063話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:自業自得の世界崩壊】
<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>
「おま!?ほっほっほっ崩壊じゃ!じゃねえよ!」
・・・ほっほっほっ、神ならば戦闘中でも周囲への配慮は必須じゃ、今後気をつけるのじゃぞい。
それにしても一合目でこれか。【神魔】の力はしゃれにならんのう・・・
え?どういう事?それとしんまって?
ありがたくもない伝言・・いや待って、そういえばお互い力を解放して戦ったよね?
なら周りは・・・周囲への配慮、全然考えてなかった!
慌てて周囲を見渡すと森が無い。すべて崩壊した荒地に変貌していた。
地割れや隆起ですっかり荒れ地になっており、遠くに見えていた山々も無くなっている。
だけど、戦闘で神聖な力を振るっていたので、既に木々の芽が芽吹き出している。
天界神の頂点、天界太神と全力でやり合えば、そりゃこうなるよね〜
『ペルセちゃん最高だぜ!』『旦那様・・てへ♡』
ブラックダイヤナックルのペルセちゃんは初仕事と言うことで張り切ったようで、この成果にご満悦だ。
ラースのほうはペルセちゃんにいいところ見せようと張り切っていた。旦那様と言われてまた真っ赤になっている。
二人は相乗効果で予想以上の火力だった・・これはもう過剰戦力ね。
二人は魔法開発中のシャノワールとシャブロンに託そうっと。
まあ、天界太神もやりたい放題だったし、私も怒りで我を忘れていたので、全員の責任と言うことにしておきましょう。
世界神が言いたかった事は、今後神々との戦闘時には迷惑のかからない戦場を用意しておけ、って事なのだろう。
なら、次からは私の領域内に連れ込もうかしらね。
ちなみに、天界太神も通常ならば神として世界をむやみに崩壊させる事はしない。
今回はここがゲーム世界(仮想空間⇒戦闘OK)と認識しての行動なので遠慮が全く無かったのだ。
『ご・・ご・ご主人様〜、あ、あ、たすけて〜』
「フィル!?どこ?生きてるの!」
弱々しいフィルの声が聞こえて、そういえば鳥達も居たよな。とひどい思考をした後、慌てて周囲を探ると、大きな亀裂の中で竜の姿でうつ伏せで倒れていた。
「フィル!?大丈夫?」
「鳥達は・・・守りました。もう仲間ですからね」
そう言うと、フィルの下から鳥達がおずおずと這い出してくる。
「「「「フィル様、ありがとうございました」」」」
「フィル(貴方を含めてすっかり忘れてたけど)仲間を守ってくれてありがとね」
「へへへ・・頭さえ守れば復活してくれると思ってましたから」
尻尾をフリフリしながら誇らしげなフィルを見て、罪悪感が半端ない。
「もちろんよ!すぐに直してあげるわ」
だが、ここでイツキはひとつのミスをする。
力を開放している状態で、しかも『罪悪感』『感謝』『確実に治す』『鱗よりもふもふの方が良い』という多様な想いが乗りに乗ってスペシャルブーストされた【全癒】を使ったのだ。
治療が終わると、そこには神聖力に満ち溢れた白き羽毛に包まれた神聖属性の・・竜種すべての王たるドラゴンが誕生していた。
そして、この瞬間にすべての世界の竜種が【真の竜王:竜帝王】が誕生したことを本能として知覚したのだった。
種族:始祖:聖神竜の直系(竜帝王の資格者)
⇒ 竜帝王:セイクリッドドラゴン・エンシェント・シャリテ
職業:戦神に愛されし竜帝王(神聖属性)
戦闘力:52879 ⇒ 測定不可
防御力:66209 ⇒ 測定不可
魔力:170002 ⇒ 測定不可
好感度:331 ⇒ 竜族からの好感度:限界突破99999999
スキル:【次元断絶結界】【竜帝王のブレス】
称号:【イツキの愛子】【女神イツキの神徒】【竜帝王氣開眼】【俺の嫁(竜族限定)】
「(あ・・やべ・・)お、お〜!なんか可愛くなったね・・フィル」
「これ・・もしや竜帝王!?なんて事してくれたんですか!平穏な生活が崩壊だよ〜」
平穏な生活が崩壊・・そう!竜帝王誕生の知覚と同時にすべての世界の竜種が【スーパーアイドル(俺の嫁)】が誕生したことも併せて知覚したのだ。
竜は独立性が強いため、竜帝王誕生だけなら「へー、そうなんだ、凄いネ(棒読み)」で終わったが、スーパーアイドル(俺の嫁)となれば話は別だ。
知性、強さ、地位、すべてを兼ね備えた金持ちが考えること・・どの種族も共通なのだった。
そしてこれから、スーパーアイドル(俺の嫁)に対して、ひと目見たい!存在を覚えて欲しい!触りたい!嫁にしたい!と、欲望に塗れた輩が動き出すのだ。
エンシェント・ドラゴンとしては至高の神からの祝福は至福な事なのだろうが、フィルにとっては非常に迷惑な事になりそうだ。
が、そこは永き時を生きるエンシェント・ドラゴンだ。すぐに自分の立場を知覚して対策をする。
【同胞共!我が伴侶はご主人様たるイツキ様のみ。私を伴侶としたくば・・・イツキ様を排除してみせろ!事を成したら私は貴方にメロメロ。永遠の甘々生活が待ってますわ〜♡】
さくっと宣言して、イツキに丸投げしたのだ。
「すごいわフィル。ヤバい竜が私に次々に襲い来るって事でしょ・・ふふふ、ご褒美にケーキあげるわ」
そして、面倒事を押し付けたのに、変わったご主人様からは大喜びで褒められた。
あっさりと受け入れられたフィルは、調子に乗って負担の分散も提案する。
「でしたら、竜帝王が複数居たほうがいいんじゃないですか。アイドルってグループのほうが人気なんですよね?スーパーアイドルよりスーパーアイドルグループですよ!」
「なるほど・・・それはありね!・・ティエ・・始祖竜王も・・ぶつぶつ・・」
危険を分散したいフィルの入れ知恵で、妹であるエンシェント・ドラゴンのティエに危機が迫る事になる。
そうだ、そんな事より被害状況を確認しないと。
「鳥達は私の空間に移動しなさい。中に私の神獣娘アリスがいるから頼りなさいね」
「「「「はい!」」」」
上空から観察すると、既に国中が大変な事になっていた。
建物は地震で崩壊、津波が港湾都市を飲み込み、天変地異で大地に飲み込まれた街もあった。
その後、フィルと国中を駆け回り希望者すべてを私の空間に回収した。
国民も相当数被害にあったが仕方がないと諦めた、だって天界太神が相手だったのだから。
でも、次回からは気をつけよう。
このような冷徹な思考・判断が出来るのは、神になった影響なのだろうけどイツキ自身は気づいていない。
だけど良い事もあった。ゲーム世界のNPCでも私の世界に消滅する事なく移動出来たのだ。
他国から来ていた商人などは消えたので、私の濃密な魔力が漂うこの国の住人限定なのでは?と思っている。
まあ、移動する初めの一人がなかなか決まらなかったけどね。そりゃ死ぬかもしれないんだから当然だ。
そこは妹のソフィアが率先して移動してくれたおかげで、その後はスムーズに事が進んだ。
ん?ティエ?もちろん竜帝王にバージョンアップ済みだよ。本人も泣いて喜んでいた。
「お姉様、そろそろ危険です。早く移動を!」
ソフィアも心配しているし、私も移動しましょうか。
『だめよ!・・絶対に逃さない。貴方の責任、力を貸しなさい!』
地の底から布地のようなものが現れたと思ったら、足に巻き付いてそのまま異空間に引き込まれた。
「お姉様ー!!!」
ソフィアがこっちに来ないように、ゲートは閉じておきましょう。
全く害意がなかった(私を助けて〜!って感じだった)ので油断したわ。
引き込まれた場所は、ローマの神殿跡地みたいな場所だった。
そこには黒衣を纏い、肌は浅黒く、髪だけが真っ白。ただ髪で顔は見えない女性が・・これ、色を逆転させた貞子だ!貞子が居る。
「まあ、いいわ。貞子、話を聞きましょうか」
『さだ・・?うううっ、ありがとうごじゃいます〜!!!』
私の足元に縋り付いて、おんおんと泣いているこの娘。
泣きながらの話で聞き取りにくかったけど、なんとオーラル教の神、オーラル本人らしい。
このゲーム世界に一番初めに取り込まれた悪神で、黒き女神勢力との争いに負け、最後の逆転の可能性を信じてゲームに参加して・・当然負けた。
そして、このゲーム世界を運営するエネルギー供給体にされているそうだ。
ゲームごとに強制参加する理由はただ一つ「誰かに助けて欲しい」という理由だそう。
出来れば助けてあげたいけど・・・
「う〜〜〜ん、無理。ほぼ同化してるじゃない」
オーラルのエネルギーの流れを観察してみたけど、ゲーム世界とぐちゃぐちゃに絡みまくって解くのに何十年掛かるか分からない。
チクチクとマフラーを編むような面倒なこと、私がする訳無い。
『大丈夫です!策があります。世界を壊すほどの力を持つイツキ様にしか達成できないだろう策が!』
む!その言葉に興味が出た。話を聞くだけなら・・いや、なんか面白そうな予感がするわ!
「やるわ!貴方を全面的に信じるわ!」
『えっ!?ほ・・本当によろしいのですか!?お願いしておいてあれなんですが・・確率が非常に低いですよ!』
ふふふ、それがいいんじゃないの。
神経がすり減るような経験を私はしたいのよ!・・ほら話してみなさい。
また、途中でブチギレで世界崩壊で終了、というビジョンが見えるのは私だけだろうか?




