表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/83

067話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:刺客:黒鬼との戦闘(後編)】

<女神オーラル サイド>


イツキがすぐに来てくれない・・そうだ!私には一時的な防御方法があったわ。

「【魂鎧こんがい】かまくら!」

私達が眠る時にイツキに毎日作らされた【魂鎧こんがい】のドームだ。

黒王や雷帝の攻撃にもびくともしない。

毎日作っていたおかげでスムーズに作ることが出来た。

おーほほほほっ!壊せるものならやってごらんなさい!


「なあ・・・正面のドアから入っていいのか?」

「あ!はわわわっ!駄目です、今塞ぎますから」

そういえば、夜中にトイレに行く黒王と雷帝のために、いつもは出入り口を作っていたのだ。慌てて出入り口を塞ぐ。


「はい、やり直し!・・ふふふ、これが神の力よ!貴方に壊すことが出来るかしらね?」

大口を叩きながら、実際にはイツキ不在の不安で心臓はドキドキバクバクだ。

イツキがそばに居ないだけでこんなに不安になるなんて・・ゲームから抜け出せたらイツキの謎空間の管理人に立候補しよう、と心に誓う。


「よし、ぶち破ってやるぜ!」

黒鬼は拳と蹴りの連打でかまくらの崩壊を目指すが、流石は女神の防御だ。びくともしなかった。

「かてーな、手足がイカれそうだ。さすが女神だ。なら・・ふん!」

気合と共に、黒鬼の華奢な体から筋肉がボコボコと盛り上がり、男性ボディービルダー真っ青のマッチョガールが現れ、暴風の如き攻撃が開始される。

「うぉぉぉぉぉーーーーっ!」

「(ぎゃー、やめて〜!)」

先程は、ガン!ガツッ!という打撃音だったが、ドォォン!ドガァァン!という重厚な打撃音に変化した。

だが、その猛攻にもかまくらは頑健に耐え抜いた。

かまくらは無事だったが、既にオーラルはちびりそうな程恐怖していた。

これはまずい!と、またイツキのたたき売りを始める。

「さ・・さあ!無理だと分かったでしょ?イツキの方を先に始末しましょう?ね?それが魔王への忠誠というものですよ」

「そうだな・・・これは私の力では無理だ」

ほっ、諦めてくれたわ。なら早くイツキを追いなさいよ〜!


「今度は魔法も使わせてもらう。土魔法【破砕アーマー】装着!」

「げ!?まだやるの?」

土を使って鎧を作るようで、黒鬼の足元からモリモリと土が盛り上がって、ついには黒鬼自身を包み込む。

それを見た黒王と雷帝は『チャンスだ』とすかさず近寄り、それぞれおしっこを掛け糞を掴んで叩きつけている。

「こら、女の子がはしたない。やめなさい!」

と叱ったら、今度はつばをぺっぺと吐き出している。まあ、ソレくらいならいいでしょう。

二人はしばらくつばや胃液まで吐いていたが、土の山に異変を感じてかまくらに慌てて戻ってきた。

すると、徐々に土の山が人の形になっていき、光沢のある焦げ茶色のフルプレートメイルを纏った黒鬼が象られていく。


「ほわっ〜、あの色の具合Gみたいね(みんな元気かしら?)」

屋敷のG達を思い出し、つぶやいた女神の声は黒鬼にも届く。


「G!?この壮麗なメイルを・・Gだと!?」

黒鬼が憤慨している時に、黒王は流動する土の中から自分が投げつけた糞の行方を追っていた。

一方、雷帝の方は自身が放った大量の尿が染み込んだ場所の行方を追っていた。

それがうぞうぞと動いていたのが『なんか面白い』と見ていると、最終的に糞は黒鬼の口の辺り、尿は腰回りのメイルで固着、しかも色がそこだけ違っている。

それをオーラルに『仕返しできた、褒めて』と自慢気に告げる黒王と雷帝。

「え!?あの頭と腰回りの色違いって黒王の糞と雷帝の尿なの?黒鬼さん自慢の最終技なのにあんな事態に・・だめでしょ!黒鬼さんに謝りなさい!」

「ぐるるる(いやだ!)」「ぶお(いや)」

このやり取りもしっかり聞こえたようで、慌てて頭部のメイルを剥ぎ取る黒鬼。

「おぐえ〜!なにか臭いと思ったけど糞だと!・・この腰回りが尿!?くんくん、おぅうぇ!」

あまりの臭さに怒りに震える黒鬼に、女神さんは天然という燃料も投下する。


「やっぱり臭いですよね?2人は野菜を全く食べてくれなくて・・だから糞もおならもくっさいの。貴方からも2人に『こんなに臭いのは体に悪いサインだ、野菜もしっかり食べろ』と言ってもらえますか?」

「な!?・・ば・・バカにしやがってーーーー!!!」


自身の最終奥義たる土魔法【破砕アーマー】を披露したのに、色がG とバカにされ、鎧には排泄物を混ぜられ、更には緊張感皆無の話までされる始末。

この壮麗なる装備、圧倒的な魔力量、そして私から放たれる圧倒的な殺意に、普通は恐怖に震えるはずだろ!?それを・・くそが!神たるものの余裕か?


「ふざけやがって!なら『危機の際に使え』と魔王様より授かった魔道具も使って、お前を消し去ってやる!」

「え・・・まだ何かあるの?ちょっとしつこくないかな?そういう娘は嫌われ・・あ〜!だから5歳児の抹殺なんて誰でも出来る雑用をさせられてるのね。まずは心根から改善したほうがいいわよ?」

何気にトドメの天然毒(オーラルは世間話という認識)を吐くオーラル。

これが、黒鬼の深層意識にクリーンヒットしてしまった。


「ぐ!・・・そうだよな。前魔王の娘で黒鬼の私は嫌われ者・・友達いないし・・優しいのは魔王様だけ・・いや、確かに子供の抹殺なんて序列2位の仕事じゃ・・そうか、魔王様にも嫌われてたんだ。そういえば序列2位といわれたけど会議に出たこと無いし。ああ、私が弱いから?そうなの?だから強くならないと・・・強く・・・強く!魔王様よりも強く・・あ〜〜〜〜!?!?つよきゅ〜!!!!!」


女神の怒涛の精神攻撃?で、ずっと封じ込めていた不安を爆発させて、黒鬼の精神が崩壊する。


「つーよーきゅーーー!!うきゃーーーー!!!」

うわ〜、黒鬼さんがはしゃいでるわ〜、よほどあの鎧がお気に入りなのね。

オーラルがのほほんと見ていると、どこからか声が聞こえる。

「ぐはははは、いい壊れ具合だな?娘よ・・・この隙にその体頂くぞ。換装!」

突然、中空から赤鬼のお面が現れて言葉を発したかと思えば、そのまま黒鬼の顔に装着された。

そして、そのお面から数多の触手が現れて次々と黒鬼の体に突き刺さっていく。


「ついに・・ついに復活できたぞ!出来損ないの娘よ。私の役に立って嬉しかろう。がははは!」

「あらあらあら、黒鬼さんのお父様ですか?初めましてオーラルと申します」

やっと話の分かりそうな存在が出てきたわ。

オーラルはほっとしながら黒鬼を乗っ取った新たな存在に話しかける。

「む!?これは女神様。我は前魔王シュティームです。部下の反逆で今までお面に封印されておりましての」

黒鬼の時とは段違いの強者の波動に、黒王と雷帝は恐怖で身動きすら出来ない。が、悪神と言われたオーラルにとっては、おぞましい存在こそ愛するべき存在なのだ。

「それはそれは・・ご苦労なさったのですね〜。一緒にお茶でもどうです?愚痴など聞きますよ」

「労りありがとうございます。ですが・・私には女神様を害する意思はございませんが、イツキなる存在の抹殺という任務がありますので」

これ以上の足止めは無理よね。あと一つ、気がかりなことがありましたが・・・


「ああ、兜と腰回りのシミですか?ははは、これは娘が未熟なだけです。お陰で主導権を握れましたから、私からは感謝ですよ」

黒鬼の父、シュティーム殿から粗相をした黒王と雷帝が怒られない事を確信してホッとする。

そして、イツキが死ぬわけがない。叩けば叩くほど強くなる。という確信もある。


「うふふ・・それとイツキはしぶといですよ」

「女神様が太鼓判を押す存在だからこそ、魔王様に次ぐ実力の我らが選ばれたのでしょう。娘は理解せず対象外の女神様に攻撃する始末、嘆かわしい。別の体が見つかるまで、娘には精神世界で再教育いたしますのでご安心を・・では最後に、女神様といえども守るだけではいけませんぞ」

そう告げてから、あっさりとかまくらを破壊して「お気をつけを」と忠告後にイツキを追いかけていった。


「うひ〜っ!・・課題はイツキと相談ね。さあ、戦場になるここから逃げますよ。10km程離れた場所で・・お肉料理を用意してイツキの帰りを待ちましょう」

「ぐぉお!」「ぶぅおっふ!」

恐ろしい力を披露した黒鬼父。だが、それに負けないほどの力の波動を先程からイツキに感じている女神は、この地の荒廃を恐れて慌てて避難するのだった。


<イツキ・ルノワール サイド>


私が偶然に見つけた鉱石の名は【賢者の石】としておこう。

その力を使いこなせるものには万能を、それ以外には死を。そういう石だ。

その力で細胞の変異を促し、がん細胞のように朽ちることなき強靭な細胞の改良に成功。

更には【賢者の石】の波動をエネルギーとして十全に活用出来るように変異させて、体のすべてを再構成済みだ。

潰れた左腕だけは再生せずに賢者の石をそのまま腕として使用しており、黄緑の蛍光色に輝いている。


「後はこの力で武器を作りたいわね。何がいいかしら?」

一つ残念なことは、この力を定着させたことで体の成長も定着してしまったのだ。

身長1mのままだと拳打の威力が落ちそう・・なので武器は剣関係にするつもりだ。

ん?オーラルが心配じゃないかって?あいつには魂鎧こんがいがあるから大丈夫だよ。

体の最終チェックをしていると、黒鬼の気配が近づいているのを感じる。


「貴様がイツキか。幼い子供を殺すのは忍びないが魔王様の命令だ、死んでもらう」

「あら?だいぶ様子が変わったわね。まあいいわ、最終調整として相手してあげる」

その言葉と同時に、キュイーーーンと左腕の一部分が高速回転する。

すると、腕からバチバチと電気が迸る。

「む、なんだそれは?」

「魔法が使えないので、その代用よ。名付けて【破魔の雷光】よ。あ、そうだわ!」

何かを思い付いたイツキ。迸る雷光を槍の形に変化させる。


「このほうが使いやすいわ。さあ、勝負よ」

「これは・・・一筋縄ではいかないな。先程までの戦闘では手を抜いていたのか?」


イツキの体からは先程と次元が違うほどのエネルギーを感じ、いつの間にか手にもつ槍から雷光がイツキの全身を這い回り鎧のようになっている。

初めてみた時は、強者ではあるが素質に体が追いついていない感じだったが・・今は違う。

「いえ、ここの鉱石・・賢者の石を取り入れたおかげよ」

崖に散見する、鉱石を見てシュティームは慌てて距離を取る。

「!?あれは死神の石ではないか!お前も危険だぞ!」

魔王の領地にもあるが、近寄るものすべてが病魔に犯され苦しみぬいて死ぬ・・まさに死神。

そんなものを使う?いや無理だろう。

「ふふふ、心配してくれるの?でも、大丈夫。これを使いこなせるものだけが得られる境地があるのよ」

【完全消化】で取り込むと共に、力の運用にはイツキの脳内に詰まっている地球での知識が役に立つ。

知識に該当する鉱石だったので【賢者の石】と称している訳だが、非常に危険な鉱石である事は間違いない。


シュティームは危機感を感じ、これ以上の会話は終わりと土魔法で【破砕の大剣】を作り、イツキに襲いかかる。

イツキが無造作に突き出した槍を大剣で叩き落とすが、あっさりと霧散した。

「む!?幻影か?」

一瞬そう思ったが、気がつけば雷光がヘビのように剣を伝い腕に登り、その体に巻き付いてからスパークした!

「ぐぎゃーーー!!!」

数秒の体の硬直後に慌てて体勢を立て直すも、その周囲にはイツキの姿も気配も無くなっていた。


「逃げられたか。娘に苦戦していたのに・・わずかな時間で私から逃げられる程度の実力に成長か。しかも死神の石で、だと?これは早急に魔王様に報告せねば」


30分後・・・崖の隙間に隠れていたイツキがコソコソと現れる。

「もう居ないわね。まだこの力のコントロールが出来てないのよ。全力で暴れると・・あらゆるものが死滅しちゃうし。そんなことしたらまた世界神にバカにされるわ」


「次は容赦しないからね」

物騒な事をいいながら、過去の教訓から今回は戦略的撤退をするのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ