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045話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:ドラゴンに会いに行こう②】

<ナシェリー サイド>


ジブランドルーラ帝国は、プリンセス王国とは海を挟む大国であり現在進行系の侵略国家だ。

そのため、周辺国は帝国に侵攻され無いように媚びへつらっているのが現状だ。

ただ、帝国に隣接する一つの小国だけは頑強に抵抗しており、逆に帝国に侵攻して来る程の戦闘狂の蛮族が住む。

ここ数年は特に活発で、今では帝国も直接的な戦闘を避け続けている程だ。


帝国のいち領都程度の国が、帝国が他国を侵攻しようとすると「隙」と見て侵攻してくるのだ。

しかも、ある理由で侵攻情報が事前に筒抜けのため、嫌らしいタイミングで攻撃を受ける。

困った帝国は、常にこの国との国境線に2万近い兵を配し常に気を配っている。


この小国のお陰で周辺国は安堵を得たが、帝国にとっては取るに取れない喉元に刺さった小骨なのだ。


その小国の名は、戦神信仰国。つい先日モータニアン・ドラゴリア王国から改名した。

ここには凶暴な黒竜人族が住み、数多の予言を託される神託の巫女まで居るのだ。


「きゃー!どどどどど・・・」

「しっかりしなさい!はい深呼吸・・すう〜、はあ〜。はい、落ち着いて神託を話しなさい」

神託の巫女であるジュリナがその神託内容に動揺する最中、その妻であるナシェリーが落ち着かせようと深呼吸をうながす。


この戦神信仰国(この時点ではモータニアン・ドラゴリア王国)では、王族から定期的に生まれる神託の権能を持つ巫女が王になるのが定めだ。

王は神託による国の方針を決め、実際の運営は王族から選ばれた宰相が行う。

実質的に宰相が王ともいえる。

王は神託の権能を維持するためにその生涯を独身で過ごすが、特例として同性の愛妾は許されている。


巫女であり王でもあるジュリナを支えるため、幼少の頃から努力を重ねて、ついに私はジュリナの愛妾となった。

そして、二人には密かな野望がある。

いつか二人を一緒に愛してくれるご主人様に出会いたい!と。


「ナシェリー!ついに現れましたわ!私達のご主人様が・・私達二人一緒に愛してくれる女神様が!」

「はい、落ち着いて。初めから終わりまで、しっかりと話してからよ」


正直、私の旦那様はジュリナだけでいい。だけどジュリナが「二人纏めて愛してくれるご主人様と共に」と譲らないのだ。

おそらくは神託の結果なのだろうけど、男性に身を委ねることがとても怖い。あいつらは陰獣なのだから!


「ふふふー!心配しないで。その御方は女性だから!」

その言葉にほっとする自分がいるが、それでもジュリナ以外を旦那様と認識出来るのだろうか?

それに、ジュリナにそこまで言わせるご主人様とやらに嫉妬もしている。出来れば私だけを見て欲しい。


今回は重要な神託のため、宰相を初めとした重鎮達が招集された。

「神託が出ました!プリンセス王国からエッセリウ公爵領が独立します。その名はエッセリウ戦神凰国。この国の戦神の巫女であり、その戦神自身でもある女神イツキ様を全力で支援致します!」


「うむ、話は分かったが一つ質問したい。ジュリナよ、その女神イツキ様は、なぜ神でありながら人族を騙り、戦神の巫女と名乗るのだ?」

確かに神であれば、我が国と同じように巫女を選定して神として神託を与えればいい。


「これは予測になりますが、人族として自身で動きたいのでしょう・・もちろん戦闘を楽しむために!」

「「「おお〜!素晴らしい!」」」


うちは理性的な始祖竜王が治めるレオンハル王国から袂を分けた最も凶暴で戦闘大好きな黒竜人族であるベリル族だ。

黒髪で黒瞳、肌も褐色であることから闇の輩とも呼ばれている。

そして、わざわざ最強国家の帝国に隣接する土地に住むほど、この一族にとって【戦闘を楽しむ】は、まさに免罪符なのだ。


「して、その戦神とやらは・・強いのだろうな?」

「もちろんです。エンシェント・ドラゴン様2体を配下にする場面を見ました・・1万の時を生きる個体を、です」

「なんと!我らが英雄を!」「「「おおっ!」」」

「しかもですよ。イツキ様自身が竜化をお持ちで、神聖竜になる場面も見ました!ああ・・神託越しでも見惚れるその美麗な姿。もう胸が張り裂けそうで・・」


「素晴らしい!よし、我らは戦神様の配下となろう。国の名も戦神信仰国に改名する・・そして、いつかは戦神様もエンシェント・ドラゴン様も我らが喰らい尽くすのだ!我らが最強!」

「「「最強〜!」」」


こうして我が国はまだ見ぬ神、まだ見ぬ国である戦神イツキ様の【エッセリウ 戦神凰国】に下ることになったのです。

神託を100%信じて、その予定に合わせて迅速に動く。これがこの国が最強たる理由である。


「それと約4ヶ月後にジブランドルーラ帝国が我が神のおわす国に10万の大群を差し向けます」

「なに!?チャンスではないか!我らも五百の全軍、いや国民すべてで戦神様の下に移住するぞ!寄り道して皇帝の首を手土産に、だ!準備を開始しろ!」

「「「おお〜!」」」


「では、私は先立って我らが神の元に向かいますね」

「おおっ!よしなに頼むぞ。それと・・・エンシェント・ドラゴン様方のサインも・・な!」

「分かりましたわ」

そこはやはり竜人族である。エンシェント・ドラゴンは英雄、崇拝すべき存在なのだ。

その英雄達を統べるお方。私もジュリナからイツキ様の話を聞く内に、いつの間にか未来の旦那様に興味深々になってしまいました。


「ナシェリー、神託で見るイツキ様って、夜もものすごくて・・女性8人を可愛がっているの」

「それは・・まあ、一夫多妻でしょうから」

「内緒だけど、エンシェント・ドラゴン様もそのメンバーなの」

「ぶっ!?・・英雄色を好むといいますが、流石にそれは」

「私達で10人だね」「・・・はい♡」


さて、うちの国には港がないので、他国経由で移動することになる。

現在は敵国である帝国を経由するのが一番楽、それこそ手厚くもてなされて移動出来る。

その理由は・・・帝国の国境門をくぐると分かる。


私達の髪と肌の色を見て、早速声を掛けている兵士達。

「お嬢様方。目的地はどちらに?」

「ええ、プリンセス王国のエッセリウ公爵領まで」

「では、あちらの馬車にお乗り下さい。道中お気をつけて!」

このように好意的な理由、それは神託のおかげだ。


「その前に・・巫女様の神託が出たわ。聞く?」

「!?・・はい!でしたら上司に報告と準備をしますので、しばしお待ち下さい!」


慌てて上司に報告に向かう帝国兵。

巫女の神託については、対象国に所要で向かう者達が伝えなければならないのだ。


「正々堂々と責めなければ面白くないだろう。奇襲?馬鹿かお前は」

という、当然の理由で帝国側にも情報を伝えるのだ。


そして、その精度100%の神託を帝国の面々も重要視しているのだ。

憎い存在だけど、とても頼りになる。

帝国側の高待遇はこのいびつな関係の賜物である。


「お待たせしました。お話を伺うため出来れば出発は明日でもよろしいでしょうか?最高級の宿も取りましたので」

「それでいいわ。ではそちらでお話いたしますね」


「「「よろしくお願いいたします」」」


「・・エッセリウ戦神凰国・・戦神の巫女・・そこに・・10万の出征だと!?なぜ、皇帝はこんな時期に?」

「し、しかも・・エンシェント・ドラゴンが2体も降臨・・黒竜人族総出の移住ついでの総攻撃!?」

「すぐに皇帝に出征についての真偽の手紙を!真の場合は私達も【戦神信仰国】・・いや、【エッセリウ戦神凰国】に下ると伝えろ!」

「懸命なご判断かと。エンシェント・ドラゴン様が降臨される件もあり、みな戦意が高揚しております・・おそらく、敵兵士は皆殺しですよ」


「「「ひーーー!!!」」」

「すぐに周辺国にも伝達して情報を共有しろ!・・皇帝の派兵を阻止しないと、大陸全土を巻き込む大戦争になりかねないぞ!」


皆が大騒ぎしている最中、私達はとても手厚く饗された。

豪華な夕食を提供され、謝礼として数十枚の金貨を頂いた。

夜はフカフカのベッドでジュリナに襲われての3回戦、翌日には朝食とお弁当を頂いた。

そして、帝国側が用意してくれた豪華な専用馬車で帝国の港へ向かった。


1週間ほど豪華な旅を満喫、各所で神託情報を伝達しながら港に到着。

「お待ちしておりました」ここでも手厚い出迎えを受けた。

そこで、向こうの官僚から預かった手紙と神託情報を伝えた後、プリンセス王国行きの船に乗り込む。

どうやら、私達の到着を待ってくれていたようです。感謝感謝。


「あの・・少しよろしいでしょうか?」

乗船後に、おずおずとした感じで声をかけてきたオーラル教会の神官。

こいつ・・強いわね。


「失礼ですが、どちら様でしょうか?」

「あ!失礼しました!私はオーラル教会3聖人【昇天】のマリージョと申します」

「!?・・お噂はかねがね。確か攻撃系の聖人でしたよね」

確か、オーラル教会の3聖人っていえば・・・


 【慈愛】ミランジュリ(女) 治癒力が強力。神聖属性を使える唯一の存在。

 【昇天】マリージョ(女)  攻撃魔法が強力、巨大なハサミを背負い魔法以外の通常戦闘も得意。

 【降臨】ライルヘルト(男) 神の意識をその身に降臨させる事が出来る。神の代弁者。


だったかしら。うん、彼女が背負う真紅の巨大なハサミは間違いないでしょう。

女神オーラルに逆らう異端者の首をそのハサミで断ち切る。

別称は確か・・・オーラル犬マリー


「はい!戦闘が大好きで冒険者に同行していたのです・・ですが、留守の間に戦神教会なんて異教徒が・・・コロス!コロス!コロス!コロス!」

「こほん・・・失礼しました。で?その地に向かう貴方達は、どのような目的で?」


ギラリ!と厳しい視線が向けられる。

ああっ!「戦神教会の信徒になるためだよオーラル犬(笑)」と言いたい。

そして、ブチギレたこの方と楽しい戦闘を・・だめよ、今はジュリナの護衛を優先!


「宗教に興味はありませんが、戦神の巫女様の妻になる予定です」

「やはり・・その話、詳しく教えていただけませんか?コロスお方の情報が欲しいのです」

「分かりました!その代わり船上では非戦闘で、船沈んじゃいますからね」

「黒竜人族は戦闘こそ至福、と知っております。異教徒ではない方にそんな事しませんわ」


少し、仄暗いものを感じますが・・私達の同類の戦闘狂ですね。

その後、意気投合したマリージョと酒を酌み交わし、共にイツキ様の下に向かった。


私達は妻になるために、マリージョはイツキ様をコロスために。

あ、その前にエンシェント・ドラゴン様にサインをもらわないと!


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