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014話 総長、暗黒属性竜に変化してラ・メール攻略を思いつく

<伊月サイド>


「それは本当なのか!?・・・この馬鹿者共がーーーー!!!!」


始祖竜王レオンハルの怒号に、始祖竜王の復活に喜び勇んで集まった全国民が凍りついた。

そりゃそうだろう、国民達からすれば親父レオンハルはメスの退院を喜び勇んで集まったら、良かれと行っていた過去の行為が実はすべて悪行、それを親父に糾弾されているのだ。

逆に始祖竜王からすれば、女神様の為に全能力を使って命をかけて金竜に対峙したのだ。その気高き忠誠心を子孫達がこぞってボロ雑巾のごとく崩壊させていたのだから。

始祖竜王レオンハルは怒りが高じて、ついには・・・


「女神様を・・気高き天界神を・・ボロ雑巾だと!?うぬら・・お前達を滅して我も死ぬーーーー!!!」


なんて騒ぎ出した。お前は図体でかいんだから止めるのもめ・・そういえば暗黒の竜化はまだだったよね。

こいつの制圧で試せるな。早速体に暗黒属性の魔力を充填させてからの・・・


「【始原しげん黑邪こくや】!とりあえず大人しくしようか」


今回はしっかり暗黒体にしてからバハムートをイメージして竜化を行う。

その姿は漆黒の大竜だ。その顔は恐怖を呼び起こし、手足は筋骨隆々ので雄々しく、体は暗黒属性を収縮した硬質な漆黒の鱗に覆われ、その翼はいわば鋭利な剣であり強靭な盾!

体長は5m程と小柄だ。暗黒の力ながら嫌悪は一切感じず、むしろその姿は黒金剛くろだいやの美姫竜。その鱗は眩く・・気高く・・ため息が出るほど美しい。

暗黒属性竜って同族嫌悪されてるって聞いてたけど、神聖属性と同等に美麗じゃない?なんでなんだろう。

そのまま自身の姿をうっとりと観察していたら、思わぬところから攻撃を受けた。


「うふぉーーー!!!我の好みのドンピシャ!抱いてーーー!!!」

今まで国民に当たり散らしていた始祖竜王が何故かトチ狂って私を襲ってきた。


即座に顔面に右フックを叩き込み、がら空きになった首に鋭利な右の翼を使って切り落とし、返しの左の翼で大上段からざっくりと体を真っ二つに切り落とした。

こいつはしぶといので、あとで直せば、大・丈・夫!


そう言えば、この姿で神聖属性魔法使えるかな?

試してみると問題なく使え、始祖竜王の治療ができた。

拳に付与魔法で、火炎、水流、土塊、竜巻、稲妻、氷結と順繰りやってみたけど問題なく付与出来た。

属性竜といえども他属性の行使には影響は無いみたいだ。


あれ?ここで【ダブルアップデート】を使えば・・暗黒属性の体に炎を纏って【ダブルアップデート】・・:黒炎ね。うふふふ、感じは掴んだわ!

他の属性も問題なく使えたけど【暗黒属性✕神聖属性】だけは無理でした。

それでも使い勝手良い技ゲット〜!

スキル【ダブルアップデート】って結局の所、自身の身体と2つの力を最大限効率よく運用してくれるスキル。

今の私なら自分で運用出来るのでスキルとしては不要だ。


「「「「・・・・・」」」」

美しきその姿、神の如き力の行使、それをボーゼンと見つめる国民。


「この美しさ、メリッサ達に自慢しよう・・そうだ!王都襲撃イベント『漆黒の巨竜、襲来!今こそ女神信仰が試される!』なんて自作自演もいいね!」

「早速実行計画だ!」


そうつぶやきながら、ラ・メール王国に飛び立って行った。

力ある自由人を遮る障害など存在しないのだ。


さて、残されたレオンハル王国の面々は、別の意味で盛り上がっていった。


「始祖様を籠絡・・これっておとぎ話の全属性を使いこなし、数多の竜を従える竜の中の頂点!・・伝説の竜帝王様だよな!」


「「「おおおおっ!」」」

「竜帝王!」「竜帝王!」「竜帝王!」

「「「「「伊月竜帝王!ばんざーーーい!!!」」」」」

「待って!い、伊月〜!私と結婚してーーー!!!」

「「「「それ禁止」」」」

「親父!伊月を嫁にするまで帰って来るな!」

「「「「ぎゃははは!」」」」

「「「「レオン!禁止事項です!」」」」


「ぎゃー!四天凰様ご乱心ーー!!!」


<メリッササイド>


伊月が行ってしまいました。

ですが、あの方は自由にさせておいたほうが良いでしょう。

あの方のやることは破天荒ですが、流れに任せてフォローしていったほうがみなが幸せになる。

そんな確信に等しい予感がしています。

ふふふ、では伊月のご指示通りにこのお転婆娘を調教いたしましょうか。

ですが、何もせずとも日々の特訓にそのまま参加させればこの娘の矜持はボロボロなるはずです。

女神様への醜聞と異なり、実際にボロ雑巾になるのはあなたですよミリエール。


気絶から目覚めたミリエールに、まずは自身の粗相の掃除をさせる。

それに対して皆は何も言わない(みな伊月のシゴキで経験済なので)。

黙々と日課をこなすのみだ。


「ミリエールさん、筋肉の準備運動を始めます。腕立て500、腹筋500、スクワット500、時間は30分です」

「・・・へ?・・30分で?」


ミリエールが運動しようがしまいが注意も何もしない。

みんなでサクサクと準備運動を終わらせる。

私達を見て何もしないようでは、早々に教会から叩き出しますけど。

そそくさと準備運動を始めるミリエールですが、早々に違和感を感じたようです。


「あれ?動きが良い・・いつもと違う。疲れない!」


ミリエールがすごい勢いで準備運動を始め30分で終了。

やはり能力は高そうです。

ここは伊月が整えてくれた教会内、神聖な気配に満ち生命力が溢れています。

ここでのトレーニングは外の数倍の効果があるのですが体が理解しているようです。

流石戦闘狂です。


「この後は祈りの時間と朝食。以降の午前中は素手での組手となります。ミリエールさんは5人を順番に相手をして下さいね」

「え!?・・あ・・はい」


先の模擬戦で相当自信を無くしているようです。

しかも先程のスキルは短期決戦用でしばらく使えないはずです。

あんな高度なスキルを自由自在に使うなど私の知る限り伊月1人のみ。


模擬戦の相手はまず私がしましたが・・すべてが力任せで戦術すら存在していません。

これは子どもの喧嘩でしょうか?


「ミリエールさん、拳や蹴りを振るう際にいちいち反動を利用してはいけませんよ。そこが隙です」

「え!?・・より力強く?じゃないですか?」

本能のみで動きますか。

これではただの獣、早急な改善が必要です。


「散々な結果でしたね、騎士団長様」

「ゔっ」

もちろん全敗です、すべて瞬殺でした。


「ですが、頑張るあなたを女神様は応援しています。すでに強くなるための啓示を(伊月から)頂いております」

「ほ、本当ですか!?」

「もちろんです。女神様を信じて下さい」


さあ、私の部屋、私が作った異空間で修行を始めましょうか。

うふふふ、流石に私のトレーナーモードを女神様には見せられませんので。


<ステータス>

名前:メリッサ・ラ・メール

年齢:40歳

性別:女性

種族:聖人(闇)

存在値:レベル81

スキル:

【時空間操作(初級)】

【ランダムトラベル(封印中)】

【闇属性魔法(初級)】

称号:

【女神の神徒】

【堕落からの帰還者】

【凄腕(悪魔も精神を病み、オーガも逃げ出す)トレーナー】


メリッサの闇は深い。

金竜から守ってくれた女神様を子供の頃から敬愛していたが周囲はそれを許さず、しかも恩義ある女神様を小馬鹿にし続けたのだ。

更には女神を敬愛し続ける私を「無能」と蔑み幽閉までしたのだ。

心が病むのも当然の事だろう。

「ボロ雑巾女神」等、蔑視の言葉を聞くたびに殺意をつのらせていた。

無能で女神侮蔑筆頭の兄などは妄想の中で百万回は縊り殺している。

いや実際に殺そうとしたのだけど・・運がいいのですべて未遂に終わっている。


一緒に怒ってくれる幼馴染のサラサが側に居てくれたし、ゲンツは私に黙ってゴミを始末(兄は失敗したらしい)してくれていた事も知っている。でも・・もう限界でした。

おそらく溜まりに溜まった、瘴気に近い魔力が影響していたのでしょう。

女神様にすべての人族を生贄に捧げる事を日々悶々と考えていました。

しかし、そこに伊月が現れました。

そして【聖教皇】という魔力の吐出口を明示してくれた事で最悪の状況は回避されました。

ですがその後も陰鬱な思考に悩む私を伊月が救いました。


「女神の聖教皇がじめっとしない。聖も闇も結局は心根に連結してる。恨むな、後悔するな、妬むな。笑顔で前向きに、それこそ気高き王の心でゴミを駆除するの」

「だ・け・ど!リサイクル出来そうなゴミは、陰湿でもいいから、洗脳してでも、心を折ってでも、手の内に入れるのよ。優良物件は貴方が思っているより少ないから」

洗脳・・もしやこれは闇に囚われた私の事?


「リサイクルされるのは私のことでしょうか?闇属性ですから」

ですが、女神様のお役に立つなら甘んじて受け入れますよ。


「ふふふ、馬鹿言うなよ。お前の女神に対する心根は本物だ。お前とリサはこの天界で最高級の優良物件だよ。もしも女神が拒否したら、それこそ洗脳してでも私が貰うからね」

伊月のこの言葉、しびれました。


アリスさんの

『伊月は人たらし、本人にその意図がないからこそ刺さるんだよ』

に全肯定です。


おかげさまで聖属性ではなく闇属性の私でも胸をはって女神様に謁見出来そうです。

さて、ミリエールさんはリサイクル出来そうな人材に該当します。

心を手折り続けた先にどんなものを見せてくれるか・・楽しみですね〜

だが、育成計画は伊月によってぶった切られる。緊急事態の発生です!


『メリッサ!これから暗黒竜の姿で王都を襲撃する。黒ゴブリン軍団も参加するから頑張って防衛してね!計画書は後で送るけど、ほぼアドリブだから』

『ドッペルも参加しての王都襲撃イベント【漆黒の巨竜、襲来!今こそ女神信仰が試される!】我ながら面白そうだわ』

は〜っ、各国の視察はどうしたのですか?いずれにしても、とんでもないことになりそうです。


『あ、いい忘れてたよ。私の美麗なフォルムを見たら【闇属性が恥ずかちー】なんてお前のアホな思考はすぐに吹っ飛ぶぞ!なにせ神聖と暗黒は両天秤の高貴な力なんだからね』

・・・本当に人たらしですね伊月は。


さあ!とても嫌ですが・・あのくそ王に防衛参加の直談判をしに行きましょう!



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