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5.Merry(by.Love is trick ?)


 今日が本当の始まりなのだ。

 ありえないほど緊張している自分に気付いて、笑い出しそうになる。


 女の子を、楽しい気分にさせるなんて、簡単なことだと思っていたのに、彼女相手じゃそうも行かないから。


 地味で平凡、その辺りにいくらでもいる女の子。

 そんな風に思っていたのはついこの間のことなのに。

 あんな悪ふざけなんてしなければ、存在すら知らないままだったのに。


 それが何よりも誰よりも大事な相手になるなんて―――



 きっと、あの時の俺に言っても信じもしなかっただろうな。



「月島くん、」


 軽い足音をさせて彼女が道の向こうから走ってくる。

 寒空に鼻と頬を赤くして。

 俺を認めてはにかむ。


 罰ゲームで恋人になった彼女ではなくて、本当の、本当に思いを通じ合わせて恋人になった彼女が。


「………」

「月島くん?」


 無言のまま手のひらで顔を覆い、その場にしゃがみ込んだ俺を怪訝そうに呼ぶ。

 もう一度俺の名前を呼びかける声が不安を帯びるのに、まずいなと思ったけれど、そのまま俺は呻いて彼女から顔を隠していた。


「どうしたの、具合悪いの?」 


 誤解した彼女が同じ様にしゃがみ込み、視線を合わせてきて―――ばれた。


「 え 」


 真っ赤になりつつもこみ上げる笑みを抑えられず、ニヤけた俺。


 照れくささと嬉しさと踊るような胸の中にある気持ちを誤魔化すように、文句を言った。


「……も~、反則…っ、あやのちゃん可愛すぎるっ!」


「はぃ?!」


 え、今日は妹にスタイリストしてもらってないから普通だよ?

 なんて自覚のないことを言っている彼女に、首を振る。



 服や化粧じゃなくて。


 その笑顔が。

 

 俺に気持ちを預けるような、瞳が。


 可愛いんだ。


 それを向けられるのが自分だと言うことが、たまらなく嬉しくて幸せで―――笑み崩れてしまう。


 馬鹿みたいに浮かれている自覚はある。



「もうー、わけわかんない」


 にやにやしてる俺に気分を害したらしい彼女がふくれた。

 そんな表情も可愛くて、更ににやけてしまう。


 だってさ。

 しょうがないよ、

 俺はどうしようもなく、


「あやのちゃんが大好き、ってこと」


 カッコつけることもはぐらかすこともせずに、素直に笑顔を見せて、言った。


 途端に口ごもって、さっきの俺に負けないくらい、真っ赤になる彼女。

 もう、と繰り返し、拗ねたように照れている。


 手を差し出す。


「行こう」と。



 自分の一緒にいたいひとと過ごしてね、といわれた今日この日。


 その言葉に違わず。

 俺に、一緒にいるだけで幸せだなんて、そんな初めての気持ちをくれた、君と過ごすのだ―――。





   Merry,Merry Christmas !!




 END.


 最後はMerryな気分そのままの彼と彼女で。

 

 楽しいクリスマスをお過ごしください。


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