いわば、この天界は玩具牧場なのだ。

そして、子どもたちがカブトムシやクワガタを捕まえて自分本位に愛でるように、お気に入りの玩具達にあらゆる苦悩を与え、苦しむ様を楽しみ、飽きたら捨てる。

その結果に大戦争ルートになれば一大イベントの開催だ。

人族からすれば畜生の類の女神である。


だが、その玩具達を守るため、また玩具を増やすためには手段を選ばない。

敵となる魔獣を滅ぼし、意見の異なる他神を放逐し、ついには自身を天界と同化させる程に大事に大事に保護している。

だがメ、同化にはメリットも有る、天界と同化すれば玩具達が無様に踊り狂い発狂するのを一瞬たりとも見逃さずに見守ることが出来るのだ。

最近はこれこそこの神の唯一の楽しみなのだ。


その神のお気に入りだった伊月。

つまり伊月が波乱の人生を歩んでいたのは、都度面白そうだとちょっかいを出していた女神のせいだった。

ただ、最近は玩具自身の抵抗で介入出来ずにイライラしていた矢先の造反(女神視点)。

一方的に遊び、飾って、飽きたら壊す程度の玩具が反抗したのだ!

しかもご主人様の力を霧散させた!

数年もすればすぐに力は戻るだろうけど・・許せるわけがない。


『捕まえて私みずから拷問してやる・・あいつは日の本の人族だから同郷の玩具を遣わそう』


ごそごそと異空間をあさり、そこからかつて楽しんだ玩具達を取り出す。

その姿は天狗、鬼、孔雀、虎、牛だった。


『・・・あー、この玩具の名前・・なんだっけ?とにかく!天界マーキュリーに出奔した山本伊月を捉えて

きなさい!』

「「「・・・はい」」」


だが、見下すことしかしてこなかったガイア神には想像出来ない。

力の霧散では無く玩具自身が力をすべて取り込んだことを。

更にはその力を十全に使いこなし、それをきっかけに驚異的に成長する玩具の存在など想像すら出来ないのだ。


<???サイド>


天界マーキュリーの大陸にあるとある場所、とある極秘の研究機関。

そこで、特殊なケースに収められている鉱物がもぞもぞと動き始める。


『ん?・・何この匂い・・・ふがー、はらへった・・・美味しそう!いや絶対に美味しい!食べたい食べたい食べたい食べたい・・・』



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