表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/63

004話 総長、ケモ友をお持ち帰りしてきた

<伊月サイド>


「はあ・・はあ・・ねえ伊月、もう良いでしょ?もう・・我慢できないの!」


声を聞き振り返ると、顔を羞恥に染めながらも欲望に目をギラギラさせて今にも襲い掛かって来そうな女性騎士がそこに居た。

身長は190cmと大柄だがゴツさは全く感じない、黒髪に緑瞳のクールビューティな感じの女性騎士だ。


「あ、忘れてた。ちゃんと優しく可愛がってね」


そう声を掛けると、いそいそと軽鎧を脱ぎ捨て帯剣を放り投げて飛びかかってきた。


「はあはあ、クンカクンカ・・アリスたん!タツキちゃん!ムースどん!かわいーーーー!!!」


人目の多い公園で装備を脱ぎ捨て無防備に幻獣達と戯れる・・・あなた仮にも騎士でしょ、それで良いの?

この騎士は、唯一ムースを「かわいい」と言ってくれた素晴らしい慧眼の持ち主だったのでお持ち帰りしてきた。

この娘がすごいのは、私の強めの神威を浴びせても涼風の如く気にもせずムースに飛びかかってきた事だ。

そして、ひとしきりムース達を可愛がった後に泡を吹いて気絶した。神威が効いていなかった訳ではなく目的(欲望?)遂行のために耐えていただけだった。

欲望を達成するための強靭な精神力に感銘を受けた。

あと、私は動物に怖がられる体質なんだけど、この娘も同様の体質に悩む同士だった。

いわゆるケモ友だ!


「じゃあ、修行して神になろうか?神なら可愛い獣だけの世界を作って、そこで永遠に獣達と仲良く暮らす事も出来るかもよ」


これで問題なくお持ち帰り出来た。チョロかったね。


「伊月・・娘さん達との結婚を・・」

「だめ!せめて一人にしろよ」

「では、ムースどん!」「却下!」

こんな感じでちょっとうざいけどね。

そういえば、まだこいつの名前聞いてなかったな。


「私は リサ 平民だ。そして・・伊月の娘達の婚約者だ!あと炎の付与属性が得ふべっ!」


無言でぶん殴って〆ておいた・・貴様が娘達の婚約者を名乗るなど100万年早いわ!


「面白い娘だね」

「脳筋最高なのじゃ」

「気に入りもした」


ふふふ、娘達にも高評価だし、こいつとなら楽しい旅になりそうだ。

こういう気が狂っているような程に一途な輩が強くなるんだよ。


「じゃあ、仲間になったリサの為に剣を作るか?弱々ですぐに死にそうだし」


<騎士リサ・ブリタ サイド>


私の名前はリサ・ブリタ。ラ・メール王国の王国騎士団に所属していた。

私は貴族の隠し子、ブリタ伯爵家の近衛騎士団長カルロ・ブリタ伯爵の庶子だ。

一応、家名を名乗ることを許されているが、あくまで危急の時だけなので日常ではただの平民。ブリタの家名は隠している。

家名を許されている理由は唯一の実子であるためだ。

ただ、既に侯爵家の3男を養子に迎えているので継承権は無い。

父とは直接の面識はないが、催事で見かける父は高貴で威厳に満ちていた。

その姿に尊敬を念を抱き血の滲むような努力をして15歳で騎士団に入隊する事が出来た。

女性としては身長が高く体力があるのは勿論だが、火の付与魔法が得意で幼少の頃から鍋に火属性を付与して料理を行ってきた。それを剣に付与することで騎士団に抜擢されたのだ。

だが、騎士団入隊3ヶ月後に事件が起こる。

父である近衛騎士団長カルロ・ブリタ伯爵に呼び出されたのだ。


私は「ついに父として会ってくれる!」と喜び勇んだ。

そのため業務終了後に父の自室に呼ばれた事に疑念の欠片もなかった。


だが、入室すると「俺の愛人になれ!」と襲い掛かられた。

こいつは・・・私の体が目的だったのだ。

母から「伯爵様にあなたの騎士団入隊を報告した」と聞いていたけど、このクズには全く興味が無かったのだろう。

もちろん、そのまま襲われた訳ではなくゴミの腹をぶん殴り、いきり立っていたゲスの股間をフルスイングで蹴り上げた。

泡を吹くアホの顔を十数回踏みつけてから食堂で食事中の騎士団長の元まで引きずって経緯を説明した。

でも、騎士団長は貴族への賄賂で騎士団長になった商人あがりの人物だったため、逆に私が謹慎処分となった。


その後、国王に経緯説明という名目で呼び出された。少しは期待したが現実は最悪だった。


「ほう、やはりあいつとは趣味が合う。俺の愛人になれば咎は不問。なんなら騎士団長にしてやる。父は侯爵に昇進だ・・・さあ、寝所に行くぞ」


と言われ、国王・国に対しても絶望した。しかも私がクソの娘と知っていて発言しているのだ。


「娘を襲う近衛騎士団長はゲスでしたが・・国王はそれに輪を掛けた無能、いち国民として恥ずかしいです。この身が腐るのでもちろん愛人などお断りです」


と言ったら激怒された。この瞬間、私の乙女心が完全に死亡した。

父への慕情も王への忠誠心も異性への興味すら消え去った。


「あなたはそれでも一国の王ですか!?」


同席していた第一王子の心からの叫びと、宰相の国王への叱咤で無罪放免となった。

まともな輩も居るようだけど、もうどうでもいい。


人は駄目だ。今後は大好きな獣達と仲良くなる方法を模索しよう。

と、決意をしたのですが・・私は幼少の頃から獣達に嫌われているのです。触れたことすらありません。

しかも、決意をしてからは何故か半径50m以内に近づいてくれなくなりました。

鎖などで動けない子に近づくと、怪物にでも出会ったかのように狂ったように泣き叫ばれます。

そんな失意の日々についに光が差し込みました。

異様な風体の女性が連れている獣達が逃げずに・・なんと!私に笑いかけて来たのです(幻想です)。


「つ・・ついに・・私のケモ天使を見つけました!」


その後の記憶は曖昧なのですが・・・至福の出会い&時間を過ごした事は分かります。


「なあ、ムースはムカデ。虫だ」

「幻獣だから獣です!可愛い!愛してます!」


未来の義母、伊月ともがっちり握手をしてケモ天使達の婚約者になりました(幻想です)。

試しに伊月に「お義母さん」と言ったら照れ隠しで(幻想です)殴られました。

し、しかもですよ、結納品です!伊月(義母)が結納品(そういう意味じゃないと思います)として剣を作ってくださるそうです!

では、早速鍛冶屋に行きま・・・えっ!?この公園で作るのですか?一体どうやって?


実際に剣の製造を拝見しましたが・・・まったく意味不明でした。


1.伊月の右手から金色の光が収縮していき、左の手から紫の靄が出て金色の光に取り込まれていく。

2.収縮していく金色の光が長方形の金属になった!?純金?

3.その金属の一部を、アリスたん、タツキちゃん、ムースどんにそれぞれ食べさせている。お腹壊さないの?

4.伊月が残りの金属の両端をつまみ、びよーーんと伸ばすと2m程の片刃の細剣になった。ん?いつの間に黒剣に!?

5.ムースどんが食べていた金属を吐き出すと、ムースどんの形のワインレッドのグリップに。掴んだら足が刺さるのでは?

6.アリスたんが食べていた金属を吐き出すと、小さなアリスたん2体になり、金色のガード部分になった。

7.タツキちゃんが食べていた金属を吐き出すと、タツキちゃんよりより大きな龍になり、銀色の鞘になった。


「どうだ、私達が協力して作った。名前は【きずな】だ。大切にしろよ」

「はい、結納品『ん?結納品?』確かに受け取りました!さあ、みんなとの結婚式をぐふっ!」

「そういう意味で渡すんじゃない!お前が弱い、か・ら・だ!」


ちなみに、この剣の性能はものすごいです。

ムースどんのグリップを掴むと、足の部分が手に刺さり(足は物理的なものではないので痛くない)精神と接続されます。

これにより魔法の付与が更に容易になりました。しかもムースどんの加護ですべての魔法がブーストされるようです。

アリスたんのガード部分は脳のリミッター解除と思考加速の加護があるそうです。

しかも伊月と幻獣達との脳内会話も。ラブなあの娘と以心伝心!?ぐふふふ。

タツキちゃんの鞘は、剣を使うと思うと自動的に刃の逆側に移動、切らずにボコす場合はこちら側を使います。ちなみに身体強化の加護があるそうです。

この接続で剣と一体化した感じ。3人の幻獣達との心と体のつながり・・って!?もしかしてこれが初夜!?


「伊月!赤ちゃん出来たらどうしよう?いや嬉しんだけど、いきなりだし!」

「はぁ?何言ってんだ、お前は?」

「「「赤ちゃん?」」」


聞かれたので、私の思ったことをしっかりと丁寧に話したら伊月に殴られました。

どうやら初夜ではないようです。


「剣より先にお前の桃色脳を改造すればよかったな」

何のことですか?


結婚への唯一の障害、まああの3人は可愛さマックスですから伊月が手放したくない気持ちも分かります。私が逆の立場なら・・・

斬り殺していますね( ・ิω・ิ)!


義母の説得はこれからじっくりと進めていくとして・・・みんなの妻として一生懸命働きますよ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ