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第四十九話 これからの方針

累計1万PVいきました。本当に読んでくださりありがとうございます。




 あのうざい女神の後、俺たちは一度ダンジョンを抜け出し、涼太の家に来ていた。


「すまんな、連絡もなしに押しかけて」

「いや、大丈夫だよ」


 涼太は快く迎えてくれたが、部屋は1週間前よりも圧倒的に散らかっていた。


 どうせロボットの設計に没頭して片付ける暇なんてなかったんだろう。案の定、ベッドの上にまでゴミが散乱している。

 帰るときに部屋を片付けることを決めながら、先ほどの話を涼太に伝えた。


「……ってわけなんだよね。だから、これからどう動くのか話し合いたい」

「なるほど……。色々質問したいことはあるけど、正吾は今後どうしていきたいとか考えてる?」

「難しい質問だね。それは2つの世界が融合した後の状況次第だな」

「状況、ね。いくつくらいシナリオを考えてるの?」

「そうだな……ざっと10個くらいかな」

「最悪と最善のシナリオを教えてくれない?」

「最悪は人類滅亡ルートかな?99%の人類が死滅する」


 なぜ100%じゃないのかと言うと、100%の場合を考えても対応が出来ないので、考える必要が無いからである。


「そして最善は、今のままかな。ダンジョンがある現状が維持されれば理想的だと思う。でも俺の予想だと、地球の50%が人類圏として住めない地域になる」


 平均的な値を取って50%と言ってはいるが、これも希望的観測に過ぎない。

 対策を講じるには、最低でも80%の場合を考えて動かねば、十分な対策にはなりえないだろう。


「……50%か。それだと90億近い人類を支えられない」

「だな。まあ、今だって90億の人口を支えるのは限界だ。いい機会だと思えばいい」

「非情だけど、その通りだね」


 非情ではあるが、俺たちの力をもってしても90億全員を救うことなど不可能だ。

 日本の1億人すら怪しいのに、その90倍なんて無茶な話。

 しかし、できる限り多く救うことには賛成だ。支配者というのは下の者がいてこそ成り立つものだからな。


「これからの行動を話し合いたいところだが、その前に。あのロボットは来年までに完成しそうか?」

「うーん、少し厳しいかな。まだ設計図の段階だし、これから組み立てもしなきゃいけない。テストも考えたら、今年中の完成は無理だと思う」


 まあ、無茶を言ったのは承知している。今年はあと2カ月しかない。


「じゃあ、いつごろ試作品が作れそうだ?」

「……今から設計図を見直して、40分の1スケールの模型を作ってから部品の製造と組み立てを考えると、……ざっと3カ月以上かかると思う」


 3カ月か。本来なら驚異的に速いのだろうが、タイムリミットは6カ月。

 しかも試作品には問題がつきものだ。まともなものになるまで5カ月は見ておいた方がいい。


「…今言った中で最も時間がかかる作業は?」

「組み立てかな。僕の〈人造機械〉と〈物質創造〉があるから部品作りは1週間もあればできる。でも、300万もの部品を組み立てるには途方もない時間がかかる」

「300万部品…? 何その数。そりゃ時間もかかるわ」

「もう一つ厄介なのが『魔道演算スクリプト』だよ。このロボットは普通のコンピュータも積んでるけど、それと並列する魔道スクリプトが制御を担ってる。まだプログラム段階で、本当に動くかはやってみなきゃ分からないんだ」


 ……3カ月で試作品ができると言った涼太が凄いとよく分かる。

 それでもタイムリミットから見れば、あまりにも長すぎる。出来るのであれば、2カ月で完成させたい。


「俺が手伝えることはあるか?」

「……正吾がすごいことは知ってるけど、どんなスキルを持ってるのかは知らない。それ次第だね」

「分かった。これが俺のステータスだ」


ーーー

種族:セレスティアルエルフ

名前:水橋 正吾

職業:下位神(系統:夢幻)(0/500)

カルマ:-304

レベル:733 

スキル〈話術(0/10)〉〈鑑定看破(0/10)〉〈偽神偽装(10/10)〉〈身体強化(10/10)〉〈気配感知(3/10)〉〈洗脳(0/10)〉〈支配(0/10)〉〈状態異常耐性(10/10)〉〈半神(100/100)〉〈神通力(100/100)〉〈夢幻神術(0/300)〉〈精神強化〉〈神託(偽)〉〈ラッキースター〉〈夢幻泡影〉〈一騎当千〉〈開祖〉〈流転回帰〉〈一樹百穫〉〈輪廻転生〉〈一発必中〉〈信仰信者(使用不可)〉〈神の目〉〈黒幕〉〈帰還魔法〉〈十悪五逆〉〈夢影化〉〈夢幻改竄〉〈夢幻創世〉

ポイント:0

パーティー(3/6):ダンジョン教会パーティー

フレンド:〈一ノ瀬玲奈〉〈二条城涼太〉

種族特性:〈美形〉〈魔法適性〉〈肉体強化〉〈世界樹の翼〉〈眷属強化〉〈#>$%”〉

称号:〈ダンジョン教会教祖〉

情報閲覧権限:1

ーーー


「これが俺のスキル達だ。何か質問はあるか?」

「……この中で正吾が組み立てに使えそうなスキルとかある?」

「そうだな、この中で言えば〈神通力〉だ。コイツは念力みたいな能力で、半径100メートル内にある物ならば自由自在に操れる」

「それって、どのぐらいの重さのものまで持てる?」


 ……どのぐらいだろう?神通力の限界を試してみた事が無い。いや、正確に言うならば、大抵の物は持ち上げられる。それこそ、電車とか、建物とか、そう言った物レベルじゃないと、上げられないと言うことは無い。


「…多分だけど50トンぐらいだったら持ち上げられると思う」

「50トン…か。分かった、じゃあ組み立ては正吾に任せようと思うよ。僕がやるよりも早く組み立てる事が出来そうだ」

「了解。で、その組み立てって、何処でやるんだ?」

「……」


 俺がそう問うと、涼太は気まずそうに目を逸らした。

 ……コイツ、組み立てる場所を考えていなかったな。


「はぁ、考えていなかったんだな」

「…ごめん」

「いや、いい。組み立てる場所はこっちで用意しておく」


 とは言ったものの、10メートルの人型ロボットを組み立てる施設なんて存在するハズも無い。

 よし、土地だけ準備して、涼太の〈物質創造〉で建物を建ててもらおう。


「じゃあ、次合うのは3日後ぐらいで良いか?」

「うん、それまでに設計図と模型は準備しておく」


 こうして、俺の仕事がまた増えた気もするが、涼太の仕事量にはかなわないと分かっているので、泣き言を言わずに日本各地を動き回るのであった。

 これは補足だが、この時の俺の仕事はこんな感じだ。


・ダンジョン教会のオークション対応。

・ダンジョン教会支部の増設。

・オークションの職員の確保。

・お偉いさん方との商談。

・聖女セイントのお付としてのスイキョウ役。

・ロボットを作るための土地探し。


 これらが3日間の間に詰め込まれていた。

 普通に過労死ラインである。



~~~



 それから3日間、日本中の主要都市(5大都市)を駆け回り、飛行機と新幹線の中で仮眠を繰り返す日々を過ごした。


 体中がガチガチに固まり、精神的には死にかけているが、さすがにレベルアップの恩恵か、体力だけは妙に元気ピンピンだ。

 そんな疲労困憊のまま、俺は今日も涼太を連れて山中へとやってきた。


「……正吾、これが前に言ってたロボット製作の場所?」

「そうだけど、何か?」

「いや、僕が想像してた場所とは全然違うような……」


 涼太がそう言うのも無理はない。今、俺たちが立っている場所とは……何もない山奥の空き地だからだ。


「ここで間違いない。直径10メートルの人型ロボットを作れる施設なんて、この世界には存在しないだろ?」

「……それは確かに」

「だから答えは簡単さ。無ければ作ればいいんだ。何のための〈物質創造〉と〈神通力〉だと思ってるんだよ?」

「……僕は帰え…ぐぉ!」


 逃げ腰の涼太を無理やり引っ張り、ラボ作りに協力させた。

 とはいえ、作業そのものは簡単だ。


 俺が超能力じみた〈神通力〉で木や土砂を掻き出して大穴を作り、そこへ涼太が〈物質創造〉で支柱や壁を生成して埋め込んでいく。

 次に、階段や設備を作り、天井部分を覆うようにさらに構造物を生成。

 最後に掘り出した土砂をかぶせ、全体を隠すことで地下ラボが完成した。


 時間にしてわずか数時間。言うなればスキル版『3分クッキング』だ。


 涼太の〈物質創造〉と、俺の〈神通力〉があれば、山奥のただの空き地が、巨大ロボット製作用の秘密ラボに早変わりした。


「……思ったよりもあっさりだったな」


 そう口にしながら、俺たちは完成した地下施設の入口へと足を踏み入れる。


 入口は地面に隠れるよう設計してある。

 内部に入ると、真新しい白い壁と照明が整然と並ぶ、広々とした空間が広がっていた。


 四方を囲むのは無機質な白。天井は高く、中央には重機が余裕で収まりそうな巨大な組立スペース。音も反響しない、しんと静まり返った場所だ。


「……ちょっと緊張するね、ここ」


 涼太が、思わず口にした。


「無機質すぎて、病院の手術室にでもいるみたいだよ……」

「確かに手術室っぽいな。でもここには男のロマンたるロボットが立つんだぞ? 想像したら今にも走り出したくならないか?」

「……ここにロボットが……。僕、今すぐ作業に取り掛かる」


 静かに呟いた涼太の目には、純粋な好奇心と未来への希望が輝いていた。


「一応生活できるだけの設備はあるから……って、もう声は聞こえないか」


 すでに自分の世界に入り込んだ涼太は、黙々と設計図を見ながら〈物質創造〉で次々とパーツを作り出していた。


 その集中ぶりに言葉をかけるのも野暮だろう。

 俺は組み立ての段階で呼ばれるまで出番がなさそうだと判断し、静かに地下室を後にする。


「……何だかこのパターン、前にも経験したような気がするな」


 そんな既視感に苦笑しながら、俺は次の準備を始めた。



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