032話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:神としての道が決まる】
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ サイド>
賊共が弱すぎて、一方的な虐殺になってしまいましたね。
「お姉様ー!褒めて褒めて!」
ソフィア達がはしゃぐ犬っころのように戻ってきたけど、血だらけなので抱きつかれると困る。
「貴方達、血だらけ。少し待ちなさい。【オールクリーナー】はい、綺麗になりましたよ」
おおっ、3人まとめて使用すると魔力1000も使うのか。これは改良が必要かもね。
「ふわぁ、これすごいです」
「すっきりしましたね・・あれ?尿意まで無くなった?」
「お姉様ー!」「はいはい」
ソフィアを抱き上げて、皆にご褒美の黒糖飴を食べさせていると、周囲に漂っている殺した輩の魂が視界に入る。
魂は光球のように見える。だが周囲の魂達はその外側が黒い靄のように淀んでいる。
以前に妖怪たちに聞いたことがあるけど、怪談で出てくる鬼火・火の玉とはこういう汚れた魂のことらしい。
おそらく魂まで堕落した存在なのだろう。見ていて気持ちいいものではないので、エネルギーイーターで取り込んだ。
「ん?・・あれれ?」
「お姉様?どうしました」
違和感を感じてステータスを確認すると・・・
種族:女神(エッセリウ公爵、長女)
職業:戦神、戦神の聖女帝、公爵令嬢、王太子ジュビッツの婚約者
戦闘力:14 ⇒ 29
防御力:10 ⇒ 33
魔力:計測不能
好感度:54 ⇒ 62
スキル:【床上手】⇒【床上手 Ver 2(『名前を決めて下さい』)】
称号:【暴虐令嬢】【戦神の巫女】【孤児達のお姉ちゃん】
そうか、現実世界では私の力が大きすぎて実感出来なかったけど、このゲーム世界では力が抑え込まれている。
カスみたいな強さだからこそ、魂を取り込んだ効果が実感出来るのね。
それなら魂持ちのクズ共はもちろん、魔物を殺してもゲームのように成長するのかも?
まだ、魔物を殺したことってないのよね。一応乙女ゲームってことだったし。
シズクの仲間の元シルバーファングは、襲ってきたので返り討ちにした際、仲間をかばう行動から魂持ちと判断、最終的に私の軍門に下ったので「護衛に使えるかな?」と殺さずに連れてきた。
今後は積極的に狩ってみるかな。まず冒険者ギルドに命令して強い魔物情報を得ることにしよう。
あと、出来れば触れたくなかったんだけど・・なに?【床上手 Ver 2】って。
ナターシェ達に寝る時に付けて欲しいと言われたけど、面倒なので装備しっぱなしにしていたのが仇になったわ。
でも、スキルって成長するものなの?しかも名前って・・・【ヴィーナス】なんてどう?つい名前を付けてしまった。
スキル:【ヴィーナス(素敵な名前をありがとうございます)】
本当に変わった!しかもお礼まで。簡易AIってところかしら?
でも、これ、どんなスキルだか分からなくなったわね。しかも・・取り外し出来なくなったわ。
スキル:【ヴィーナス(イツキ様のお仲間を幸福にするスキルです)】
・・・返答したわ。内容は曖昧ですが害がないならいいわ。今後ともヨロシクね。
スキル:【ヴィーナス(( `・∀・´)ノヨロシク)】
絵文字・・・まあ、いいわ。現実世界に戻ったらアリスに調べてもらいましょう。
絶対私と一緒に現実世界に来る、そう確信出来たから。
「どうやらエネルギーイーターの力で、魂を取り込むと強くなるみたい」
「すごいです!なら私の魂を差し上げます!」
「気持ちはうれしいけど、そうすると二度と私と会えなくなるわよ。しかも黒糖飴も二度と味わえないわ・・いいの?」
「絶対に駄目!甘いの大好き!」
ガシッと抱きつくソフィア。可愛いけど・・黒糖飴が目当て?お姉ちゃん悲しい。
そんな他愛もないやり取りを聞いて勘違いした者がいた。シズクだ。
「もしかして、私達の魂が欲しいからイツキ様は私達を育てて鍛えるのですか?現実世界に戻る時の力として・・・」
シズクが意味不明な事を言ってる。猛烈に勘違いをしているみたいね。
「あー、勘違いさせちゃった?地で話すけど、みんなの魂なんて現実世界の私からしたら塵芥ですらないよ。こう見えても下級の神を取り込んでも差異が分からないほどの存在なのよ」
「そ、そうなのですか!?」
「みんなを鍛えるのはね、2年間の暇つぶしから始めて、今では孤児達みんなを気に入っているから。出来れば現実世界に連れて行って、ある天界を一緒に立て直して欲しいの」
「立て直し・・ですか?天界を?私達にそんな事出来るのでしょうか?」
「アホな女神が慈愛の押し売りをして、天界崩壊の危機なのよ。信仰は廃れ、強大な魔物がはびこる天界。まあ、私なら簡単に一掃出来るけど・・それじゃあアホな女神と一緒になるからね」
「え!?私達ってそのアホな女神様を助ける存在になるの!?」
マリナ・・おい女神マーキュリー、ゲーム世界でお前はアホ女神で定着しそうだwww
「まあ、そこはアホな女神を見てから決めていいよ・・ま、まあ、私と一緒に来てもいいし。判断は任せるよ」
珍しく、頬を染めてちょっと照れるイツキ、その温かい波動に、嘘ではないと皆が判断する。
「まずは、このゲーム世界から皆を連れ出す方法を考えないと駄目なんだけど・・もちろんシオリナもだよ」
そして、?な顔をしているシオリナにもこのゲーム世界の状況を説明した。もちろん女神オーラルが悪神だということも。
「それならばこそ!どこまでも付いていきます」
「ふふふ、私に付いてくるなら聖者か神にならないと」
「「「がんばります!!」」」
そうか!?そうだよね!・・・別に嫌いな男なんか加えなくてもいいのか!
私に親愛の感情を真っ直ぐにぶつけるこの娘達を見て、神になったからって何も変える必要はない、と気付いた。
高校を卒業したら、流石にレディースでは生活出来ないので冒険者(実際に地球にある職業)になるつもりだったけど、他の天界に飛ばされて予想外の神になってしまった。
流されるままで目標が宙ぶらりんだったけど、気に入った仲間を集めて新生レディースを立ち上げ、今度は神界で暴れまくって、また天辺を取ればいいのだ!
「ふふふ、みんなのお陰で目標が決まったわ。ありがとう!」
心からの満面の笑み。イツキの混じり気のない寵愛たっぷりの笑顔と、その寵愛の波動に、皆がハートを射抜かれて気絶するのは当然のことだった。
「ちょ、ちょっとみんな!?どうしたの?」
スキル:【ヴィーナス(美の女神も真っ青の笑顔、さすごしゅ)】
その後の馬車内は・・みんなに抱きつかれて暑苦しいことこの上なかった。
体の大きいゴージャス美女、シオリナの膝の上に乗せられて、私の膝の上にはソフィア。
両脇にはナターシェとスズナ、マリナ、シズクが張り付いて離れない。
「イツキ様が悪いのです。あんな笑顔を見せられたら、もう・・しばらくはこのままで」
ふうっ、ハーレムってのも大変なんだね〜・・・イツキは呑気だった。
この間(イツキは気づかなかったが)ヴィーナスがフェロモン濃度を上げてフォローしていた。
スキル:【ヴィーナス(みんなでイツキ様を愛して幸せ倍増です!)】
「お楽しみのところ申し訳ありませんが・・森の入口に到着しました」
御者の言葉に、マリナ、シズクは恥ずかしさから顔を真赤にしてすぐに離れたが、他はべったり張り付いたままだ。
両腕を掴まれているので、そいつらの額を魔力を形成してバチン!と、引っ叩く。
「早く目を覚ましなさい。エルフの奴隷狩りに行くわよ」
「「「は、はい!」」」
まさか、興味本位で入ったこのゲーム世界で自分の進む道が決まるとは。人生とは面白いものね。
ふふふ、それならこのゲーム世界でも【戦神教会】というレディースで無双しますわよ!
乙女ゲーム?・・・ナニソレオイシイノ?
私はやりたいようにやるだけだ!




