025話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編:世界を謳歌するため】
<イツキ専属メイド ナターシェ サイド>
私はナターシェ。
天使イール様の眷属ですが、このゲーム運営のために悪魔ダメウウトにレンタルされております。
あ〜、早くイール様の下に帰りたい。
睨まれたい、踏まれたい。足舐めたい。
白癬菌が謳歌するイール様のすえた匂いのする足が恋しい。
ん、こいつの防御力・・7?
この程度ならさっさと殺してしまえば帰れるのでは。
もうゲームが始まっているのだから油断している方が悪いのよ。
ふふふ、乙女ゲームとはいえ当然ながら命の危険はあるのです。
思いついたが吉日!後ろから短剣でサクッと首をぶっ刺します。
ガキャン・・短剣が折れた!?防御力たった7なのに?
しかも、イール様の強靭な白癬菌を毎日充填して生成した至高の水虫ソードがこんな簡単に?
刃に触れたのに皮膚もぐじゅぐじゅしていない。
唖然と短剣とイツキの綺麗なままの肌を交互に見つめていると・・・
「ナターシェちゃ〜ん、御主人様に手を出したらどうなるのか・・分かるよね?」
見つめられただけで恐怖で体が硬直、その瞬間に心臓がトゥクンと音を立てる。
こ、これはトキメキ?イール様にも感じたことがない・・運命の出会い!?
そしてこの硬直は神威!?
イール様の神威がしょぼいと感じられるほどの圧、それに反応して体の奥から湧き上がる興奮と快楽!
そして「ぎゃっ!」短剣を持つ手を握りつぶされる・・ほわ〜っ!キモティー!
この容赦の無さが・・Gを見るような目が・・・たまりませんわ!
しかも、この神威がまだ軽めなのですって!更に2倍3倍の恐怖を頂けたら・・想像するだけで脳内に快楽物質がドバドバと出ているのが分かりまっす。
「うむ、とりあえず洗脳か。体罰から試してみよう」
「くっ・・拷問などには屈しません。体罰と神威をキツめに!さあ!早くーーー♡」
「お・・おう」
このあと、至福の時間を過ごすことになりました。
私は終生の主を見つけたのです!伊月様!たまんねー!
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ サイド>
・・・こいつ、やべー変態でした。M属性ってやつ?
その詳細は思い出したくないので省くけど、最終的にゲーム内では朝晩神威を浴びせる事で契約成立しました。
しかしなー、手足を喰らって感謝されるとは・・世界は広いよね。
しかもこいつ、痛めつけられるために【自動再生】スキルまで持ってるんだぜ。
「治療する時間がもったいないです」真正のMだよ。
まあ、このゲーム世界の事はよく分からないし、運営側の手駒が出来たのは大きい。
しかし、話を聞けば実際のゲーム運営は特に何もされていないらしい。
悪魔ダメウウトは【おおまかなゲーム内容】と【クリア条件】を決めた後はゲーム世界の維持で精一杯、介入すら出来ないらしい。
(実際には悪魔ダメウウトは【クリア条件】など設定していない。ただ、それではゲームとして成り立たないのでランダムで何かしらの条件が設定されている)
ちなみに、周囲にいた面々は【視聴者】としてゲーム世界と同期・隔離されるそうで、今から2年後のゲーム本編から強制的に視聴することになる。
まあ、100%ゲームに失敗して死ぬらしいので、視聴者にその力を見せつけて服従させるための側面もあるのだろう。
「そういえば、このあとなにするの?」
「2年後の15歳からの学園入学までは特に何もありません・・ですから拷問し放題です♡はいムチです♡」
そんなことしねーし、いらねーし。つまり私は13歳の設定なのね。
でも、2年間なんにもないの?つまらないじゃん。
そうだ!なら私の魔力でこの世界に混沌を持ち込めばいいんじゃね?
どうせ空想の世界だし、世界構成も甘々。やりたいようにやってやろう。
ぶわわっ!周囲に魔力を散布すると101の魔力がすぐに枯渇するけど、すぐに補充される。
元々大量の魔力を持っており、ゲームで出力を抑えられているだけだからね。そのまま放出を続ける。
1時間ほど続けていると、魔力数値が37000まで増えていた。
そのまま続け、魔力数値もどんどん増え続け、混沌の魔力が世界を濃密に満たすまで放出する。
「さあ、力あるもの達よ。悪意ある者でも善意ある者でも関係ない。魔物達・魔王・邪神・善神・勇者・英雄・聖人・すべての強者よ、祭りの準備を始めようか!」
その魔力はわずか10時間ほどで世界を満たしていた。
ゲームのために待機していた者共が濃密な魔力で目覚めて活動を開始する。
雑な世界構成なので、イレギュラーな特異存在達も伊月の魔力により覚醒して活動を始める。
そして最もイレギュラーな存在のイツキが、自身で特異存在を作り育て上げる。
「これが本当のゲーム【混沌のワインレッドローズ(強者達の狂宴)】だ。さあ強者たち、世界を血に染めるのだ!」
強力な魔力を放出して混沌を願うその姿は、まさに破壊の女神そのもの。
その姿を「御主人様かっけー!」と羨望で見つめるナターシェだった。
<プリンセス王国 エッセリウ公爵領 オーラル教会孤児院>
私はマリナ。シズクと二人で孤児達の就寝を確認後、二人で祭壇に向かい女神オーラルに祈りを捧げる。
ささやかな寄付頼りのため日々の生活は貧乏だけど、今日も子供たちは元気だった。
「「今日も平穏な一日をありがとうございます」」
独り言のような日々の祈りですが、今日、初めて返答がありました。
女神オーラル像が光を発した後・・爆散!?オーラル様〜!!!
『女神オーラルなど祈る価値もない!』
「・・・へ?」「(やっぱりそうなのね)」
『不安定な寄付になど頼るな。明日からお前達は魔物を狩って日々の糧にするのだ!』
いやいやいや!私達は敬虔なるオーラル神の信徒。戦闘経験など皆無です。
何よりろくなものを食べていませんので、その・・力が出ません。
『甘えるな!これから混沌の時代が来る。子供達を守れるのは力のみ!さあ、冒険者ギルドに向かえ』
え〜、流石に無茶ぶり過ぎですよ。それに貴方どなたなんですか?
『くくく、神とはそういうものだ。【戦神】とでも言っておく。だが、問答出来るだけ好意的な神だと思うが?』
確かにそれもそうですね、女神オーラル様なんて居るのか居ないのか分からないし。と、納得してしまいました。
『ははは、脳筋の素養ありだな。マリナにシズク、気に入ったぞ。お前達には適当な武器・防具を与えよう』
いらないんですけど!って、聞いちゃいねーよ。
いつの間にか二人の首に金色のネックレスが輝いていた。
金!?こ、これを売れば子供達の食料1ヶ月『売るなよ』・・ちっ、ケチくせー
『お前らな・・それは念じれば武器・防具が換装する便利グッズだ・・売れないようにお前達専用に設定した。さあ、ここは今から戦神教会と改める!』
えーーー!神様無茶ぶりが過ぎますよ〜!! オーラル教会には神敵認定されるかも。せめてツテと手付金が欲しいです。
『うむ、ならエッセリウ公爵家の令嬢を私の聖女に認定しよう。そして、公爵家より手厚い助力が得られるようにして準備金もどーんと大盤振る舞いだ!』
「「明日から戦神教会孤児院と名乗り、独立します!」」
『そうだ、動機などなんでもよい。我も公爵家を使って助力しよう』
元々、オーラル教会にしがみついていたのは、この土地建物と教会信者からの寄付のため。
子供達のための支援すらないオーラル教会には私怨を抱いておりますので、実利の神様を選びます!
『ははは、気持ちがいいほどすっぱりと切り捨てたな。ならば明日、多くの食材を持たせて聖女エッセリウ公爵令嬢を向かわせる。そのまま冒険者ギルドへ案内せよ!』
「「はは〜!」」
マリナは目先の実利に興奮しているが、シズクは冷静だった。
正直、女神オーラルがいるかいないかなんてどうでもいい。
だって孤児だった私達を見捨て、今も子供達を見捨てている女神なんだから。
戦神というお方がどんな神だか知らないけれど、高慢ちきな存在から子供達の明るい未来をむしり取るだけだ。
さて、まずは聖女になる世間知らずな公爵令嬢を褒め殺しにして色々と巻き上げましょう。
この後、世界を巻き込む大騒動に巻き込まれることなど予想すら出来ない二人だった。




