043話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:エンシェント・ドラゴン、強さの秘密】
<ゴーティエ・エリック・アントニン サイド>
よく分からない内に旦那様から姉を与えられてしまった。
でも、確かに初見から親近感のある同族だとは思ったので特に不満はない。
よし、今後はフィル姉と呼ぼう。
「これからよろしくお願いします、フィル姉」
「・・・へえ、僕のこと姉と呼んでくれるんだ」
「旦那様の決めたことだから。でも、何故か違和感がないのです」
「確かに!僕もフィル姉と呼ばれて嬉しかったから。ティエ、これからよろしく」
ふふふ、旦那様に殺されそうになってから、つながりがたくさん!うれしいな!
「ところでフィル姉、なんで障壁使わなかったの?」
「使ってたさ。ああ、ティエの障壁はまだ精度が低いんだね」
どうやら私の障壁は、まだまだ進化することが出来るようです。
「薄めの障壁を張ると透明だろ?でも強固にすると色が濁る。それは大気が混じって純度が落ちている証だ」
ふむふむ、氷みたいな感じ?実際に見せてもらったフィル姉の障壁は最高密度にしても一切濁らなかった。
「なら・・旦那様はこの障壁をものともせず?」
「そう、ご主人様の戦闘開始のパンチ、あれは体には当たってないけど暗黒の闘氣で障壁を削られたんだよ」
「やっぱりすごい。ちなみに私は障壁ごと殴られて首を折られた・・慌てて最高密度にしたのに」
「・・・まじ?」「まじです」
今思えば、フィル姉に会う前に殺されていた可能性もあるのだ。女性に生んでくれた母に感謝。
「なら、僕もあの戦闘でご主人様に手加減されていたんだ!悔しいな〜」
「・・・フィル姉、悔しいの?」
旦那様はすごいんだから、負けて当然なんじゃないかな?
「そういうことか。ご主人様がティエの育成をお願いした理由が分かったよ」
「????」
フィル姉の話では、エンシェント・ドラゴンという種族が成長するためには【矛盾】が原動力になるそうだ。
それが、エンシェント・ドラゴンが勝負に負けた際、勝者に従順になる理由にもつながる。
勝者を真に愛しながらも、その能力を観察・習得して、最終的にその勝者を食い殺す!そのための習性なんだって。だけど・・・
「私はそんなこと思ったこと無い」
「だから強くなれないんだよ。勝者を愛しながらも、それは愛する勝者を殺すための準備!この矛盾こそが我らの成長の鍵なんだ」
へ〜、でも旦那様を殺す・・なんて考えられない。常に一緒に居たいもの。
「だからこそ、私は母親を殺せたんだから『えっ!?』・・それが独り立ちさ」
「!?・・でも私は、やっぱり旦那様とずっと一緒」
「君はそうなのか?ならさ、愛する旦那様を宝物にするんだよ。旦那様の自由を奪って宝箱に封印した君だけの大事な宝物さ。これも矛盾だろ?」
「・・・それ、いい!それなら強くなれる!」
私だけの宝物が旦那様!旦那様が泣こうが喚こうが、私だけの秘密の場所に大切に保管するの。
それを愛でるのは私だけ・・うふふふ、最高!
エンシェント・ドラゴン。強大な強さと引き換えに・・どこかのネジが数本抜けた存在だった。
だが、世の中にはもっとネジが・・それこそすべてが弾け飛んだ猛者がいるのだ。
<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>
「私、旦那様を宝箱に封じ込める。そして私だけの宝物にするの!」
「ん?・・どういうことなんですの?」
私の下にやってきたフィルとティエ、そしてティエから上記の宣言をされた、意味不明の宣言を。
「ああ、それはね・・・」
フィルの説明を聞いて納得した。へえ、【矛盾】が成長の鍵なんて、とてもぶっ壊れた種族なのね。
それなら、私のサポートはたった一つで済みそうね。
フィルとティエの頭をがっつりと掴んで、私の眼前に引き寄せる。
そして、神威を殺意を・・それこそ最大限に放出しながらお話をする。
「やれるものなら、やってみなさい。楽しみにしているわ!」
二人は言葉を発することも出来ず、ガタガタと震えながら涙を流し、泡を吹き失神してしまった。
やっぱりそうよね、これを受けて喜び悶えているナターシェが変なのよね。
まあ、エンシェント・ドラゴンなんですから、これくらいでは折れないでしょう。
私が宝物に封印されるその日を楽しみにしているわ、フィル、ティエ・・強くて可愛い子達ね。
だが、イツキの意に反して・・二人の心は簡単に、それこそ粉微塵に砕け散ってしまったのだ。
<ゴーフィル・エリック・アントニン サイド>
御主人様の神威で、私達姉妹の心はポッキリとへし折られた。
なんなの!?あの殺意の化け物は!それに・・あの神威は何!?
天界神の頂点である天界太神と数百年前に戦った際「我の神威に怯えよ!」なんて言われたけどさ、ご主人様の神威の百分の一も無かったよ。
ちなみに、言うだけのことはあり結構手強かった。その時はなんとか僅差で勝てたけど、二度と戦いたくないと思ったものだよ。
ご主人様にはとてもじゃないけど勝てる気がしない。
【矛盾】ではなく【無理】なのだから。
せめて御主人様の高みが見えるまでは別の矛盾を探さないと。
「ねえ、フィル姉。最強たるエンシェント・ドラゴンが、旦那様に無価値と認識されて捨てられないように強くなる、ってどうかな?」
それだ!それだよティエ!僕の妹は天才だった!
「最強の種族が無価値と思われない為に地に這いつくばって頑張るなんて・・すごい【矛盾】だよ!よし、二人で御主人様に捨てられないように頑張ろうな!」
「うん!あ、そうだフィル姉。夜の旦那様もすごいんだ。一緒に愛してもらおうよ」
「それはいいね、愛するご主人様に可愛がってもらうよ。でも、いくら主人様でも僕を満足させられるのかな〜?」
そして、その日の深夜。もちろんイツキは爆睡中だ。
これからはご主人に成り代わりヴィーナスによる仲間達への奉仕の時間。
「ご主人様、フィルもティエ同様に可愛がって欲しいです」
「お〜!フィル〜。いいよ〜可愛いフィルも仲間だよ〜」
ふふふ、そんなこと言ってもティエと違い、経験豊富なエンシェント・ドラゴンたる私を満足させられるのかし・・りゃ!?
にゃにこにょきしゅ〜!あわわわっ!ご主人しゃまの・・愛がにゃがれこんで・・らめ、しょこひゃ〜〜〜!!!
エンシェント・ドラゴンたる堅牢要塞かと思いきや・・ぺらっぺらの紙装甲が押し流されていった。
「ティエ〜〜〜!これにゃ、これは・・にゃに!?なんにゃの!?」
「これ、まだまだ序の口ですよ〜」
「ふぃる〜、可愛く泣かせるね〜」
「あひゃーーーー!」
皆が寝静まる深夜に、フィルは未知なる地への大冒険に旅立つのだった。
<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>
そして翌日の朝、目覚めを迎えると・・まあ、予想通りの8Pよね。
ベッドを増やしておいて良かったわ。あと7〜8人は大丈夫ね。
無意識にヴィーナスを支援するイツキであった。
エンシェント・ドラゴンが2体も眠る場所って、ただの死地じゃないかしら?
それにしても、この淫乱共は毎日毎日よく飽きないわね?
さて、いつもは叩き起こしますが・・そのまま放置したら、何時に起きてくるのやら?
その結果は・・全員がお昼頃に、それはもうバツが悪そうに起きてきた。
「イツキ様〜!なぜいつものお尻ペンペンをしてくれないのですか〜!愛の注入を!さあ!」
その中で全裸のナターシェは、お尻をふりふりさせながら上記の雄叫びをあげていた。
その後、明治のおばあちゃんが降臨したイツキに、淑女の何たるかを、むやみに肌を見せない美学を、がっつりと叩き込まれるのだった。




