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037話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:ドラゴン vs 戦神教会】

<イツキ・ヴァーナム・エッセリウ サイド>


第一王女を客室のベッドに下ろすと、疲れていたのかすぐに寝てしまった。

一番に王女を疲労困憊にさせたのはイツキ様ご自身なんですよ!とミハイルは心の中で叫んだがイツキには届かない。


「・・・で、ミハイル。どうして近衛騎士団長のあなたが王女を?貴方は王の盾でしょ?」


ミハイルの話では、ほとんどの貴族がうちの家族の捕縛に反対している最中、王の独断で謀反の罪で家族を処刑してしまったそうだ。

王太子は、公爵開放の急先鋒であり、貴族、国民から絶大な人気を誇る次期国王の対抗勢力である第一王女を謀反の共犯として殺害することを計画。

それを知った宰相は、王達の暴走を危惧していた第一騎士団団長にこっそりリーク、同じく危機感を感じていた近衛騎士団長にも情報共有のうえ、うちに逃亡してきたとの事。


「第一騎士団長より近衛騎士団長の同行ほうが、王女暗殺の真実味がありますので」

「なるほど、素晴らしい判断ですわ。そういうことなら大歓迎よ」

「・・・よろしいのですか?」

「私達もね、我が国の建国を周辺国に認知させるために決定的なものが欲しかったのよ」

「まさか・・・王女を売り払うおつもりで」

こういう所は脳筋の騎士ですわね。まあ、貴方に合わせてあげましょう。


「あ?・・・そこまで私の国が軟弱だと?」

威圧を山盛り(神威は使わない)込めて睨みつけると、その殺気に近衛騎士団長は慌てて詫びてきた。


「うちは建国の建前が欲しいのよ」

「なるほど。それでしたら王女様をイツキ様の妻にしたらいかがでしょうか?」

あら?ただの脳筋ではないようね。私を一時の保護者にして落ち着いたら王配となる男性の婿を取る。

女好き設定とはいえ私となら女性同士だから問題ないものね。


「それはいい提案ね。既に耳の早い周辺国からソフィアの縁談が来てるのよ。私は女好きで有名だから来ないけど、すぐに王女もそうなるわ」

「提案は致しましたが、それは王女様のご判断に任せるしか。説得はしてみます」

「まだ時間はあるでしょうから、それはいずれ。まずは王国がなにかしてくる・・・ん?」


この反応は聖獣?・・・丁度、聖獣が欲しかったんだよね。

「少し用事が出来たので失礼するわね」


ゲートを開き、公爵敷地内にある戦神教会本部へ向かう。


「南門に聖獣らしき反応アリ。強敵と思われますので12歳以上のメンバーは全員正装して戦闘へ。12歳未満のメンバーは正装して城壁で見学よ。なお、その聖獣は捕縛しますわよ」

「「「「はい!」」」」

皆が勇んで南門に向かう中で、一人だけ俯いていて動かないものが居る。


「どうしたの?ミライ」

ちょっと内気な12歳、紫の髪に紫の瞳、魔力が多く魔道戦士として期待しているミライちゃんだ。ちなみに12歳ながら発育は良い。


「あ・・あの、イツキ様。私を追放してください!」

「はぁ????」


その後、感情に任せた分かりづらいミライの話をまとめると、『弱いので追放して欲しい』ということだった。


「ミライはここ嫌い?戦闘も嫌いなの?」

「いえ、ここ大好きです。戦闘も楽しいけど・・弱いから。だからメンバーから追放されて・・強くなって戻って来るの!」

あー、今まで読んだラノベを再現して皆が読めるように本棚を作ったんですけど・・この娘、追放系ラノベの影響ね。


「現実を見なさい。ここ出ていったら貴方は強くなれないわよ」

「え!?だって・・ラノベでは」

「あなたはまだ12歳なのよ。よく食べて、よく寝て、きちんと運動と勉強すればまだまだ成長するの。ここを出たら昔の食事なのよ、成長できる?それに孤児院に戻れば発育の良い貴方なんて売り飛ばされて、即日娼館行きよ」

「あ・・・そうでした。無理ですよね」


ゲーム世界は子どもの暮らしやすい場所ではない。ミライがいた孤児院も酷かったらしいから。

うちの娘達は、食う・寝る・遊ぶ・戦う、が完璧なので、年齢より発育がいいのよ。下手に外に出したらろくでもないことになるわ。


「それに、貴方が強いか弱いかなんて関係ないのよ。戦闘が好きなら続ければいいし、やりたくないなら別の道を選べばいいの」

「で、でも・・みんなに迷惑かかるし・・なら居ないほうが・・」

「『仲間を想って追放する、される』なんて思考はやめなさい!」

「ひ!ひいぃ」ちょっと怒り過ぎたわね。


「それはいびつな自己満足よ、仲間なら相手や自身の能力を最後まで信じて協力し続けなさい」

「ぐす・・・弱いままでも居てもいいの?」

「あたりまえでしょ。それに、貴方は聖獣と戦いたくないの。二度とない機会かもよ。死んでも本望でしょ?」

「いや、それは面白そうだけど、死にたくはないよ。お姉ちゃんのそういう思考はどうかと・・きゃ!?」

メソメソしているのに、私に生意気な事をいうミライのお尻を引っ叩く。


「ほら、さっさと正装して強敵と楽しんできなさい!まあ、一度殺されたらそんな不安も吹き飛ぶわよ。あ、でも頭だけは守りなさいよ、治せないから」

「はい!・・って、そこは怪我しないようにでしょ!やっぱりお姉ちゃん・・変!」

愚痴を吐きながらもミライは元気に飛び出していった。


「遅いよミライ!」「ごめん!」


さて、私が行くとすぐに終わっちゃうので、のんびり行きましょう。


<ソフィア・ヴァーナム・エッセリウ サイド>


お姉様の代わりに現場の後始末をしていると、突然強大な反応が現れた。

慌てて城壁に駆け上がると・・・おおっ!ドラゴン!?

イリーニャとスズナも登ってきて、ドラゴンを呆然と見ている。


「げ!あいつは・・エンシェント・ドラゴンです。なんであんなやつが?あれに手を出しては駄目です」


イリーニャはそういうけど、こういう時の言葉をお姉様に教わっている。


「ここは『おら〜わくわくすっぞ!』な状況です。行きましょうスズナ」

「はい『おら〜わくわくすっぞ!』ですよね!」

「・・・貴方達、イツキ様に染まりすぎです」


うわ、よくよく見ると全長20m近いんじゃ?あの鱗、攻撃効かなそう。でも、その前に・・・

城壁を飛び降りて、スズナと一緒にエンシェント・ドラゴンの元に向かう。


「ね〜!ドラゴンさん。言葉わかる〜?」

「なんだ?小娘。我に何か用か?」

「うちの領地に攻めてきたの?敵対するの?悪い竜?」

「うむ、ここに未来の嫁がいるので奪う予定だ。今の質問全てに当てはまるぞい!」


「なら・・戦闘開始だね!発氣全開!【剛腕】【剛堅】発動!」

「はい、発氣全開!【雲隠れ】発動!」


突進してお腹に一撃を与えるけど・・えっ!?これ障壁!全く効果がないよ。

スズナも姿を隠して発氣で作った双剣で攻撃を仕掛けるけど、全く効果がないようだ。


「むはははは!無駄だ!諦めて嫁を差し出せ!」

「ドラゴンさんの嫁なんて知らないよ〜!そもそも、うちの領地にドラゴン住んでないよ?」

「嘘を言え、神聖竜の匂いがプンプンするぞ!隠し立ては・・死亡フラグだ!」


その瞬間、上空からすごい速度の尻尾が降り注ぎ、スズナは避けたが私は潰される。

お姉様に『ゴーイング・マイ・ウェイ』を教えてもらって良かった。これ無かったら死んでるよ。


その後、マリナやシズクの神将や戦神教会の面々が全員集合して攻撃を仕掛けるが誰も障壁を破れない。

12歳未満の子供達は城壁から発氣を固めた疑似爆弾を投げつけ、12歳以上の子供は発氣全開で攻撃を加えるが全く効果がない。

これが・・エンシェント・ドラゴン!すごいすごい!


「かかかか、我を恐れぬのには感心したが、もう飽きたわ。町ごとブレスで潰してやる」

ドラゴンが口を上に向けると、その口が赤く・・紅く・・朱く・・発光してく。


「まず!?全員、城壁まで撤退!全体防御体勢『鏡面』に移行!」

「シオリナは【真紅:獅子王】で相殺を試みて!イリーニャは城壁をダンジョンにーーー!」

シズクが【共鳴】で全員に指示を伝え、全員が城壁まで撤退して全員で協力して、発氣『鏡面』を展開する。


「どやー!死ねーーーー!!!」


ドラゴンから放たれる想像もできないほどのエネルギーの奔流。

それを擬似生命体の獅子王が受け止めるが、瞬時に蒸発!全員で作った鏡面である程度上空に反らせたが、残りの僅かな力に打ちのめされ吹き飛ばされた。

そして城門、城壁はダンジョン化したにも関わらず崩壊、城門周辺100m程が吹き飛ぶ被害になった。

な、なんて威力・・もう体もボロボロ・・だけど、お姉様が・・本番はこれからだよ!


「広範囲治癒!・・みんな楽しめた〜?」

「お、お姉様・・・遅いですーー!」


こうやって、恐れも知らずに強敵と戦闘を楽しめるのも、お姉様がいるからなんですよね。


「でかい竜だね?おい、ラース。お前より強そうだぞ」

『エンシェント・ドラゴンと比較するな!やつは無理、素では勝てん』


「・・・む!お前が神聖竜ちゃんだね〜!逃さないよ」

「ん?・・あ〜そういう事ね。竜化【永遠とわなる聖淨せいじょう】」

え!?お姉様が・・・全長8m程の金龍になった!?ほわぁ、なんてお綺麗な龍なの!?


「俺の嫁きたーーーーー!!!」

「うるせーー!!!童貞臭い竜が吠えるな!」


小柄なお姉様の尾の一振りで・・エンシェント・ドラゴンの顔があらぬ方向に吹き飛ぶ。

ゴバギャ!ってすごい落としたんだけど!?・・あの一撃で、竜の首の骨折れたんじゃ?


「うちの娘達への乱暴狼藉!お前は下僕決定だ!・・見た?こういう障壁持ちは障壁ごとぶっ飛ばすといいんだよ〜」

「「「「そんなの出来ません!」」」」」


お姉様かっけー!でも、こんな強敵と戦わせたのは主にお姉様の指示なんですけどね!

そんなの微塵も感じさせないお姉様が・・大好きです!




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