055話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:人体実験を楽しむ女神様】
<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>
みんなに魔力マシマシ甘味をお裾分けしてから周辺の探索を始める。
そういえば本館に住むシンデレサ達を紹介したらブラックイーンがものすごく興奮してたけど・・何だったのかしら?
まさか数多のライバルの登場に、妻の座が危ないと興奮していたのだとはイツキには想像も出来なかったが、シンデレサ達にはしっかり伝わった。
「イツキ様には、ま・い・に・ち、可愛がって頂いてます」
「あら?・・ええ、お腹の子はイツキ様のお子よ」
馬相手にどうかと思うが、この時のシンデレサ達のドヤ顔をブラックイーンは終生忘れる事はないだろう。
静かだが豪炎のごとく周囲を焼き尽くす彼女達の闘氣にぶつかり合いに「みな修行頑張っているわね」と、的はずれな感想を考えつつ、イツキは南の森の捜索を開始する。
余談だが、エンシェント・ドラゴンも参加しているこの死地から、執事や一般メイド達は早々に避難済みだ。危機感知に長けていないとイツキの側で仕事など出来ない。
その優秀さから既にイツキより宝玉【魂玩】を与えられており、既に発氣も習得済み。
イツキの周囲を不足なく整える仕事に国民の間では「なりたい職業」のトップに輝いている・・イツキ好きなもの好きが多い国なのだ。
南の森は北の森より広大だが、この世界にはイツキの魔力が満ちている。
視点を限定すれば、領内ならば広大な森とは言え詳細を調べることも可能だ。
「見たことのない魔物がいるけど数体程ね、発動前かしら。あら?はぐれエルフや冒険者達が襲われているわ。あいつらまだ奴隷狩りやっていたのね」
まあ、みなNPC・・魂持ちもいるみたいですが、面倒だし放置してかまわないでしょう。
しかし、あの魔物達強いわね・・猫や犬タイプの四足獣達・・しかも・・もふもふ。探せばフェンリルとかもいるかしら?
日本に生活していた時も異世界でも動物達から怖がられている。うちの娘達はみな体毛ないし、もうモフれる相手は魔物や他の幻獣達位しかいないのよ。
イツキの重要度が北の森のデュラハンより数段階アップした。
それほどもふもふを求める気持ちは切実なものになっている。
「ああ・・立花やこのはでもいいから、モフらせて欲しいわ」
彼女達のために弁明するが、決して二人が毛深いという訳では無い。
たまに抱き枕にもしていた小柄な彼女達を、高校3年間で二人に無断で自分好みの髪質・毛量に変えているのが理由だ。
なお、見知らぬ女性の名前が出た事でイツキを想う女性達の静かな闘争は一気に終息。
「「「・・誰なの?」」」
現在、猛烈な闘氣はすべてイツキに向けられているが本人にはそよ風程度の影響もない。
「うーん、魔物以外にはなにも・・・ん?あそこ・・何もなさすぎでしょう」
森の一部に私の魔力を避けるように直径100m程の円形状に魔力空白地帯の場所があった。
「うふふ、私の魔力を弾くなんて生意気な結界ね」
遠距離から魔力を暗黒属性に変化させて、じわじわと結界に侵食させて崩壊する。
『な!?・・何事だ!』
『不明です。いきなり結界が崩壊しました』
『魔力の分析を開始します・・これは暗黒魔法です!敵襲ーーーーっ!!!』
結界を崩壊させると、予想通り瘴気のドームが現れた。
ついでに神聖属性と風属性でつむじ風を作り、徐々に瘴気を削る嫌がらせを開始する。
『瘴気が急激に減っています』
『大至急瘴気の補充と敵を補足しろ!瘴気をひねりだせ!そのままだと魔法陣が暴走するぞ!』
『魔力の分析を開始します・・今度は神聖魔法です!暗黒に神聖・・敵は手練れが複数存在!』
『おのれ!オーラル教会からの刺客か!?またしても・・許さぬぞ!』
瘴気を削っている最中に、北の森も観察したけど、そちらの瘴気ドームは既に消失していた。
この瘴気ドームは魔物召喚後は再使用出来ない使い捨てみたいね。
しかし、森とは言え領内に私に気づかれずに侵入するなんて、こいつらやるわね。
瘴気を半分ほど削ったところで、私の監視をすり抜けた理由が判明する。
「なるほど・・・アンデットだったのね」
十数体の人型が魔法陣の調整をしているようだが、いずれも生命の息吹きを感じない。
そういえば私ってアンデットに会ったことないかも?
それぞれ膨大な魔力を持っているようだけど・・リーダーと思われるギリシャの神々のような金髪碧眼の偉丈夫の圧がすごい。
聖人かと思ったけど、命を感じないのでアンデットなのだろう。
その偉丈夫が私が見ている方向に顔を向けてくる。あら?気づいた?
『そこか!・・・何者だ、出てこい!』
そんな偉そうに言われて、のこのこ出ていくわけ無いでしょう。
アンデットならやっぱり神聖属性よね。姿を見せずに遠隔でチクチクと攻撃を加えていく。
瘴気を削りながら、神聖水の雨を降らせたり、体の一部を聖火で発火させたり、神聖水の溜まった落とし穴を用意したりと。
せっかく発動している魔法陣には暗黒属性をた〜っぷりと与えて「もふもふフェンリルこい!」とお願いしておく。
『くそ!まだ襲撃者の位置が掴めんか!』
『それが・・ぐあっ・・エッセリウ戦神鳳国の王都から魔力ラインを感じます・・ですが、この距離からなんて信じられません』
『仕方がない。魔法陣は放棄!引き上げるぞ・・ゲート!なっ!?』
ふふふ、簡単に逃がすわけ無いでしょ。逃走手段のゲートをあっさりと破壊。
その際にゲートの移動先を把握したので、早速ゲートをつなげてみると、ひとつの町が収まる程の異空間だった。
「スズナ、ゲートの先にある屋敷から・・金目のものをかっぱらってきなさい」
「かしこまりました」
「ティエ、フィル、宝物回収後、異空間ごと全部ぶち壊しなさい」
「「うわっ!鬼畜!分かったよ」」
さて、私の方は・・・実験よ!
このアンデット達は丈夫そうなので、神聖属性を付加した各種魔法の訓練をしましょう。
炎に神聖属性を付加した【聖炎】はアンデットに効果はあるが燃焼に時間が掛かる。
水に神聖属性を付加した【神聖水】は表皮を焼くだけで効果は低いが体内に入ると継続的に効果がある。
風に神聖属性を付加した【神聖風】は風刃にすれば切断効果は高いがそれだけ、でも瘴気を払うのに最適だ。
土に神聖属性を付加した【神聖土】は魔物忌避や土地の浄化用ね。杭状にしてアンデットに突き刺せば一時的に封印出来る。
氷に神聖属性を付加した【神聖氷】は一時的な封印・結界にも使えそう。杭状にしてアンデットに突き刺すと氷が溶けて体内に侵食して一番苦しんで拷問に使えそう。
雷に神聖属性を付加した【神聖雷】は攻撃力が一番高かった。アンデットの根源を直接攻撃出来るようで数体消滅させてしまった。偉丈夫さんが劣化のごとくお怒りだ。
光に神聖属性を付加した【神聖光】もアンデットの根源を直接攻撃出来るようだが、効果はゆっくりめ。アンデットが心地よさそうに浄化していき、魂も綺麗になったので一番のオススメだ。
気がつけば偉丈夫さん以外のアンデットをすべて浄化してしまった。
偉丈夫さんは大変お怒りのようなので、浄化した際に残った魂は綺麗にして確保しておく。
あ・・・この魂の感じ。私の魂の場所、分かったかも。
魂を異空間に確保した際、同じ様な感じの場所を思い出した。
まさか、こんな時に私の魂のありかの手がかりを見つけるとは。
「「「終わりました」」」
異空間に派遣した3人が戻ってきた。
「なにか良いものありました?」
「ゴミばかりでしたので異空間ごと綺麗にしました」
「アンデットじゃ物に執着がないのね。仕方がないわ」
「あ、この花だけは持ち帰りました」
「これは彼岸花かしら?でも白いのは初めてみたわ。しばらく鉢植えで様子をみましょう」
とりあえず私の部屋に置いて様子を見ることにした。
よし、最後にあいつをぶっ飛ばして、もふもふをゲットしますわ!
南の森とのゲートを繋ぎ、イケメン偉丈夫と対面する。
「ごきげんよう、イツキ・ヴァーナム・エッセリウよ。領地にちょっかい出して仲間を殺された気分はいかがかしら?」
「き、貴様がーーー!!!」
策もなく真っ直ぐ突進してきたので、最近作った扇子で張り飛ばす。
扇子を使っての戦闘って、令嬢らしいでしょう。
バサッと扇子を開いて口元を隠しながら「おほほほ、せっかちな殿方は嫌われますよ」と嘯く。
「うぉーーーー!!!!」
あらあら、すごい魔力ね。だけど周囲に無駄に放出しているだけ。もったいないわ。
偉丈夫が高温の炎を繰り出そうとする直前に、扇子で叩き落とす。
「それだけ魔力使って、こんなちんまい灯火なの?もっと密度を高めなさい」
「おのれ!魔法の申し子たるバンパイアリッチに向かって偉そうにーーー!!!」
「へー、あなた変わった種族なのね?・・バンパイアなら隠密とか得意よね?」
するとその姿が霧状に変わり、私から距離を取ろうとするが・・それは悪手よ。
エネルギーイーターで、ごっそりと霧を喰い破る。
「うぎゃーーー!!!」
ドサリ、と下半身のみが落下して、上半身を失った痛みに地面を転げ回って・・ん?どこから声を?
そして、転げ回りながら上半身が再生していく・・・神聖魔法ですべて消しても復活するかしら?
えいっ!「ぎゃーーーー!!!」
すごいわ!塵になっても苦悶する声が聞こえるし、どんどん再生していくわ。
これでも死なないのね。不死者というのは間違い無さそうだわ。
<シュラウブ・デレジア・ストラトス(男)>
種族:バンパイアリッチ
職業:オーラル教会へのレジスタンス組織
戦闘力:42(△25)
防御力:63(△30)
魔力:2941
好感度:マイナス1092
スキル:【あふれる魔力】【霧隠れ】【獣化】【不死】
称号:【常時貧血】【オーラル教会への刺客】
「この・・やりたい放題しやがって!痛いんだぞ、泣きそうなんだぞ!」
「なら、私の配下になりなさい。ちなみにオーラル教会は敵よ」
「なに!?・・本気で言っているのか?だが部下を殺したお前を許さない!」
うちの国は諜報能力が不足しているのよね。監視業務を24時間行えるアンデット、こいつらは使えるわ。
「もし受け入れるなら・・仲間を開放するわよ。全員の魂確保しているし・・なんなら血もいる?」
「ほ・・本当なのか!?嘘つかないよな。ゲーム世界って人材不足なんだよ〜、しかもここの人間の血って力でなくて・・ううっ、現実世界に帰りたい」
なにか急に情けなくなったわね。偉丈夫だから可愛さの欠片もないわよ。
「とりあえず私の血をあげるから」
さくっと手首を切って・・なんてことはせずに料理生成の応用で、コップと魔力マシマシで自分の血を生成・・・面白そうだから神聖属性でマシマシにしてみましょうか。
「おおっ!うまそうな匂い・・ごっくん!」
我慢できずに一気に飲んだわ・・・死なないわよね?
「ぶごをs!もdもmd!そもsmd!fこs!」
・・・すごいわ!急速な崩壊と再生。ちょっとグロいけど、なんか実験みたいで楽しいわね〜
すでにイツキの玩具と化しているシュラウブさん、イツキから早く逃げてーーー!!!




