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002話 総長、激甚災害来訪者に認定される

さて、突然起こった異世界召喚。ある程度の情報を得るまでは大人しくしている予定なんですが。

正体不明の力を抑え込んだら、今度は全身からあらゆる力がぶわわーーー!!!と溢れてきた。

体のほうが異常事態発生中で下手に動けない!まずはこの異常を把握・制御しないと動くことすら出来ない。なのに・・・


「ສະບາຍດີ, ດີໃຈທີ່ໄດ້ຮູ້ຈັກ, ທ່ານ Hero.」


その忙しい最中、3名の軽鎧をまとった騎士と思われる男性のうち、一人が前に出てきて私に言葉を発した。

体型は細マッチョで茶髪、緑瞳で面長の狐目。身長は190cm程、敏捷タイプと思う。

腰には西洋剣を帯剣している。まあ、脅威は全く感じない。私にとっては雑魚なので問題ない。

ただ、言葉はちんぷんかんぷん。定番の異世界言語スキルは習得出来なかった模様。


とりあえず言葉の分からん騎士は放置で異常事態の件を片付ける。

どうやら、ぶわわーーー!!!の原因は転移前より各種能力が今までとは別次元に向上したみたい。

このままだと相手を意図せず殺しかねないからね。

軽くスキップしたら数十メートルは飛びそう。って程に今までとの差異、違和感がある。

早めの状況把握と微調整が急務です。


『アリス、身体機能の把握は任せたよ!』

『了解〜』


アリスとは、私の力から生まれた幻獣娘の可愛い長女です!容姿は銀色に輝く30cm程のかっこいいアリさんです。

「氣」が発現してから1年後に両親を追い出し表面的な悪意には(主に拳で)対応出来るようになったけど、陰湿な悪意にはなかなか対応が難しい。当時4歳の幼女だしね。

その対策のため、知識の習得に図書館に入り浸っていたらいつの間にかアリスが頭の上に居たんだ。

たしか5歳の時だった。初めは本の妖精かと思ってたんだけど、本人に聞いたら私から生まれた幻獣娘だった。


アリスいわく・・・

「伊月が勉強に集中した際に脳に異常なほどの膨大なエネルギーが集まり、その結果私が生まれた」

とのことらしいよ。


まあ、私が垂れ流したエネルギーの影響で図書館はちょっとした魔窟になっていたらしい。

確かに悪さするゴブリンみたいな小人妖怪等々を〆てた記憶がある。


アリスは、私の【意識】を司る幻獣とか言っているが、それは脳内処理で発揮された。

アリスが生まれた結果、脳内のアカシック・レコード化(容量無限・完全保管・整理整頓)、脳の活用(思考力増強・思考速度増加・並列思考)など、ものすごく効率的になったよ。

その中でも想定外の恩恵は、肉体の精密コントロールとリミッター解除だ。

脳って体を守るために力のリミッターを設けているんだけど、そもそも発氣で身体強化が出来る私には不要なもの。逆に足枷になっていたんだ。

アリスを得た結果、身体機能の完全開放と思考から動作への伝達強化が実現!わずか5歳で『人類最強』と言っても過言ではない強さになったのでーーす。


どやっ!うちの娘はすごいやろ!と自慢しながら体内にいるアリスを幻視すると・・ん?アリスに違和感。

あっ!?銀色だったアリスの体色が金色になってる!


『なにその体色!大丈夫?どこか痛いとこある!?』

『大げさ!伊月の力が変容したみたいで、それで私も少し変わっただけだよ』


この身体の異常事態のせいか?


『ちなみに、イツキも金髪・金瞳になってるよ』


私も?・・・まあ、髪の変化なんて今更だね。身体機能の調査、頼んだよ。


『発氣のほうは・・・タツキ!把握を任せたよ!』

『分かったのじゃ』


タツキとは、私の力から生まれた幻獣娘の可愛い次女です!容姿は銀色に輝く80cm程の東洋龍さんです。

タツキは、しっかり「氣」のコントロールが出来るようになった7歳頃に発現、私の【発氣】を司る幻獣です。

ただ、私の体に「氣」が完全に馴染んでいないらしく、その影響で幻獣としてはまだ幼体なんだって。

そのためなのかアリスとは異なり容姿は銀色のまま変化なし。

アリスとは異なり自由奔放に過ごしていますが機動力と戦闘力は抜群で貴重な戦力だ。


『そして・・正体不明の力は自分で調べてみるしか無いね』


意識を体内に・・あ、並列思考と思考速度増加をフルに使っているので、実際にはまだ1秒も経っていないから。もちろん、この力はアリスを通して他の娘達にも適用してます。

発生元の丹田に意識を集中し、内見を始める。丹田にある黄金の球形エネルギー体が発氣の発生場所。

その球体の周囲にクロスするように2つのリング状のエネルギー体があった。

今までの内見では銀の光球体がぼんやり見える程度だったのに、こんなにはっきり見えると言うことは、相当発氣のレベルが上っているのだろう。リングに至っては初見・・いえ、配置に違和感を感じないので、もしや今まで見えてなかったの?

一つのリングは白く輝きながら高速回転している。もう一つのリングは黒く輝きながら停止している状態だ。


『このリングが正体不明の力の発生元かな?』


唸りを上げて回転しているリングに触れてみると・・あー、こいつが正体不明の力を生成、更には外部から取り込んでいるようだ。ということは、この力は大気にも満ちているのか。

黒のほうは・・・これ、すごいエネルギー量!こっちは貯蓄か。あ!?触って分かった!これは・・・


『そいが魔力じゃ、母様・・ようやっお会いできもしたね』


語り口はどこかの方言?容姿は1m程の銀色のムカデちゃんが現れた。これは、あれだ。私の力から生まれた、つまりは【魔力】の化身の幻獣娘、三女か!つか、私にも魔力あったんだ〜。


『ぶびーーん!ひで、ひでど!母様!10年間(正確には18年)ずっとお待ち申しちょりましたどん!お気づきにもならん!いえ母様に限ってそげん事は・・では無視!?無視やったとな!』


ムカデちゃんが感情を爆発させて飛びかかってきた。ぎゃ!?痛い痛い!力いっぱい巻き付かないで!足刺さるし!牙で噛まない!って、それ毒あるじゃん!!!!

アリス、タツキに続く3女になるので無碍に振り払うわけにも行かずにムカデちゃんが落ち着くまで耐える。あ、今のうちに名前を考えておこうっと。


ようやく落ち着いてきたムカデちゃんに、地球には魔力というのは物語の力だった事、最近違和感は感じていたけど異世界転移で来たこの世界で初めて認識出来た事を説明する。


『んにゃ、母様。魔力は地球にもあり申した。じゃっどん、母様程ん人物が認識出来んてゆ事は地球ん神ん理で認識阻害?・・じゃっで母様と会えんやった?・・なら原因ん神殺す?・・ぶつぶつ』


ムカデちゃんが不穏な気配を醸しながら自分の思考世界に入ってしまった・・・もしやヤンデレ?

あと、出来れば頭にぐるぐる巻き付いているのを解除して欲しいんだけど。

体を擦っても、問いかけても答えてくれないし。さて、どうしたものかと悩んでいると・・・


『伊月〜!身体機能の完全把握、完了し・・・そ、その娘は!?2人目の妹だ!かわゆす〜!』

『把握出来たのじゃ〜!伊月ほめーーい!ん?その娘は・・・妹!?は、初の妹じゃーー!!!』

『は!?もしやお姉様方でござっか!?声は聞いちょりましたが・・ちにお会いでき嬉しゅうごわす!』


いいタイミングで来てくれたよ。二人のおかげで無事に顔面ムカデ拘束の刑から開放されました。

さて、二人が得た情報を共有して・・・


『正体不明だった力は魔力だったよ。この娘は魔力を司る幻獣、名前は【ムース】。歓迎よろしく!それと二人共、情報ありがと!』


話は変わるけど、伝説の龍姿のタツキと異なり、アリスとムースがアリやムカデなのには理由があるんだ。

意識は勿論だけど魔力も生まれた時から持っていたんだと思う。どうやら二人は4歳までの瘴気攻撃と私の憎悪の意識に影響されてるみたいなんだ。


皇居に居る幻獣玄武に

「あのような醜い姿の幻獣などおらん、お前の醜い心に影響された結果だろう」

と言われたんだよ。


勿論、可愛いアリスを馬鹿にする玄武は〆といたけどね。

でも、ムースを見てあいつの言っていた事は間違いないと感じてしまった。

タツキは親を追い出し平穏な日々を送り、発氣の修行を始めて襲い来る瘴気を全く気にならなくなった5歳以降の力から顕現したんだと思う。

だから、二人の希望があればもっと可愛い容姿にしたいな〜と思ってる。勿論!今でも十分可愛いので問題ないけどね!


さて、アリスとタツキが調べてくれた情報を精査して状況を把握出来た。

なんと身体機能が33倍に強化されている。転移前は発氣無しでも装甲車を凹ませる程度には力はあった・・・その30倍か〜。

発氣については濃度が21倍にアップしているようだ。魔力は今まで認識していなかったので未知数だけど、発氣と相性良さそうなんだよね。研究が楽しみ!

そもそも肉体自体が変質しているらしく、過去の偉人達のように【聖人】の領域に足を踏み入れたそうだ。

ただし、聖人としても規格外らしく、アリスいわく


『神の領域に片足を突っ込んでいるかも?神を見たことないので予測ね』

との事。


私が神〜?でもさ、あまり強くなると喧嘩相手が居なくなるのが困るんだけど!

まあ、どれだけ強くなっても【上には上がいる】のは間違いないので、更なる強者を求めて異世界を漫遊するのも面白そうだね。

まずは地球への帰り道を探しながらこの世界を満喫しよう。あの貴族みたいな奴らが善人だったら良かったんだけど、ひと目見た感想は【薄汚いゴミクズ】、協力などしない。


『じゃあ、能力を隠蔽して情報だけがっつりいただきましょうか!そして冒険の旅に!』

【警告!激甚災害来訪者よ!理由のいかんによらず天界マーキュリーより速やかに立ち去りなさい!拒否すれば神の裁きが発動します!】

『・・・・あ?』

【ひ!?・・け、警告はしました!(ぎゃーコエー何この娘)】


何!?私は意図せず連れてこられた被害者だよ!それを一方的に・・神?超越者?なら異世界転移の管理をちゃんとしとけ!


『(ふう・・怖かった)マーキュリー様、威圧警告完了しました。なお、クソ竜以来の激甚災害来訪者の数値が安定しましたので、これより天界マーキュリーでの存在レベルの計算を行います』


え!?なに?誰!?さっきから何なのよ〜!


『げ!?・・・算定完了しました。対象者の存在レベルは169。これが下限値と思われます。上限値は測定不能です』

『クソ竜の当時の上限値127を遥かに上回っております。逆に疲弊しているマーキュリー様の現在の存在レベルは101。危険!すぐに神の座に移動願います!』

『アラート!アラート!守護神獣達よ目覚めなさい。そしてただちに激甚災害来訪者の情報収集を行いなさい!なお対象者への手出しは不許可です(・・・もっとへりくだって警告をすれば・・あんな数値だって思わないじゃん!)』


『なあ、このタイミングだと激甚災害来訪者って私の事だろ?その私に丸聞こえなのはどうなんだ?()の声まで聞こえてるんだけど。』

『・・・えっ!?どうして?あ!?この感じはおか・・あ!いやいや今は禁忌・・至急・・そこをこう!・・ブツッ!』


通信切れた・・敵味方かは不明だけど守護神獣達が歓迎してくれるのね?

あの声も神獣の一人なんでしょう。勝手に呼んどいて、すぐに出ていけか・・・

ぬふふふ、無礼なペット達には躾が必要だよね?女神様の飼い犬らしく・・ね。


そして・・飼い主の女神ちゃんにも、色々と話をしないと駄目みたいね。



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