041話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:イツキの弱点発覚?】
<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>
「何故なの!旦那様は私では不満なのですか!イヤダイヤダ!旦那様には私だけなの〜!」
よく分からないけど面倒くさいわね、この堕竜は。
私が「もふもふの獣をテイムしたい」と言ったら、ずっとこんな感じで精神が幼児化しているのよ。
1万年生きてきて今更イヤイヤ期なのかしら?
「旦那様〜!?私が居るのになんでなんですか!」
「なんでって?何言ってるのか分からないけど。貴方は仲間でテイムするのは獣なのよ。何をしんぱ・・あぁ、そういう事?いずれテイムした獣に負けるんじゃないかって?まあ、私の育成術にかかれば当然の心配よね〜」
「仲間!?・・はわわわっ、仲間!うわ~~~ん、旦那様、しゅきーー!!!」
仲間・・生まれたときから超強く、ずっと一人だったティエには未知であり憧れの言葉だった。
そもそも対等以上の存在などに出会った事などない。
初めて敗北を経験した今もイツキの従魔になった感覚だった。
そのため、他の従魔が増えると嫉妬していたのだ。
それなのに旦那様は・・私を仲間と認識してくれていた!
あまりの嬉しさに・・嬉しすぎて、思わずイツキに抱きついてワンワンと泣き出してしまった。
「うわっ!この図体ばかりでかい幼児竜は。ふふふ、ティエちゃ〜ん、ばぶばぶでちゅね〜?」
ティエ、と呼んでくれるだけでも嬉しくて、バカにしているイツキに気づきもせず、そのまま泣き続けるティエだった。
「貴方のせいでドレスがベチャベチャよ、全く。テイムした獣を強くして別の意味で泣かせてあげるからね」
言葉とは裏腹に、幼児をあやすように優しく頭を撫で続けるイツキであったが、ティエの真意を最後まで理解することは無かった。
はっ〜、堕竜が不安定になるので、しばらくもふもふ狩りはお預けね。困ったものだわ。
「あの、イツキ様。ご相談があるのですが」
シオリナから相談を受けたのですが、その内容が・・またなの?
「またNTR?貴方達、冒険者の下半身はどれだけゆるいのよ」
シオリナの同期の冒険者から「彼女の様子がおかしい」と相談を受けたそう。
色々と調べたところ、どうやら別の男と密会をしているところまでは調べられた。
だけど、魔法で密偵を撒かれて、その証拠がつかめないらしい。
「で、私の探知能力で、その痴女の淫行を確認して現場に踏み込むと」
「申し訳ありません。このようなお願いはイツキ様にしか」
「まあ、良いわよ。面白そうだし。その娘の持ち物はある?」
「え?・・あ、はい。餓狼に頼もうかと彼女の服は持ってきています」
まあ、餓狼でも見つけられるでしょうけど、あの娘達を街には放てないわ。
世界中に私の魔力が満ちているので、その娘の情報が分かれば捜索はたやすい。
今回は近場なので、ある程度の感情も把握できる。
「いたわ。この感情は・・丁度、行為中のようね。すぐに出立するわよ。で、彼はどこなの?」
「この屋敷に居ます。すぐに連れて来ます」
「時間の無駄だわ。一緒に行きましょう」
なにか・・とっても楽しくなってきました。人の不幸は蜜の味とはよく言ったものですね。
「で、貴方が寝取られ男ね?」
「ま、まだそうだと決まったわけでは!」
「彼女は、いま行為の真っ最中よ。貴方がここに居るのによ?なら誰のぴーを受け入れて喜んでいるのかしらね?」
といったら、男がワンワンと泣き出した・・くくく、面白いわ〜!
「あ、あのイツキ様、ものすごく嬉しそうな顔なんですけど」
「だって楽しいもの」
さて、十分に楽しんだことですし、そろそろ踏み込みましょうか。
「さあ、これからゲートをつなげて踏み込みますが、大丈夫ですか?」
「は・・はい!覚悟は出来ました!」
ゲートを開いて、現場に踏み込むと・・まさに行為の真っ最中。
「リサ!・・それに、ケニー!?お、お前ら。付き合っていたのか?」
「サム!?なんで・・あ!こ、これは違うのよ!」
「二人裸で行為中の・・・なにが違うんだ?リサ〜!!!」
その後の噛み合わない不毛な会話の話をまとめると、リサ・ケニー・サムは幼馴染。
リサが商品を泥棒した際、それをケニーに見られ脅されて体の関係に。
それが思いの外気持ちよくて、そのままズルズル続いてるらしい。
「ははは、こいつはすっかり俺のぴーの虜だよ」
ケニーはそうほざいたが、何故かリサに蹴り飛ばされていた。
リサが真に愛しているのはサムらしい・・まさに茶番ね。
「そうか、愛はないんだよね。ならケニーとはこれっきりで、俺と結婚してくるか?」
この現場を見ても結婚したいと言ってるわ。こいつ衝撃で精神を病んでる?
「許してくれるの!?も、もちろんよ。愛しているのは貴方だけ。嬉しいわサム!」
こいつはこいつで二股継続する気満々ね。愛だ恋だ、真実の愛だといいながら、その相手を平気で裏切る。
私が一番嫌いな輩だ。そして、こいつの利己的な感情が流れてきて気持ちが悪い。
先日のミランジュリのように、偽りなくはっきり言ってくれたほうがスッキリするわね。
あー、ムカつくわ。帰ったら精神幼児化中のティエを撫でまくろう。
「ねえ、シオリナ。私にこんな茶番を見せて満足?」
「いえ・・私もサムの彼女がこんなゲスな女だとは思わず」
「貴方も目線で気づいたでしょうけど、また数日もすれば浮気を始めるわよ、この女」
愛などと言いながら、この女の頭の中は次の密会の事でいっぱいだ。脅されたってのも本当かどうか。
「そんなことないわ!私は・・私はサム一筋よ!」
その汚い液まみれでそれ言う?笑えない冗談ね。
「じゃあ、この男いらないわよね?」
「・・・ええ、もちろんよ。サムさえいれば」
それならば、ケニーなる男をエネルギーイーターで食い殺す。
お、こいつはNPCみたいね。
「・・・え!?貴方、ケニーをどこにやったのよ!」
「殺したわよ。だっていらないんでしょ?」
「きゃ~~~!ケリー!ケリー!ケリー!よくも私のケリーを!」
「・・・リサ、お前やっぱり!」
「ち、違うのよサム。私はただ・・そう!幼馴染を殺されて!」
「もうエンドレスね、馬鹿らしい。帰るわよシオリナ」
「・・・はい、申し訳ありませんでした」
屋敷に戻ると、丁度いいタイミングでティエがやって来たのだけど・・ん?
「おい旦那様、幼児幼児いうからこんな姿になったではないか!無責任な言霊を使わないでくれ」
ティエがプンスカと幼女姿で現れたのだ。か、可愛い!さっと抱き上げて撫でくりまわす。
「な、なんなの、旦那様?」
「ティエの幼女姿は可愛いですね。あ〜!癒やされるわ〜」
まさか、あんな茶番に耐えたご褒美が、こんなに素晴らしい幼女とは!収支プラスだわ。
「当然でしょ!ねえ、ソフィアより私のほうが可愛いでしょ!?」
「ソフィアのほうが可愛いわ」
「ぐぎーーーーー!」
「ちょ!ティエ、流石にブレスはやめなさい!屋敷壊れるでしょうが!」
やっぱり私にはこういう直情的な脳筋系統の娘達のほうが性に合いますわね。
その後、怒れるティエにはクッキーをあーんで食べさせる事で許してもらえた。
まあ、可愛くて全く苦にはならなかったんだけどね。
でも、私が「幼女に弱い」という弱点に気づかれてしまいました。
それ以降、味をしめたティエはここぞという時に幼女化するのよ。ずるいわよね。
しかも幼女化の際に、角付けたり、尻尾を残したりと、バリエーションに富んでいて・・それがまた可愛いのよ!
「旦那様ーー!わたし〜、牛さんのお肉食べたいの!」
「今日は尻尾付きで、かわっ!・・・なんて悪辣な娘なの!」
などと言いながら、ティエを私の膝に座らせて、牛フィレステーキを手ずから食べさせる。
「うん、おいちい!」
そう言いながら、尻尾を絡めてくるのよね。
「く、あざといのに・・・可愛いわ!ほら、口の周りが汚れているわよ」
口の周りを拭くと、むにむに言って可愛い!思わずぎゅっと抱きしめる。
それを知ったソフィアが幼児退行化したりして、しばらくは大変だったわ。
そういえば、あのNTRカップルは最終的に刃傷沙汰になったみたいよ。
女性の方も冒険者だったので結構な修羅場だったらしいけど、最終的に剣士のサムに両手を切られ、許されて妻として一緒に暮らしているって。
浮気で両手を切られた女性に手を出す男はいないので、彼女もサムに依存するしかないのでしょう。
私ならすぐに手を生やせるし、そういう陳情も来たけど却下した。
サム自身もNTR現場で精神が壊れた被害者でもあるが、ゲーム終了までの5年でリセットされる。
シオリナには「付き合う友達をきちんと選びなさい」程度に軽く叱っておいた。
でも何故かシオリナは、こちらの胸が痛むほど憔悴していて、思わず抱きとめて慰めた程でした。
憔悴の理由・・イツキが知ることはないが、シオリナはヴィーナスに怒られて1日だけ夜の修行?に参加させてもらえなかった。
最愛のイツキから初めて拒否られて、悲嘆に暮れるあまり憔悴してイツキに抱きとめられて慰められた、字面にすると意味不明だった。




