024話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略戦⑥(王都襲撃戦:悪魔ダメウウトの能力)
<聖女帝伊月(本体)サイド>
変なモノ触ったので洗浄しないと。
右手を神聖魔法で念入りに浄化しながら悪魔達の話を聞く。
すると、何故か悪魔達がビクビクしている。
ん?この光の巨人の手みたいになっている状態が怖いのか?
「あ、あの、まずは穏便な状態でお話をしたいので・・その・・神聖魔法はお控え頂けると」
攻めてきた輩がなにかほざいているが、お前のために行動を変更する理由はない。
「汚いモノを触ったので浄化してるんだよ・・お前らのせいでな!」
「ひぃ!・・はい、分かりました」
天使の方は既に戦意を喪失しておどおどしている・・つまらないな。
<悪魔ダメウウトサイド>
参りましたね。これほど高位の存在が居るとは。
3人の中で攻撃役のニエイゴルスが瞬殺とは・・天使イールも既に使い物になりません。
そして、聖女帝伊月殿の右手に光り輝く神聖属性を一振りすれば、私などは魂ごと消滅してしまいます。
恐ろしい・・次の瞬間には存在が抹消されている可能性、その恐怖に心が震える。
恐らくは黒き女神様より強い。逃げの一択ではあるのですが・・
既に下位悪魔1000体が王都攻撃を開始しているので、今更逃がして頂けるとは思えず。
今、私の心を的確に表現するなら・・・
「こんな強大な敵がいるなんて・・聞いてないよ〜!!!」
誰ですか!?この天界を調査したアホは!?
もし戻ることが出来たら、絶対にびちびちに殺します。
そのためにも出し惜しみはなしです。私の必勝技を使いましょう。
この決断で運命の分岐は成った。
もし、正直に目的を話していたら伊月は興味を失って逃げることが出来た。
だが「まだ、私には貴方を殺す能力がありますよ〜」と興味を引く行動(ダメウウトからすれば生き残るために選択なのだが)に出た。
戦闘に関しては粘着質で面倒臭い伊月の興味を引くことに成功してしまったのだ。
運命を悪鬼羅刹の女神に委ねられてしまった事をこの悪魔達はまだ知らない。
「伊月殿、実は私には【ゲーム世界】というスキルがあるのです」
「なに!?面白そうじゃないか!」
ん?立花さんでしたか?なにやら「こいつ、やってしまった」って感じで見つめているのですが?
悪魔は人間の心の機微に敏感なのであるが、戦闘狂の機微には通じていなかった。
「ほら!早く説明して!」
「は、はい」
・・・もしかしてやってしまった?
不安に感じながらも説明を始めることにした。
「ほうほう、つまりは私をお前の【ゲーム世界】に引き込んで、私がそのゲームをクリアできれば勝利、クリアできなければ死ぬって事か!よし今すぐやってくれ」
「・・・は?よろしいのですか?死ぬのですよ」
「ほらほらほら、やらないなら・・殺しちゃうよ?」
「は!はい・・でしたらこのドアをおくぐり下さい・・イール、協力願いますよ」
イールの助力を借りて、中位悪魔5体を生贄に、漆黒の門を生成する。
「さあ伊月殿【乙女ゲーム:混沌のワインレッドローズ】でトゥルーエンドを達成して下さい。それ以外では貴方の敗北です」
「む?戦闘ゲームではないのですか」
ふふふ、あなたが苦手そうなゲームを選んだのですよ。恋愛の機微など皆無なのはひと目見て分かりましたよ。
「おやおやおや?貴方様ほどの方が、苦手だからと逃げるのですか?」
「いや別に問題ないぞ。じゃあ立花、あとは任せたぞ〜」
と、あっさりと門の中に消えていった。
く・・くくく、馬鹿ですね〜、このゲームにクリアなどという概念はないのですよ。
貴方みたいな方々が「俺なら大丈夫」と参加して消えていくのです。
まあ、私とイールは終了まで動けませんので、のんびりと終了を待つことに致しましょう。
「乙女ゲーム!?貴方なんてことしてくれたのよ!」
「普通に戦闘ゲームなら良かったのにね」
「はぁ・・悪い予感しかしない・・胃が痛い」
「私、脳筋、任せた」「「「さくらも働け!」」」
何故か怒れる立花殿達の話を総括すると、『あいつが思考をすると碌な事が起きない』そうです。
ふふふ、信頼厚いようですが、死ぬのですから後処理も何もないのです。
さあ、ゲーム本番の【学園生活】が始まるまで30分、のんびりと待ちましょう。
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ サイド>
扉をくぐった先には、中世レベルの貴族と思われる豪華な部屋があった。
ここが私の部屋なのだろうけど60畳はありそう。広すぎない?
出入り口が2つもあるし・・広すぎない?
いつの間にやらドレスに変わっているし、髪はドリル巻きだし。
普通、乙女ゲームの主人公ならスタートは平民じゃないのかな。
乙女ゲームって要約すれば女版秀吉の下剋上物語だよね。
このはがこういうゲームをやり込んでいたので、私もそこそこ詳しいのよね。
ということは、もしかして私は悪役令嬢?
主人公ですらないということは私にクリアさせる気はない模様。
予想通りなんだけど、実力で勝てないならばとこういう絡め手で来る諦めの悪い相手は大好物なのよね。
なにせ・・絶対に楽しませてくれるから!
「では伊月様、ゲームの説明を致しましょう」
私専属のメイドであるナターシェが話し始める。こいつはNPCではなく悪魔の配下みたいだね。
「ここは、ゲーム【乙女ゲーム:混沌のワインレッドローズ】の世界です」
「貴方の使命は邪神や魔王が存在する世界オーラルのいち国家、プリンセス王国【プヴェドラール聖人学園】での3年間でオーラルを幸福に導く事です」
「ですが、一人では何も成し得ません。各国の有能人材が集う学園で人脈を作り、有力者と婚姻を結び、国を幸福に導きましょう」
「なお、魔法等の力はすべて封印されていますが、努力次第で徐々に開放されます」
「では、現在のステータスを確認してみましょう」
<イツキ・ヴィシャール・エッセリウ>
種族:女神(エッセリウ公爵、長女)
職業:公爵令嬢、王太子ジュビッツの婚約者
戦闘力:12
防御力:7
魔力:101
好感度:マイナス100000
スキル:なし
称号:なし
ふーん、これが初期値なのか。好感度がひどいね。
魔力は殆ど動かないけど使えそう、発氣は全く使えないみたい。
「ちっ、もう面倒なので、死んで下さい」
説明を終えたナターシェが短剣で私の喉を刺すが、そんなクズ剣では私の皮膚に傷すらつけられないよ。
真っ二つに折れた短剣を唖然と眺めるナターシェ。
「ナターシェちゃ〜ん、御主人様に手を出したらどうなるのか・・分かるよね?」
短剣を持つ手を握りつぶす「ぎゃっ!?」
邪魔されないためにも、こいつの洗脳が先かな。




