表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/63

006話 総長、女神マーキュリーの聖女(笑)になる

<伊月サイド>


ふむ、これで女神の延命は出来そうだね。でも、まだ心配だから追加でどんどん力を送ってあげよう。

で、利息ががっぽり溜まったら借金の利息として、女神の力で地球への帰還を果たす。

どうせ女神には私が貸した力を返せる程の甲斐性はないのだ。

異世界間渡航の方法や神についての常識も教えてもらえば、ここにもいつでも来れるし、新たな世界にも行ける。うふふふ。


『なるほどね〜、ケチな伊月が大盤振る舞いしたので、何故?と思ったけど、そういう理由ね』

『すごいのじゃ!』

『素晴らしか!お母様』

「元の世界に・・その時には私も一緒ですよ!ムースどんの実家・・気の緩み・・既成事実・・嫁!・・ふひひひ!ふぎゃ!」

無言でリサの頭を殴った。


シャクティにレディースチームメンバーへの伝言を頼もうかと思ったけど、神に借りを作る事は避けたほうが良いと感じている。あくまでも貸しを作り優位な立場で交渉したほうがいい。

リサについては娘達(特にムース)と引き離すと後々面倒そうだし、アリス達と一緒に一度は向こうに連れて行こうかと思ってる。

「リサももちろん一緒だよ・・仕事の進捗次第だけどな!」

すると鼻息荒く「頑張ります!」だってさ。


さて、女神の延命はシャクティのお陰で上手くいきそうだ。なら第二段階に・・・カラーン!カラーン!ん?鐘の音?しかも地下から響いてきたぞ。


「あ、16時30分になったので早めに宿を取りましょう」


・・・そうだった!17時以降は鎮静・繁殖時間だったっけ?この時間制限が結構面倒だね。

リサは城内での寮生活だったので王都に自宅はない。宿に泊まる選択も有りだけど・・・そうだ!


「なら、マーキュリー教会、だったよな?そこで宿を借りよう」

「そういえば第二段階は教会が鍵なんでしたね」

そういうこと。

『すべての人族を女神マーキュリーの信者にするんだよね』


そうだねアリス、面倒だけどしっかりと考えたんだよ。

手っ取り早く女神に恭順させるにはどうしたらいいか、ってね。


「私の作戦はこうだ!異世界から来た強大な力を持つ私を恭順させたのは女神様。そして私は女神様に帰依して・・【聖女】になったって設定!ちなみにリサは私が選んだ英雄候補ね」


『『『・・・・・ぷ!』』』

『ぷ・・ぴ!うひひひゃ!伊月が聖女!?聖女様!?破壊神のほうが似合ってるよ〜』

『悪いものでも食ったのか?無理無理無理!漆黒の魔女のほうがいいのじゃ〜』

『お母様、人には適材適所ちゅうものがあっとど』


そこまで言わなくても・・・娘に殺意が芽生えそうだ!


「え?金髪って【神に愛された人物】なんですよ!しかも伊月は金瞳です。更に芸術品のような突出した美貌ですし、聖女様は適任ですよ」


リサ・・お前いいやつだったんだな!それに引き換えうちの娘達は・・・

リサへのお礼として3人娘には覚えたての魔法で、ちょーーーっと痺れて行動不能になってもらった。

その3人をリサといっしょにモフリまくったぜ!

教会まで移動しならモフりまくった結果、リサの異常な熱量に怯えた娘達は私の中に逃げてしまった。身動きが出来ないとあの熱意は怖いみたい。


実は私の中にはちょっとした異空間みたいなものがあるんよね。新宿御苑くらいの広さがあるらしいので娘達はそこでのんびりしている。私は夢の中でしか行けないけど。

子供の頃は夢の中で発氣を使って部屋を壊したりしたので、異空間の存在をアリスに教えてもらってからは就寝後には意識のみでこの異空間で修行するようにしている。

おかけさまで24時間鍛えに鍛えまくって今がある。レディースチーム【同盟】の仲間も時折夢に引っ張り込んで鍛えたりもしている。

リサもその手法で鍛え・・そうえいばリサの存在値をまだ見てなかった、確認してみよう。


<ステータス>

名前:リサ・山本(自称)

年齢:17歳

性別:女

種族:ムースと一緒の神獣(自称)

存在値:レベル21

スキル:ムースの守護者(目標)、付与魔法(火属性)

称号:きずなの主、ムースのつがい(予定)、伊月の義娘(予定)


・・・こいつすげーな。神レベルの鑑定能力に自称と予定が満載なんだけど。

頑強な精神力の賜物か?既に持っているスキルよりスキル(目標)が上位なのも意味不明。

異常な程に愛されてるなムース。つがいの話は別だけどムースのバディにするのはいいかも、ムース次第だけど。


『駄目だよ伊月!妹達は生涯嫁には出さん!その芽があるなら・・殺そう!』


アリスという小姑もいるので道のりは大変だぞ。


嫁情報で復活したアリスを頭に乗せて、マーキュリー教会へ到着した。

王都の西北、町外れに教会はあったけど、ずいぶんと小さな小屋でした。

中に入るとすぐに下に降りる階段があった。その階段を降りると・・中は広いんだね。

学校の体育館レベルの地下空間が広がっていて、天井も高い。きっと避難所としての側面もあるのだろう。

床・壁・天井はすべてレンガで白一色、白は女神マーキュリーのカラーらしい。

装飾などは皆無で最奥に女神像と思われる白い彫像が台座に置かれており、その周囲に5名の信者が熱心に祈りを捧げている。


「おおっ!女神様のお力が・・僅かだが回復されているぞ!」

「嬉しい!」と涙を流しながら祈りを捧げている。

女神の状態が分かるのか、こいつらは本物の信仰者のようだ。

さあ!聖女としての努めを始めよう!


「信者共!集合だ!」


掛け声と共に、神聖属性に変換した魔力をどっぱー!と放出したら、慌ててこちらにやってきた。

信徒の衣服は、シルクの白い着物を羽織り、それを白い腰紐で止めている。質素な感じだ。

しかし、そこら中が白一色で目が疲れるね。

その中から、何処かで見たことがあるような?初老の女性が声を掛けてきた。


「いずれかの聖者様とお見受けいたしますが・・どのようなご要件でしょうか?」

「女神マーキュリーより【聖女】の称号を(貸付の利息として)賜った山本伊月だ。異世界転移者でもある!」

「て・・転移者ですか!?」

「ぎゃ!殺さ・・ん?女神様の使徒!?」


そして、ここの王に異世界から強制的に転移させられた事、ムカついたのでこの国を滅ぼそうとしたけど女神様に諭された事(捏造)、そして女神様の御心の広さに感銘を受けた事(捏造)を伝えた。


「まあ、いきなり言われても信じられないと思うので・・シャクティ!」

『待ってました聖女様!にょほほほ!』


中空から錫杖のシャクティと汚らしい枯木で作ったワイングラス形状の木製コップが現れた。


「おおっ!シャクティ様に・・ま、まさか!?プール様ですか!・・なんという僥倖でしょう!では、やはり貴方様は聖女様なのですね!」


シャクティを準備しておいて正解だったね。で、プールって誰?

とりあえずシャクティと小汚いコップを掴むと・・おおっ!これは!?

私が掴むと小汚いコップが虹色に輝く透明の美しいワイングラスになった。

そして知識が頭に流れてくる。ほー、これが聖杯か。プールとは世界樹の事らしい。


聖杯は不老不死とは関係なく、植物に愛される称号のようなものらしい。

育成はもちろん、植物に指示も出来るみたいだけど・・指示って何?機会があれば試してみよう。


「【3人の管理者】の内、2人を託された私が女神の代行者である!これからは私と共に女神信仰【世界の正常】の復活に命を掛けなさい!」

「「「「「は!」」」」・・・ついに枯れきった女神信仰の復興が始まるのですね!」

「そのために・・まずはお前達を存在レベル50以上の猛者になるまで鍛え上げるよ!」

「「「「「・・・・へ?」」」」」

「問答無用!休眠時間まで、腕立て・腹筋、スクワットを各500回!始めろーーー!!!リサもやれ!」

「「「「「「ひーーー!!!」」」」」」


訓練中に、何故、体を鍛えないといけないのか?を説明する。

それは聖属性の力を得るための下地。強靭な力は強靭な人間にしか宿らない。

そして、ただ女神にすがって祈るだけでは、もう国民の女神信仰は得られないし、天界崩壊とともに女神自身も滅ぶだろう。

人族の信頼を得て女神を助けるには・・圧倒的な力だ!

女神は慈愛を与え、その取り巻きに与えられる役割は力!女神にあだ名す害悪をすべて排除するのだ。女神代行として、その拳で!その魔法で!お前らが率先してねじ伏せるんだ!

女神はこれから力を回復していく。その復活の道筋をお前達が事前に整地してお助けしろ。もうお前らは信徒ではない、神徒なのだ!

猛烈な特訓で思考低下したところに上記の内容を、繰り返し、繰り返し、洗脳のごとく脳内に刻み込んでいく。

皆が女神に失望する中で、折れずに信仰心を貫いているような連中だ。

10日程鍛えれば顔つきも変わり、いずれは女神の狂戦士として完成するだろう。

だが、苦痛だけでは人間は精神を崩壊してしまう。当然のことながらご褒美も必要だ。


「シャクティ、早速だけど今日の出来はどうだった?」

『ばっちりです!しかも、何故か蕩けきったお顔まで頂きました!』


これが女神マーキュリーか、子供じゃん。ふむふむ、通常の女神様微笑みバージョンに、鼻眼鏡変顔バージョンと、鼻眼鏡至福顔バージョンか・・最後のはデレデレだな。


「鼻眼鏡好きなの?マーキュリーって」

『違います』

変装趣味にでも目覚めたか?


確認した画像を拡大して紙に転写。それを額縁に入れて・・教会の壁に飾っていく。

神や額縁は何処から?もちろん魔法で作ったんだよ。せっかく魔法が使えるんだから活用するのは当たり前でしょう?


「喜べ!お前達の行動に感動した女神様から自画像を頂いたぞ。そして歓喜しろ!お前達は正式に神徒になったのだ。この笑顔をお守りするのだ!」

「「「「「おおおおおおおおおっっっ!なんと愛らしきお姿か!」」」」」

「この愛らしき女神様を私達が・・・守る?」

「大役ですが他者には譲れません!」

「・・・ムースどんのほうが可愛いです!」

「そうだな」リサはブレないな。


伊月の洗脳は初日から順調である。さて、どんな精鋭部隊が出来上がるのやら?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ