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013話 総長、熱烈女神信徒を大量生産する

<???サイド>


感じるぞ。ああ・・悔しい、羨ましい。

今、この国にあの竜をも凌ぐ強者が居る。

感じるぞ!戦いたい!戦いたい!戦いたい!戦いたい!・・・


しかし、戦闘を行使するための・・その手も足も無い。

残る胴体もズダボロ※で生きる事で精一杯だ。

目も見えん、口も無い、片耳だけは機能している、なにせ顔も半分近く無いのだから。


※金竜との戦闘で、こういった者たちが多数出た。そのため女神への蔑視の言葉でボロ雑巾という言葉が生まれた。女神マーキュリーが心を痛め神力を低下させる言葉でもある。


「うわー、これで200年近く生きているのかよ・・そうか女神の力か。しかし、こいつを倒した金竜って結構強かったんだな。いや、こいつの体が貧弱だっただけか」

・・・小娘が言ってくれるではないか。

声から女性、しかも若いと感じた。

だが、攻撃ばっかりで防御面はおろそかにしていたのは事実、そこは反省だ。


「へー、こいつ私たちの言葉聞こえてるみたいだ。ならこいつを実験体第一号にするぞ」

・・・実験体か、子孫達も非常な事を考える。

だが一族が強くなれるのなら・・この肉塊が・・役に立てるのなら・・それでも・・


「ぷー、くすくす!なっさけなー!手足が無くなったくらいで戦闘を諦めてるのか?始祖竜王もたいしたことないな」

・・・この体でどうしろと?いい加減なことを言うではないわ!

それとも・・お前ならこの体でも戦えるのか?ぬ、出来ると抜かすか!

久しく感じていなかった・・力・・生命力か。

こんな小娘の言葉に踊らせられるとは・・我もまだまだだな。


「よし、いい感じで意識が覚醒してきた。ではお前の求める回答だ。感じろ、ここに力があるだろ?少し助力してやるから後は自分で掴め」

下腹の辺りか・・なにやら力が・・む?何だこれは!?

・・分かる!判る!理解るぞ!


これこそ・・・私の生命力の力なり!・・私こそが始祖竜王レオンハルであるぞ!跪け!小娘が!


<伊月サイド>


あーーー・・・うぜー!


移動中「ひまでしょ!?ぜひ私の頭を掴んで下さい!」

って、結局全員分やらされた。私はアトラクションじゃないぞ。


更には、次男、三男、四男、五男、長女、次女、四女、五女、その他親族連中までがワラワラ現れて、懇願された・・何事も過ぎるとうざいな!

ここの三女シャイネリアの武闘大会その後の話しをしたら大変喜ばれたのだけど、私が修行していると伝えると嫉妬に早変わりだ。


「あいつだけずるい!」

とうるさかったので、女神教への入信を勧めておいた。

私が次の場所に移動したら、即日ラ・メール王国に向かうらしい。


ようやく話が纏まって来たと思ったら、今度は王と王妃が

「ずるい、行きたい!」の大合唱だった。

ついには「王命だ!」と子供や親族たちに仕事を押し付けだし


最終的に「我、もう王を譲位する!」だ。

しまいには皆で王の座を押し付け合い、大騒ぎになった。

(後日「最強が王!ということは伊月が王だよね。と、国民の総意で勝手に【伊月竜帝王】に就任させられる事を、伊月はまだ知らない。)


あまりのうるささに辟易して、最終的には教会とここをゲートで繋ぐ約束をした。

「でも、こんなに入り切らないよ」

と伝えたら、王都を『教会都市』にするそうだ。

もう・・好きな様に信仰してくれ。意外と伊月は脳筋押しに弱いのだ。

国名も「マーキュリー・レオンハル崇敬国」に変えるそうだ。

これなら数日中には国民すべてが熱烈な女神マーキュリーの信徒になることだろう。


結果的には大成功だ。しかし、それでも、何度でも言う・・・何事も過ぎるとうざいな。


ようやく・・ようやく・・最奥の部屋に到着すると、そこは霊廟のような場所だった。

そこには1体の竜と、4体の竜人が液体に満たされた棺にそれぞれ収まっていた。

原形を留めているものは皆無だった。


「始祖竜王レオンハル様と四天凰してんほう様方です・・金竜との戦闘でこのような有り様に・・」


とりあえず、1秒後には死んでもおかしくない四天凰してんほう達を癒やすか。

ちぎれた手足が一緒に入っていたけど、それは邪魔なのでエネルギーイーターの能力で食べ尽くす。


「な!?何をするのですか!」

ちょっとキレ気味のレオンハル王。

「違うやつの手足が入っているからだ。こいつなんて頭と身体が別人だぞ。とりあえず頭と胴体があれば大丈夫だ。ほら、こいつも違う!」


王をこき使って4体分のパーツを配置し直す。

既に肉体自体は機能していない、だけど魂だけは肉体に必死にしがみついている。

語りかけたら『うるさい!』と怒られた。

全員を蘇生するのであと1時間頑張れと伝えたら、余裕が出来たようで少し話してくれた。

どうやら始祖竜王が生きているうちは頑張るらしいぞ

『この魂を始祖竜王様の養分に!』だってさ。

なかなかの忠臣・・・あ?後で美談として始祖様に話せ?

で、正式に番になる!?

胸・・腰・・尻・・太もも・・すべていい?

てめー!私にエロい妄想を見せるな!ぶっ殺すぞ!


まあ、これだけ魂が劣化している中で、これだけの妄想が出るなら大丈夫だろう・・だから妄想はいらんわ!


1体ずつ、魂から丁寧に修復していく。

実は魂が一番難しい、というか魂自身にその気がないと修復なんて無理だ。

あくまで最適なエネルギーを与えるだけ。

体については遺伝子情報を元にすれば簡単に再生出来る。


「いや、普通は体も無理だぞ」「そうです、この国では一人も・・」

「うちのミラは1週間で部分蘇生まで出来るようになったぞ。弱者共」

「「がーーーん」」


どうせマッスル修行しかしていないのだろう。

そして数多の才能が無駄に・・強さにも色々種類があることを早く知ろうな。

しかし、あれだけ性欲すごかったのに、蘇生したら4体とも女性だった。

しかもこいつら・・竜とサキュバスのハーフ?

始祖竜王はどうやって子孫を作ったんだろう。


さて、最後に始祖竜王だけど。肉塊の割には魂が安定している。


「うわー、これで200年近く生きているのかよ・・そうか女神の力か。しかし、こいつを倒した金竜って結構強かったんだな・・いや、こいつの体が貧弱だっただけか」


この液体に触れると女神マーキュリーの神力を感じた。

自身も疲弊しながら・・優しい女神だ。布教活動にやる気が出る。

体を観察すると、攻撃の筋肉が見事だけど皮膚などは脆弱に感じる。

まあ、今の子孫たちを見れば・・納得だね。

ん?こいつ意識ははっきりしているようだ。

なんか悪態ついてる。


「へー、こいつ私たちの言葉聞こえてるみたいだ。ならこいつを実験体第一号にするぞ」

「な!?実験体など、我らが始祖に無礼は許しませぬぞ」「たとえ叶わぬとも!刺し違えても!」

「実験と言ったけど人族の女性も使ってたから問題ない力だよ。それに・・いいの?素質無くても存在レベル10は上がる力だよ?」

「「・・え!?」」

「なら、お前達には不要っと」

「「いえ是非!お願いします」」


ちょろいね・・でも竜族はこの力と相性いいのは間違いないんだよね。

既に私で実験済みだし。

なんて言葉のやり取りをしていたら、始祖竜王が後ろ向きな思考になっていた。

これでは駄目だ、ちょっと煽るか。


「ぷー、くすくす!なっさけなー!手足が無くなったくらいで戦闘を諦めてるのか?始祖竜王もたいしたことないな」


やっぱり扱いやすい種族だよ。

モリモリと戦意と強い意志が浮上してくる。

これなら問題ないだろう。


「よし、いい感じで意識が覚醒してきた。ではお前の求める回答だ。感じろ、ここに力があるだろ?少し助力してやるから後は自分で掴め」


おそらく下腹(竜の姿なので分かりづらい)辺りに手を添えて、発氣を丹田向かってごっそり流してから、眠っているこいつの発氣を捕まえて引っ張り出す。

すると・・生命力の奔流、発氣の大暴走だ。


始祖竜王の体が赤黒く光り輝き、その余りある発氣で疑似手足を作って、始祖竜王は197年ぶりに大地に立ち上がった。

即、コントロールしたか、お見事!

『貴様が』あ、これめんどくさいやつだ。

喋らせる前に原型を留めていない顔を掴む。


「最弱の竜王様、その偉大なるお力で脆弱な人族たる私めの手を振りほどいてください。無理でしょうけどwww」

『何!?たやすきことだ!』


結局・・・15分頑張ったけど振りほどけなかった。

落ち込んですっかり借りてきた猫状態になったので体の修復を開始する。

ちなみに王たちは竜王の威圧に怯えて逃げた。

今はビクビクしながら入口辺りで見守っている。

後で聞いたら「親父に叱られている気分」になるそうだ。


ん?なんだ始祖竜王

『そのお姿・・もしかして神聖竜様ですか?』

あ、そう言えばまだ竜化を解除してなかった


「『神聖属性竜、永遠とわなる聖淨せいじょう』って言う神聖属性の竜化だよ」

『や・・やはり!すご!・・あ、あの・・サインを頂けますか?』

「はぁ!?」


この始祖竜王との会話で、竜化の際に私が得た称号の由来が分かった。

神聖属性竜ってめったに居ないらしく、しかも何故かすべて美麗なメスなのだそう。

で、竜の間では幻のアイドル的扱いなのだとか。

それじゃ竜との戦闘は難しいかと思ったけど


「超強い竜からはオス・メス関係なく求婚されます。ほぼ強要です。(まあ、その軍門に下るような可愛いらしい神聖属性竜なぞ皆無なのですが・・もちろん相手は皆殺し)」

と聞き安心した。


この竜化状態の私を見て 崇める か 欲情する かで、その竜の知能と強さが分かるそうだ。

なんで知性も?当然のことながら始祖竜王レオンハルは 崇める 側だ。


「私は属性すらありませんので」

どれどれ、こいつは女神の配下に加えるに足る人材かな。


<ステータス>

名前:始祖竜王レオンハル

年齢:不明

性別:女性

種族:竜

存在値:レベル107(下級神の資格者)

スキル:【人化】【床上手】

称号:子沢山、力の化身(紙装甲)


【床上手】・・こいつのスキルはいらないな。

しかし、神への資格者か、その点だけは有望だ。

ちなみに暗黒属性竜も希少だけど、好かれては居ない。

特に蛇蝎のごとく嫌っているのが同族の暗黒竜。

まさに「同族嫌悪」らしい。


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