031話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:また一人・・誑し込む】
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ サイド>
「さあ、奴隷狩りに出発しますよ」
エルフの隠れ里は南部の大森林にあるらしく、森の入口までは馬車で行くそうだ。
「捕獲対象は【魂持ち】のみ。後はただの人形ですから教会側に任せます」
「「「はい」」」
「ところでイツキ様、何故女性達を侍らせているのですか?」
そう、私の膝の上にはソフィアが、私の両の腕にはナターシェとスズナが張り付いている。
「「イツキ様が女好きをアピールするチャンスですから!」」
「「(あとは夜のスキルの秘密漏洩阻止。これ以上ライバルが増えないように!)」」
「姉が妹を可愛がるのは義務です!」
「そういうことらしく、離れてくれないのよ」
ソフィアはいつもどおりだけど、ナターシェとスズナは今朝から様子がおかしい。
設定に準じるのは寝坊した罪滅ぼしのつもりなのだろう。けど二人はこんな仲が良かったかしら?
まさか、無意識発動スキルのせいで二人を恋の虜にしているとは頭の隅にも考えられないイツキだった。
「しかし、スズナさんは以前と違って、穏やかな気配を発してますね」
「え!?そ、そうかしら?」
「こら、マリナ!すみませんスズナさん。でも確かに雰囲気が柔らかく感じます」
「私って、黒髪で瞳も黒で顔もキツめだと言われるので、そのような感想は初めてです」
「もしや?・・もしやもしや!?恋するお方でも出来ました〜?」
「ふぇ!?そ、そんな事ありませんよ!?」
「私はお姉様に恋してます!」「「「「知ってる」」」」
奴隷狩りだというのに随分と平和な会話をしているね。まあ変に緊張するよりいいけどね。
「みな様、集合場所に到着致しました」
領都の正門である南門の外で教会勢と集合になっている。
御者の到着の声を受けて、教会勢への挨拶のために馬車を降りる。
すると、100名近い教会勢の参加者から、値踏みするような不躾な視線が注がれる。
「へー、あれが傍若無人の公爵令嬢か」
「(おいおい、護衛の騎士がいないぞ)」
「(ひゃは!なら途中で襲ってもバレねえぞ、野盗の仕業にすればいい)」
「(メイドもそそるし・・あの子供なんて・・ぽっ)」
「(よし、乱交パーティの有志を募っておくぜ!)」
は〜っ、やはり男はクソだ。しかし、敵か味方か分からないのは面倒だね。
さて、どうしたものかな?と思考していると、教会側の代表者が現れる。
「お初にお目にかかります、イツキ様。私が調査団代表で冒険者チーム「夢花」リーダーのシオリナと申します」
真紅の美しい髪に燃えるような赤い瞳、ゴージャス美女が現れた。
<シオリナ・ジュリーナ>
種族:人族(ジュリーナ伯爵家、五女)
職業:盾剣士 冒険者(チーム「夢花」リーダー)
戦闘力:35
防御力:50
魔力:12
好感度:97
スキル:【真紅:獅子王】
称号:【焦土姫】
ほうほう、これはなかなか・・・ナターシェとスズナ、なんで私の腕をつねるの?
「イツキ・ヴィシャール・エッセリウよ、今日はよろしく」
「よろしくお願いいたします!」
「あら?チームのメンバーはいませんの?」
「は!イツキ様の護衛として個人で依頼を受けました」
「なら、後ろのムサイ男達は殺しても問題ないわよね?」
「・・・は?」「(道中で私達を襲う相談をしているわ)」
「!?その場合はご自由に。では出発致しましょう」
どうやら残りはゴミどもらしい。それならば、と早々に襲ってくれるように強めにフェロモンを霧散する。
「「「「!?・・ゴクリ」」」」
そして周囲を一瞥してからシオリナを加えて馬車に乗り込む。
ふむ、魂持ちは30名程かな。このうち何名が襲ってくるのか。
「「むふー!!!」」・・メイド達、貴方達が興奮してどうするのよ。
乗り込んでから、何故か呆けているシオリナに声を掛ける。
「貴方、中々の実力者よね。その気になったら戦神教会に来なさい。更に強くしてあげるわよ・・シオリナ?」
「ふぁ!?あ・・お、お誘いありがとうございます。ですが・・」
「???まあ、今回の戦闘を見たら貴方も気が変わると思うわよ」
で、ナターシェとスズナ、なんでまた私の腕をつねるの?
イツキは、自身のフェロモンは女性には軽く好感を持たれる程度と認識している。
だが、神の高みに登ったことで女性にも多大な影響がある事をまだ理解していない。
薄めとはいえ、危険物質が蔓延している馬車内に耐性のない子羊が呆ける程度のことは起こる。
<シオリナ・ジュリーナ サイド>
傍若無人の公爵令嬢。
孤児達を集めて戦神教会という遊び場で日夜虐待を行う悪魔。
女性好きで毎夜令嬢の寝室から嬌声が響き渡る。
等々、酷い噂が蔓延している令嬢の護衛に志願した。
私はこういう悪辣な噂を信じない。自分で確認したものしか信じない。これは冒険者として必須だ。
「イツキ・ヴィシャール・エッセリウよ、今日はよろしく」
そして直接お会いして、やはり噂は嘘だったと確信した(噂のうち傍若無人と寝室から嬌声は事実です)。
13歳とは思えぬ武威に、まばゆき美貌、この方は善なるものだ。もしや女神様なのではないだろうか?(女神ですが)
馬車に乗り込むまで、妹君が視界に入らないほどの衝撃だった。
「貴方、中々の実力者よね。その気になったら戦神教会に来なさい。更に強くしてあげるわよ・・シオリナ?」
馬車に乗り込むと女神様のオーラにあてられてしまい呆けてしまった(フェロモンです)。
「ふぁ!?あ・・お、お誘いありがとうございます。ですが・・」
武人として失格だ。これではとても女神様のお役に立てそうもない。
「???まあ、今回の戦闘を見たら貴方も気が変わると思うわよ」
ですが・・私はまだまだ未熟。もっともっと!自分を磨いて、いつか貴方のお側に馳せ参じます!女神様!
「あら?予想より早いわね。我慢出来なかったのかしら?早漏は嫌われるわよ」
「!?これは殺意。やはり女神様の予想通りですね、ただちに排除します」
「待ちなさいシオリナ。丁度人殺しを体験させたいヒヨコが3人いるのです」
「は!女神様の意のままに!」
この僅かな時間で私は・・もう、このお方に逆らうことが出来そうにありません。なんというカリスマ(たぶんフェロモンのせいです)。
「ソフィア、マリナ、シズク、一人も残さず処理しなさい」
「「「はい!」」」
その後、周囲に集まった賊達の末路は・・阿鼻叫喚の一言だった。
ソフィア様は、その強大な力を加減することもなくふるい、人を肉塊に変える。
マリナ殿は炎を手足に纏い、風の力で飛び回りながら、白き炎で人を消し炭に変える。
シズク殿は魔物に騎乗、計8頭の魔物を操り、他の二人をフォローしながら牙と爪で人を引き千切る。
その時間、わずか3分ほどで32名の命が消えていった。
「どうですシオリナ。これが戦神教会の力です。そして教会には有能な貴方が必要、是非神将の一人に加えたいのです」
私が必要・・私は感動に打ち震え、滂沱の涙を流しながらも、自身の気持ちをなんとか答えることが出来た。
「女神様、ぜひ私を戦神教会の末席にお加え下さい。そして・・どうか私をお導き下さいませ!」
「ふふふ、これからよろしくね、シオリナ」
私向けられた神々しい笑顔を見て、魂が・・女神様に縛られたのを感じた、嬉しい!
その余りある僥倖に、思わず意識を手放してしまった・・武人として失格ですが、これは仕方がありませんよね?
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ サイド>
おいおい、私を女神様とか言い出したから信用されたと思って、トドメの営業スマイル見せたら気絶したぞ。大丈夫かこいつ?
だからさ、ナターシェとスズナ、なんで何度も私の腕をつねるのさ?




